国公労新聞 第1066号

●2001年国民春闘スタート
    地域・職場から「働くルール確立署名」で国民と共同をひろげよう 

〇新省庁発足のもと、11県国公で宣伝行動
 2001年春闘がスタートしました。私たち国公労働者にとっては、1月6日からの1府12省庁の新省庁体制の発足のもとで、国民本位の行財政・司法の確立にむけた新たなたたかいへのスタートです。
 国公労連は新年早々、霞が関官庁街などで大規模な宣伝行動をとりくみました。また、大阪や広島など11県国公で、ターミナル・繁華街での宣伝行動をいっせいに展開しました。

〇財界の攻撃はねのけ、たたかう国民春闘へ
 全労連や中立組合などで構成する国民春闘共闘委員会は1月12日、日経連総会への抗議行動などにとりくみました。
 この日、色とりどりの組合旗や横断幕にとり囲まれるなかで開催された日経連の臨時総会では、財界の春闘対策の指針である「労働問題研究委員会報告」が発表されました。
 報告では、賃金抑制や、大胆なリストラ推進をはじめ、労働者を競争させる成果主義賃金の導入が強調されています。昨年は、リストラや競争第一のもとで、大企業のモラルハザードがとりざたされたにもかわらず、日経連の報告には、その反省はどこにもみあたらず、またもや労働者と国民に犠牲を押しつけようとしています。
 いっぽう、国民春闘共闘は同日、総会を開き、2001年春闘方針を決定。方針では、共同をひろげる柱として「働くルール確立署名」にとりくみ、労働者過半数からの集約にむけた壮大な運動にむけて、2001年春闘をその出発点として位置づけています。
 政府・財界による攻撃が、福祉・医療・教育など国民生活のすみずみにまでおよんでいるとき、「国民のなかへ、国民とともに」たたかう立場がこれまで以上にもとめられる今春闘です。行革課題ともむすびつけて、職場や地域から諸行動への結集をよびかけます。

〇日経連総会抗議行動で聞きました!
  自分たちの要求に確信をもち仲間のためにたたかいます。
     通信産業労働組合書記長 野形 葵(のがた まもり) 
 わたしたちが働いているNTTは、8兆円もの内部留保をため込んでいます。
 しかし、NTT労組は、「今春闘では賃上げ要求をしない」とし、さらに、賃金が大幅に引き下げれることとなる「成果・業績主義」の賃金体系の導入をNTT労組から逆提案をするなど、労働者を裏切るものとなっています。
 職場の仲間は、通信労組に期待しており、小さな組合ですが、組織拡大も前進しています。
 わたしたち通信労組は、大幅賃上げなどの自分たちの要求に確信を持ち、労働者の生活改善のため2001年春闘をたたかっていきます。



〇政府・自民党 あらたな行革の中心課題に公務員制度「抜本改革」ねらう

 12月1日に閣議決定した「行革大綱」では、特殊法人の廃止、民営化や公益法人の整理などと並んで、公務員制度の「抜本改革」をあらたな行革の目玉にしています。
 そして、年末からの新聞等では、「公務員法・国地方を一本化」、「スト権付与、身分保障廃止」、「年功序列から実績重視へ」(2000年12月31日・読売新聞)などの活字が紙面を飾り、自民党行政改革推進本部を中心に、3月までに「抜本改革」の大枠を固め、参議院選挙前の6月には、基本方針をとりまとめると報道しています。
 また、政府の行革推進本部も、50名の事務局で、「抜本改革」具体化の態勢を整えています。
 中央省庁再編のもとで、政府・自民党のあらたな行革攻撃が強まっています。

〇「もの言わぬ公務員づくり」と行政スリム化がねらい
 
 このような改革が、「政治主導」を口実にした「もの言わぬ公務員づくり」と、「国家公務員の25%削減」などの行政減量化を進める「仕組み」づくりをねらっていることは明らかです。同時に、森政権の支持率が10%台に低迷し続けるもとで、「公務員バッシング」を夏の参議院選挙の争点にして自民党政治の延命をはかる、党利党略にもとづくことも明らかです。
 公務員労働者に労働基本権を返すことは国際的にみても当然のことですが、公務員労働者の労働条件や雇用にかかわる問題を政争の道具にし、行政サービス切り捨てや規制緩和、社会保障改悪、消費税導入などの「構造改革」の突破口とする政府・自民党の姿勢は極めて問題であり、許せるものではありません。
 政府・自民党のあらたな行革攻撃をはね返すためにも、国民生活重視の行財政実現をめざして、「対話と共同」を柱にした3年間の行革闘争を、2001年春闘でさらに発展させていくことが重要となっています。



〇労働者委員の連合独占を許すな 中労委委員に熊谷金道さんを

 4月1日の独立行政法人発足により、中央労働委員会の国営企業および特定独立行政法人担当の労働者委員が2名補充されます。
 現在、全労連・熊谷副議長(国公労連中執・全通産出身)を労働者委員に選出するため、団体署名に取り組むとともに、1月9日の公告をふまえて、各単組では、推せん手続きをすすめています。

〇労働委員会とは
 労働委員会は、労働者委員、使用者委員、公益委員の3者で構成され、不当労働行為の救済のほか、労働争議のあっせん、調停、仲裁を行っています。制度の目的は、簡便、迅速に労働紛争を処理し、労働者・労働組合の権利を保護することにあります。
 非特定独立行政法人をふくむ民間企業の労使紛争は、基本的に各都道府県におかれた地方労働委員会(地労委)に係属されます。しかし、国営企業と特定独立行政法人の労使紛争は、中央労働委員会(中労委)だけでとりあつかわれます。
 さらに、ストライキが禁止されている国営企業と特定独立行政法人には、「代償措置」として強制力を持った仲裁制度が設けられています。

〇賃金闘争の場合は
 国営企業の場合、労使の自主交渉で賃上げに決着がつかない場合は、あっせんまたは調停を中労委に申請し、労働者委員も入った調停委員会の委員長見解がまず示されます。これを労使が受け入れない場合は、公益委員のみで構成する仲裁委員会の裁定が出されます。
 仲裁裁定は労働協約と同等の強制力を持ち、国営企業では、各特別会計の人件費予算を超えない場合は直ちに、超える場合は国会承認により効力を発します。
 いっぽう、特定独立行政法人の場合は、人件費が運営費交付金として国から一括支出されること、剰余金を次年度に繰り越せることから、国会承認は必要ありません。
 それだけに、特定独立行政法人労働者にとって、中労委仲裁は重い意味を持ちます。

〇不当な委員の選任
 労働者委員は、言うまでもなく労働者の利益代表です。 
 現在、ナショナルセンターやローカルセンターが分立している以上、その組織実態を反映した労働者委員の選任がされなければなりません。
 かつて政府自身が、「委員の選考にあたっては、産別、総同盟、中立等系統別の組合数および組合員数に比例させるとともに、貴管下の産別分野、場合によっては、地域別等を十分に考慮すること」(労働省通牒第54号・1949年)と指示していたのは、労働委員会の性格から当然です。
 しかし現状では、一部の都府県の地労委をのぞいては、中労委・地労委の労働者委員を連合が独占する、不当な「偏向任命」がまかり通っています。

〇公正な任命を勝ち取ろう
 今回の労働者委員の補充は、独立行政法人化にともなう新しいものです。
 特定独立行政法人への移行の対象となる60機関の労働組合員数は、国公労連加盟の組織が圧倒しており、この4月に移行する部分だけをとってみても、連合加盟の全農林等と国公労連加盟組織および協力関係にある組織人員は大差ありません。そのことから、熊谷さんを選任しない理由はありません。
 昨年12月に閣議決定された行政改革大綱で、政府は、独立行政法人化をふくめ、企画と実施の分離をいっそう進めるなど、新たな公務員制度改革を打ち出しています。
 そのことともかかわって、独立行政法人制度発足にあたり、担当する労働者委員の公正任命を勝ちとることは、今後の行革闘争をたたかう上でも大きな意義をもっています。
 国公労連は、公正任命を求める団体署名などの全労連のとりくみに結集しつつ、熊谷さんの選任をめざしてたたかいます。

〇中央労働委員の選任までのスケジュール
 1月6日  独立行政法人通則法施行
 1月9日  中労委委員の「推せん手 続き」が官報に公告
 2月5日  推せん手続きの締め切り、委員候補の名簿作成
 3月中に  総理大臣が委員候補のうちから委員を選任
       (公益委員については、国会承認が必要)


〇革新統一候補 長谷川 金重さんを推薦

 岐阜県知事選挙 1月11日告示、1月28日投票
 国公労連中央執行委員会は1月15日、岐阜県国公の要請をうけ、岐阜県知事選挙に岐阜県労連など幅広い民主団体などで構成する「県民が主人公の岐阜県政をつくる会」が擁立する長谷川金重さんの推せんを決定しました。
 長谷川金重さんは、長良川河口堰など大型公共事業優先の自民党中心の県政から、住民の安全、健康、福祉を最優先する県政への転換を柱にかかげ、奮闘しています。
 県民・労働者が主人公の民主県政実現のため、全国から支援をよびかけます。


●高島三郎氏が死去(国公労連元委員長、国公共済会元理事長)

 国公労連元中央執行委員長の高島三郎さんが肝不全のため昨年12月23日、ご逝去されました。享年67歳でした。高島さんは全港建および国公労連委員長、国公共済会理事長などを歴任され、長年にわたって国公労働運動の前進のために尽力してこられました。謹んでお悔やみ申し上げます。

〇高島さんをしのんで
 堀口士郎(国公労連中央執行委員長)

 高島さんの運動にたずさわる真摯な姿勢と強い責任感、職場の仲間たちの気持ちと要求をなによりも大切にされてきた誠実なお人柄を思うとき、あまりにも早いご逝去は痛恨の極みであり残念でなりません。
 高島さんは新潟の全港建酒田港支部のご出身ですが、全港建の中執・委員長を歴任された後、89年から95年までの6年間、国公労連の委員長としてご奮闘されました。全労連結成とその後の全労連運動の主要なリーダーとして活躍され、また、公務共闘・公務労組連絡会の副議長、議長として公務労働者全体の諸要求前進にも大きな役割を果たされました。
 高島さんの国公労連委員長時代は、東欧諸国の変革がソ連の崩壊にまですすみ、国内では自・社両党の対立による「55年体制」の終焉、あいつぐ金権腐敗、バブル突入と崩壊による日本経済の混迷など、内外の情勢が激動するもとで、労働組合の社会的役割が従来に増して求められる時期でした。国公労連も、給与の遅配、調整手当、調整額の改悪など、多くの困難な課題に直面していましたが、高島さんは全国活動者会議を開催するなど、国公労連の役割をふまえた丁寧な議論を組織し、全国の仲間を励ましながら的確な指導性を発揮されました。
 高島委員長の指導のもと、完全週休二日制の実現、育児休業、介護休暇制度の新設など、長年の粘り強い運動が実を結び、貴重な成果を勝ち取ったのもこの時期でした。高島さんは、国公退職連、沖縄の開建労、宿泊労連の結成などにも力を注ぎ、国公共済会の立ち上げでは初代理事長として今日に至る発展の土台を築いてこられました。
 国公労連退任後は病状の悪化とたたかいながら、アジア・アフリカ・ラテンアメリカなど発展途上国の労働者との連帯と平和運動に情熱を捧げてこられました。
 私は、国公労働運動の前進と社会の進歩・発展に生涯を捧げてこられた高島さんを偲ぶ時、歩んでこられた人生は尊く、偉大であったと尊敬の念を新たにしています。そして、高島さんの足跡に学びご遺志を引き継いで奮闘することがなによりのご恩返しであると決意しています。心からご冥福をお祈り申し上げます。


●お知らせ

 国公労新聞第1064号2001年春闘方針(案)ダイジェスト版の「3面、図3」に誤りがありました。
 評価に対して不満を感じる点の調査結果で、回答が42・5%と一番多かったのは、正しくは「明確な評価基準がない」です。
 お詫びし訂正します。


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