国公労新聞 第1062号

●国民犠牲の悪政強行を許すな! 暴挙をくりかえす自公保三党に批判が集中 

 第150臨時国会は、会期末の12月1日にむけて、数々の悪法を一気に成立させる動きが強められています。
 「票の横流し」をはかる「非拘束名簿式」の導入という重大な選挙制度改悪にかかわって、10月26日の衆議院本会議で、与党の賛成多数で改悪法案が可決しました。
 世論調査を見ても、非拘束名簿式に賛成はわずか1割にすぎず、国民の疑問や批判の声が日ごとに高まるなかで、法案の徹底審議がもとめられていたにもかかわらず、衆議院でも事実上3日間という不十分な審議で採決を強行した与党三党の責任は重大です。

○2年連続賃金引き下げの給与法が成立
 この選挙制度改悪をめぐる与野党の対立のなかで、審議入りがのびていた給与法案は、衆・参両院ともそれぞれわずか半日の審議で11月14日に可決・成立しました。
 2年連続で年収ベースの引き下げという国家公務員賃金の動向は、民間をふくめた多くの労働者に直接・間接の影響をあたえます。そのことからも、国会では、景気回復にむけた個人消費拡大という大きな視点からの検討こそもとめられていました。
 そうした真剣な議論も十分にないまま、賃金ダウンの給与法が悪法審議の合間をぬうように成立が強行されたことは重大な問題をもっています。

○国民の支持失った森内閣は即時退陣を
 今後、会期内の成立をねらい、健康保険法改悪法案や、医療法改悪法案、少年法「改正」案、などの悪法の審議が加速する見込みです。ゼネコン・大企業へのばらまきをさらにすすめる補正予算案も、国民生活とのかかわりで重大な問題を持っており、十分な審議がもとめられています。これらを、自公保三党の「数の暴力」で強行をくりかえすことは許されません。
 こうしたなか、森首相への国民批判がかつてなく高まっているばかりか、自民党の元幹部までが内閣不信任に賛同する動きは、あまりにも異常です。どの世論調査でも、森内閣の支持率は10%台にまで低落しています。雇用確保、社会保障の充実など切実な要求を結集した「11・18国民大集会」には、全国各地から5万人が集まり、森内閣に即時退陣の声をつきつけました。
 こうした国民の世論と運動が、政治の流れを変えていることは明らかです。そのことに確信を持ち、2001年春闘勝利も展望しながら、秋季年末闘争の前進をめざして、ねばりづよくたたかいぬくことがもとめられています。


●11・17中央行動に650人が結集 官民一体で「政府・省庁包囲行動」

 11月17日、国公労連は第3次中央行動をおこない、各単組の上京団や、ブロック・県国公の仲間など650名が結集しました。冷たい雨が降りしきる悪天候の中、国民春闘共闘・全労連の各民間単産とともに「政府・省庁包囲行動」に取り組み、日比谷野音決起集会、国会請願デモ、総務庁・大蔵省前行動など霞が関に終日、官民労働者の切実な要求がこだましました。


●11・18国民大集会に5万人

 「許すな!大企業の横暴、消費税の大増税、自公保の暴走と悪政」などをスローガンに「11・18国民大集会」が亀戸中央公園で開催され、全国から5万人が集まり、気持ちをひとつにしました。
○親子で富山から参加しました!
 「参加者がいっぱいで、励まされますね」と全司法富山支部の安達健作さん。息子の悠歩くんと元気に集会に参加していました。


●能力・成果主義賃金は公務になじまない 2001年春闘に向け学習会を開催

 国公労連は、11月2日に公務員賃金学習会を開催し、単組本部役員を中心に約60名が参加しました。
 現在、公務員賃金制度をめぐっては、人事院が俸給表体系の見直しを、総務庁は人事評価システムの検討を行っており、この二つが一体的に進められている現状があります。
 学習会では、労働問題研究者の古屋孝夫さんから、「民間賃金の動向と課題」について講演がされ、能力・成果主義賃金が総人件費の枠内での査定であることや、能力・成果主義賃金を導入している企業の労働者の多くが「明確な基準がない」「職場ごとに評価基準がバラバラ」などの不満を持っていることが報告されました。また、人事院の標準生計費と民間の賃下げが連動していることも示されました。
 次いで、小田川書記長から公務員賃金「見直し」の動向と課題についての報告を受け、2001年春闘では、(1)初任給水準の底上げ、(2)ライフサイクルに応じた生計費確保、(3)熟練と専門性の高まりの正当な評価の3点の追求を柱に公務員賃金闘争を前進させ、公務の職場における能力・実績主義の賃金体系への転換を許さないたたかいを進めていくことを確認しました。
(なお、古屋孝夫さんの講演内容については、「国公労調査時報」2月号に掲載されます。)


●国の赤字財政はどうなる 公務三単産「財政問題学習会」を開催

 国公労連は11月15日、自治労連、全教との共催により「財政問題学習会」を開催し、国の財政問題の現状と課題について認識を深めました。
 「現在の財政状況と財政再建に向けた当面の課題をどう考えるか」と題した青木宗明神奈川大学経済学部教授の講演では、「国の財政で最終的に問題となるのは、借金が返せるのか、返せないのかということだ」としたうえで、「わが国の財政については、長期債務残高が600兆円を超えており、償還可能な額となっていない」との現実が示されました。
 また、日本の財政が悪化した原因は、(1)無効な景気対策やムダな公共事業の拡大、(2)景気低迷と金融混乱による税収の低迷、(3)高齢化社会の進展と社会保険支出の「膨張」にあり、財政を改善する方向として、地方交付税の制度を見直し、所得税の一部を地方独自で徴収するなどといった対策が必要であるという考えも出されました。
 講演終了後、「介護保障の充実、30人学級の実現、地域産業と雇用を守るため税金の使い方を国民本位にかえる共同の運動を呼びかける」三単産アピールを確認しました。


●ストライキで要求が前進 全労連の国際シンポで参加国が報告

 全労連結成10周年記念の国際シンポジウムが、10月30日から3日間、「雇用保障と労働組合の役割」をテーマに、箱根で開かれました。
 オーストラリアの建設・林野・鉱山・エネルギー労組代表からは、建設労働者の実情とたたかいの報告があり、「すべての労働者が弱い立場のために連帯してたたかわないとより低い方へ労働条件を下げられてしまう」と発言しました。
 インド労働組合センターの代表は、教育・医療・交通などあらゆる分野で民営化が進み、失業者が増大しているなかでのゼネストによる前進を報告しました。
 インドネシア福祉労組の代表は、「企業が無制限の解雇権をもち、社会保障はきわめて不十分で、失業者にはなんの保障もない」という極めて困難ななかでも、がんばっている労組のとりくみを報告しました。
 韓国「労総」の代表は、リストラの進行、大量失業、賃金切り下げ、不当労働行為が日常茶飯事であり、また、非正規雇用が過半数になっているなど、労働者への攻撃が強まるなかで、ゼネストによるたたかいの勝利についても報告し、大きな拍手を受けました。
 アメリカの電機・無線・機械労組代表は、継続する経済成長の一方で、貧富の差が拡大し、労働者の賃下げが続いていると指摘し、また、「派遣会社がアメリカ最大の雇用者になっている」との実態のなかでも、数週間のストライキにより強制残業を減らさせた成果も報告されました。


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