国公労新聞 第1058号

●生活と労働の実態をふりかえりしっかり職場討議を深めよう!    

 いのちを削るほど働いても評価されない、税金や社会保険の掛け金ばかり増えるなどの声が聞かれます。青年は、独り立ちできる賃金を強く求めています。一方、民間ではリストラで大変、国の財政は借金づけ、政治が悪いから、などなどの声もあります。
 一人ひとりの生活が違うように、要求も千差万別ですが、生活を少しでもよくしたいという願いは一緒です。みんなが要求をだしあい、要求の実現を妨げているのはなにかを語り、要求前進のためにどうしたらよいのか「話しあう」ことは、今こそ大切です。紹介している仲間の声なども参考にして、アンケートに記入する前に、職場の仲間と話しあってみませんか。
●3人の職場の仲間に聞きました。

鈴木 望さん

最高裁刑事局勤務の事務官。採用5年目の27歳、新潟県出身で独身。埼玉県朝霞市でワンルームの民間アパート暮らし。現在、全司法青年協の副議長。

○ちゃんと暮らせる賃金がほしい
◆住まい なんといっても、家賃の5万5千円は痛いし、支出の3分の1になります。宿舎に入りたいけど、在京の宿舎事情が悪いのは、当局の努力が足りないと思います。
◆食生活 朝は、おにぎりとドリンク。昼は、職員食堂で560円の定食。夜は、1000円以内の定食が多いです。給料日近くになると、昼は500円のA定食に「格下げ」です。
◆衣生活 スーツの購入は、2年に1回ぐらいで、冬服のズボンを夏まで着るしかないので、汗でべっとりなんてことも多いですね。 
◆実質賃下げ 踏んだり蹴ったりです。辞めて新潟へ帰ってしまいたい気持ちになります。物価は高いし、宿舎は入れないしね。地元への採用を希望したのに東京で採用するなら、ちゃんと暮らせる賃金を保障してもらいたいものです。
◆趣味 在京の職員有志で組織しているサッカークラブで、ゴールキーパーをやっています。このポジションは他より用具の出費が多く、ユニフォームも高額で、高校時代の古いものを、いまも使ってます。

松野 史彦さん

気象庁勤務の予報官。53歳。家族は、専業主婦の妻、大学2年生の長男、公立高校3年生の長女の4人。現在、全気象東京地本副委員長。横浜市在住。

○子どもの学習と、親の介護で大変
◆学費 息子の授業料などが年間80万円。来年は、娘の私大進学が予定されており、いま年収の10%ぐらいを年3回払いでしのいでいるけど、来年は20%ぐらいになるでしょう。
◆介護 妻が週2回ほど母親(要介護度3)を見舞いに行き、鎌倉の父親の所に回って、買い物の世話などをしていますが、交通費がバカになりません。
◆家計簿調査に取り組んで 4月は、学費や定期代などを除いても、今の給料の2倍もらえればなと思いました。食費は、予想外にすくなかったけど、税金とりわけ住民税が高いですね。
◆人事院勧告 昨年は一時金0・3か月分、約12〜13万円がカットされました。月々の「備蓄」ができなくなり、今年の約10万円と合わせると、きびしいですよ。
◆要求討議 生活費は、人それぞれの生活の仕方で大きく違いが出てくるし、アンケートの記入にあたっても、額の真ん中あたりを安易に選んでしまうこともあります。やはり、職場で話しあって記入することが大切ですね。

近藤 博さん

浦和公共職業安定所勤務の介護労働専門官。44歳。家族は、秩父職安勤務の妻、中学2年の長女、小学5年の長男および父母の6人。埼玉県熊谷市上奈良在住。

○窓口で痛感する民間のきびしさ
◆食費 実家が農家で、米や野菜の自給があるけど、うちのエンゲル係数は高いですよ。2〜3泊のキャンプに家族でよく行きますが、けっこう安く上がっています。 
◆必要経費 車が4台ありますが、最寄り駅まで6キロ、スーパーまで3〜4キロ、バス便が極端に少ない地方都市では、必要不可欠な経費です。
◆賃金要求 一時金の削減は「それなりに減ったなあ」と感じました。現状の賃金決定方法では、「デフレスパイラル」に入ってしまうと、もっと給与が下ってしまうのではないかと心配しています。足の引っ張りあいでなく、なんとか、真の官民一体の運動にしたいものです。
◆仕事について 介護労働者の労働条件のきびしさに複雑な思いをしつつ、仕事にあたっています。
 高年齢で賃金の高い人が人員整理され、窓口に来ても求人は無く、年齢だけのハンデと思うと悲しくなります。


○公務員賃金をめぐる状況は?
  
 国公労働者の公務員賃金闘争は、人事院勧告制度が存在することをふまえ、(1)春闘期(2〜5月)、(2)人勧前(6〜8月上旬)、(3)閣議決定時期(8月下旬〜9月)、(4)賃金確定期(10〜12月)というサイクルで展開されています。
 人事院は、毎年4月、官民の賃金の支給実態を調査し、算出される官民較差を是正するという形で勧告を行っています。民間の春闘結果は国公労働者の賃金水準に直接反映することになります。国公労働者が春闘段階から官民一体でたたかうことが求められます。

●加速する財界・大企業の労働者攻撃
 いま、財界・大企業は、経済のグローバル化による国際競争力強化のためには高コスト体質の是正が必要との口実で、雇用破壊、賃金破壊による総額人件費の抑制・削減を強めています。
 総務庁の「労働力調査」によれば、日本の失業率は、94年まで1〜2%台で推移してきましたが、99年には4・7%、317万人、2000年4月には5・1%、346万人となりその後も高水準で推移しています。また、解雇・人員整理などで離職した非自発的失業者が97年を境に急激に増加し、99年には102万人(32・2%)に達し、企業リストラのすさまじさがわかります。

●強まる賃下げ攻撃
 国税庁のまとめた昨年の「民間給与実態統計調査」では、1年間を通じて勤めた会社員の平均給与は、前年より約3万5千円(0・8%)少ない461万円で、2年連続してダウンしています。
 また、2000年春闘の結果は、定昇込みで加重平均7547円(2・26%)、単純平均6763円(2・22%)の低水準にとどまりました。
 このような状況を反映し、人事院の「職種別民間給与実態調査(民調)」では、ベースアップが行われている事業所は約半数の事業所です。

●能力・成績主義賃金の拡大
 大企業を中心に成果(業績)主義賃金の導入・拡大が急速に進められています。これは、賃金を能力と成果(業績)で決定すべきものとし、経営者の評価によって賃金が上下するシステムで、個々の労働者に「努力すれば報われる」という期待をもたせ組織の活性化を図るとしていますが、総額人件費を抑制・削減する明確な意図を持って導入されています。
 このシステムは、労働者間に際限のない競争をあおるとともに、評価・査定による個別管理で賃金を決定することにより、労働者を分断し、これまでの年齢・勤続で昇給・昇格する年功的賃金や春闘による集団的賃金決定を困難にするもので、結果として賃金引き下げの要因となっています。

●750万人に影響する人事院勧告
 このような民間労働者に対する攻撃は、人事院の機械的な「民間準拠」によって、2年連続の一時金引き下げや賃金体系の見直し検討などに表れています。
 そして、人事院勧告を通じ、地方公務員をはじめ恩給受給者、公益法人や福祉関係施設などに働く多くの労働者に影響を及ぼすことは必至です。人事院の試算でも直接的影響は750万人と推定されています。
 公務員賃金のもつ社会的性格や影響力の大きさを改めて確認した勧告期、閣議決定期のたたかいが重要となっています(表1参照)。


○能力主義賃金をどう考える?

 最近、「能力」や「成果」の賃金・処遇への反映ということが、政府・人事院からくりかえし主張され、検討が本格化しています(表2参照)。
 こうした攻撃をどう受け止め、どう反撃するのか、「土台」となる人事評価制度の問題とともに、率直で掘り下げた議論を進めることが重要です。

●「成績給」より「職務給」の運用改善を
 最近、成果給や年俸制の普及が進み、一部の大企業の労働組合などでそれに同調する動きもでています。 成果給や業績給は、「能力主義」をさらに徹底するものですが、本来の能力主義は、「能力以外の理由で差別してはならない」という差別排除と平等取扱いが原則です。それを変質させ、一面的な基準による能力評価や成果の細かいちがいを強調し、それに応じた賃金較差は当然とするのが、最近の能力・業績主義の特徴です。
 成果給(その純粋型が年俸制)は、賃金決定の客観的な基準があいまいで、上司との面談で決められる「個人目標」や成果によって賃金額が上下する安定性のない賃金です。
 一方、これまでの公務員賃金に典型的な「職務給」は、「人」ではなく「仕事」で賃金が決まるしくみです。「職務」が同一なら基本的に賃金も同一で(「同一労働・同一賃金」)、本来は性や学歴、採用試験区分による差別は許されません。また、公務員賃金は長期雇用を前提に、職務の高まりに応じて右上がりの昇給カーブを描いています。
 長期的視点に立った人材育成、サービスや業務の継続性・統一性、サービスの「量」だけでなく「質」や人間的対応がより重視される公務の性格とも考え合わせた論議が必要です。
 公務員労働者が安心して働け、長い職業生活の中で人間的な労働条件のもとで「良い仕事」や「意味ある仕事」を求めることができるのはどちらの制度でしょうか。

●評価制度の検討とめざすべき方向
 人事評価制度で重要なことは、何のために評価するのかという、目的や活用方法です。
 従来の給与・人事制度のメリット(公務員の集団能力の発揮やチームワークの維持、先輩から後輩への知識・技能の円滑な継承等)がいかされるのかどうか、職員の能力や意欲の向上、能率的な公務運営に本当に役立つものかどうかは大事です。
 そう考えると、評価結果は能力育成とか適正配置、労使のコミュニケーション手段として活用すべきであり、短絡的に賃金や処遇に反映させるべきではありません。
 評価制度の検討にあたっては、公平性、客観性、納得性をそなえた公務にふさわしいものの確立を求めるべきです。
 職員の納得を得られない制度導入は、さまざまな弊害をもたらし、公務能率の点でも有害でしかありません。
 国公労連は、現行勤務評定制度の欠陥をふまえた改革方向として、表3にあげる点を主張しています。


○俸給表の「見直し」ってどういうこと?

 すでに述べたとおり、財界・大企業は、能力・成果主義強化の賃金・人事制度の「見直し」を急ピッチですすめています。

●人事院の給与施策の問題点
 人事院は、こうした民間動向の変化への対応(民間準拠)を口実に、近年の給与勧告で、「年功要素の縮小とあわせた能力・実績重視の給与制度」への「見直し」をすすめてきました。それは、95年以降の「早期立ち上がり」型の給与カーブへの修正とあわせた高位号俸抑制の俸給表配分、98年の55歳昇給停止措置などであり、中高年・高齢層を中心にその影響が強くあらわれています。
 そして、昨年の勧告で人事院は、年功要素の縮小、能力・実績主義強化の給与制度への「見直し」をさらにすすめる方向として、「俸給表体系の(抜本的)見直し」を提起してきました。さらに、今年の勧告では、「俸給体系の見直し」について、「早期に成案」を得たいとしています。

●俸給表体型の「見直し」とは
 現行の俸給(表)体系は、基本的には、年齢、勤続とともにいわゆる右肩上がりのカーブを描く、典型的な年功賃金といえます。年功賃金には、初任給が一人で自活できない水準に抑えられていることなどの問題点もありますが、国公労連がめざす公務員賃金闘争の基本目標(表4参照)である「ライフサイクルに応じた生計費確保」などの点からは、年功的賃金体系の維持は重要な課題といえます。
 人事院の「俸給体系の見直し」のめざすところが、どこにあるのか、現時点では必ずしも明確にされていません。
 しかし、「基本給を構成する3要素をふまえ、俸給表の構造を基本的に見直し、(1)各級の号俸構成、(2)特別昇給を含む昇給制度、(3)一律的な昇給期間のあり方について見直す」とし、さらに「俸給表の区分や級構成のあり方」についても検討を行うとしていることなどからすれば、今回の「見直し」が戦後の11給制や8等級制への見直しに匹敵する制度改変であることはまちがいありません。
 しかも、その背景にある民間の年功賃金の否定、能力・成果主義強化などの攻撃の状況を踏まえれば、人事院は、私たちには常識となっている定期昇給制度などについて、現行「俸給表」の常識を根本からくつがえす検討をすすめていると考えられます。
 公務員には、公正・公平で安定的かつ民主的な行政の遂行が求められています。現行の俸給体系は、問題は残しているものの、人事院も認めるとおり、「公務部内に長期に雇用される職員に安定的な処遇を確保し、その士気の保持等に寄与してきた」ものとして機能してきたことは事実です。変化への対応だけではなく、その点の確認も重要です。


○独立行政法人職員の賃金はどうなるの?

 2001年4月に、新たな行政組織である独立行政法人・57法人が設立されることになります。内、5法人(貿易保険など)は、職員が非国家公務員とされ、設立後は、争議権を背景に、労使交渉で労働条件決定をせまることになります。
 残りの52法人は、公務員型の特定独立行政法人です。賃金、労働時間など主要な労働条件は、労使の自主決定を基本に、交渉が不調な場合には調整機関である中央労働委員会を活用することになります。
 いずれの場合も、各法人にどんな要求を突きつけ、要求実現のためにどんなたたかいをすすめるのかが、これまで以上に重要です。
 ところで、独立行政法人では、中期目標と事後評価をテコに効率化がせまられ、労働強化や人件費抑制などの「合理化」攻撃が、強まる危険性があります。
 また、中期計画には、業績反映の賃金制度などの「給与等勤務条件に関する計画」のもり込みが求められています。
 これらからして、2001年春闘段階では、法人発足時の労働条件を確定させる取り組みが、第一に求められます。
 その点では、法人への移行を契機に、業績給の強化や賃金体系の「見直し」を一気にすすめようとする当局とのたたかいが重点になります。
 雇用が法人に「承継」されるのに労働条件は「新しく」させてはなりません。現在の労働条件の不利益な変更を許さない点での、強い意思統一が大切です。
 いまの労働条件はどうなっているのか、どこの改善をもとめる要求がつよいのか、国家公務員法からはなれ、法人と直接交渉しなければならない労働条件は、などを見つめ直すことからたたかいがはじまります。アンケートといっしょに、学習をつよめましょう。

表1 公務員賃金の社会的性格・影響力
●日本の平均的な賃金水準の目安となっており、各種の社会的給付制度を考える際の参考とされていること
●人事院の公表する標準生計費は民間賃金体系のあり方を左右していること
●単身者世帯生計費は、最低賃金と伸び率、水準とほぼ連動し、最低賃金の動向に大きな影響を与えていること
●2人以上世帯生計費は、民間賃金のライフサイクルに伴う生計費に対応した最低保障額の根拠とされるケースが多いこと
●保障額の根拠とされているケースが多いこと
●公務員給与制度は一般的な「モデル賃金」的な役割をもっており、民間の賃金制度の検討にあたっても、モデルとして参考にされることが多いこと

表2 能力・業績主義めざす公務員制度改革の動き
●人事院の「新たな時代の公務員人事管理を考える研究会」の報告書「公務員人事管理の改革−柔軟で開放的なシステムを目指して」(98年3月)
 「人材育成」に関して、U・V種採用者の登用、スタッフ職の本格活用など「複線的な人事管理」の導入、部内育成が困難な中途採用活用や高度専門職活用のための条件整備、「給与」に関しては能力・実績に応じた給与処遇などを提言。従来の「単線型」人事から「複線型」への移行、給与と昇進等の年功的運用の見直し、実績評価の仕組みの検討とそのための評価方法の確立がめざされている。
●公務員制度調査会「基本答申」(99年3月16日)
 「能力・実績に応じた給与」の推進策として、採用年次によらない厳格な昇進管理、自己申告制の活用、特昇・勤勉手当運用のための「適切な目標の設定」、給与における勤続年功要素の縮小、昇給の在り方の検討、幹部職員給与への職責反映と年俸制の検討。「人事評価」では、現行勤務評定制度の全般的な見直し(役職段階ごとの能力基準の設定、評価技法開発と本人通知の検討、自己評価制度、目標管理手法の導入研究)にふれる。
●総務庁「人事評価研究会」報告・「国家公務員の新たな人事評価システムの基本的指針について」(2000年5月)
 能力と業績を重視する人事管理システム確立のための新たな人事評価システム(能力評価と業績評価)を構築・導入することをめざし、そのための具体的な評価手法のあり方(目標管理による業績評価や行動特性に基づく能力評価)などを提言。総じて、行政スリム化などの「行政改革」の推進や、逆転人事を含む弾力的な人事管理の強化、民間企業などでの評価システム変化への対応を意識したものになっているのが特徴。
●人事院「能力、実績等の評価・活用に関する研究会」中間報告(2000年6月)
 99年9月以降8回の討議結果をふまえ、評価制度の検討方向についての大綱的な内容を示しているが、全体として個人の能力や業績の評価を賃金、昇進、配置などにむすびつける民間類似の能力・成果主義に基づく人事制度にシフトしようとの意図が貫かれており、内容的にも総務庁の研究会と大同小異のものである。

表3  人事評価システムの改革方向
●公務と公務労働の特性を踏まえた制度であること
(1)公務サービスの継続性、安定性、全国的な統一性保持という側面、(2)国民の権利への最大限配慮等、(3)結果だけでなく手続やサービスの質の重要性、(4)私法上の雇用関係と異なる労使関係の特性(労働基本権の制約、当事者能力の制約など)
――こうした公務の特性にふさわしい評価制度でなければならず、単純に民間の制度を引き写すようなやり方はなじみません。
●公平・客観的で納得が得られる手法・基準、手続であること
(1)評価者の主観的判断や恣意性を排除する公正・客観的な評価手法・評価基準の確立と評価者訓練の徹底
(2)上位評定者等のいわゆる「分布制限」の排除と「絶対評価」を貫くこと
(3)職員への「圧力」とならない面談方法の確立
(4)評価プロセスおよび評価結果への本人への開示、評価結果への同意原則の確立、本人の反論機会の保障
(5)本人不同意の場合の再評価手続の整備や、職員が苦情や異議を申し立てたことに対する不利益取扱いの禁止

表4 公務員賃金闘争の基本目標(99年の国公全活会議で確認)
●「初任給水準の底上げ」
●「ライフサイクルに応じた生計費確保」
●「熟練と専門性の高まりの正当な評価」
●「将来が明確に見通せる賃金の確立」

職場の現状を出発点にした要求を瞳のように大切に
  官民で力をあわせて春闘をたたかいましょう。


●春闘の役割とはなんでしょう?

○積極的な要求かかげ職場・地域から結集を
 1950年代半ばからはじまった春闘は、労働者の生活改善を求めるたたかいの場として発展し、全国統一ストライキなどの積極的な闘争によって、賃上げをはじめとした要求の前進をきりひらいてきました。
 しかし今日、政府・財界による攻撃の強まりのなか、賃上げは年々低くおさえこまれ、「春闘連敗」を余儀なくされています。
 くわえて、最近では、連合傘下の鉄鋼労連や電機連合が、2年に1回の労働協約の改訂をめざす「隔年春闘」をうちだしたり、私鉄総連が2000年春闘で 統一闘争の柱であった中央集団交渉をとりやめるなど、労働組合みずからが春闘そのものを解体する動きもめだっています。
 しかし、春闘は本当にその役割をうしないつつあるのでしょうか。

○全国的な統一闘争がようきゅ宇前進勝ちとる
 2000年春闘は、ベア・ゼロ攻撃のなかで、全労連・春闘共闘に参加する多くの労働組合も、きびしい賃上げ回答をせまられました。
 しかし、そのなかで、交通運輸や建設関連の労働者が結集する建交労は、全国179社が参加する春闘の集団交渉によって、最低賃金の引き上げを勝ち取り、また、JMIUは、「JC回答」以降も、ねばりづよく交渉をかさね、連合を上回る賃上げ回答を引き出しています。たたかいのなかで、時短など数々の要求も前進させています。
 これらは、ナショナルセンターに結集し、統一要求にもとづく統一闘争を全国的にひろげた結果です。
 みんなでつくりあげた統一要求を瞳のように大切にし、その要求を旗印に職場や地域からたたかいに結集したからこそ、一歩また一歩と要求が前進していったのではないでしょうか。

○自分たちの手で春闘をつくろう
 春闘期にたたかいを集中させることによって生み出される力は、はかりしれません。私たちがアンケートにもとづく積極的な要求をかかげ、国民春闘に結集する意義もそこにあります。


●職場では、非常勤職員などが増えています。どう連帯したらいいのでしょうか。

○非常勤職員と手をたずさえともにたたかいめざして
 リストラ「合理化」により正社員が減るいっぽうで、パート・派遣労働者が増加し、全就業者の26%にまで達しています。
 しかし、これら不安定雇用労働者の労働組合への組織率はわずか2・5%とされ(別表)、労働組合とは無縁のなかで、劣悪な賃金と労働条件にさらされているのが実態です。
 実際、労働省のパートタイマー実態調査(95年)によれば、会社への不満のうち賃金が安いが5割をこえるなど、正社員にくらべて低い賃金への不満がしめされています。
 不安定雇用労働者の比重が高まるもとで、その生活と権利をまもることは、労働組合がとりくまなければならない重要な課題です。
 底なしの賃下げを押しつけられている労働者を放置したままでは、全体の賃上げは前進しません。

○話し合いがなければ要求も解決しない
 公務の職場も例外ではありません。定員削減のもとで増加する非常勤職員は、日常の業務をささえる大切な存在でありながらも、労働条件の改善はまだまだ遅れています。労働組合への加入もすすんでいません。
 この状況を変えていくには、まず非常勤職員の要求を明らかにし、その実現にむけて、行動への参加や労働組合への加入を呼びかけるなど、常勤・非常勤の枠をこえた運動を追求する必要があります。
 職場の現状を出発点にして、ともに話し合い、ともに要求をつくりだすことはその第一歩です。



トップページへ   国公労新聞へ