国公労新聞 第1052号

 人事院が調整手当の改悪を強行
 --賃金のトリプル改悪許さないたたかいを

 7月6日、人事院は国公労連との交渉で、調整手当「見直し」にかかわって、「最終的な判断」とする回答をおこなってきました。 その内容は、(1)4月24日の人事院提案で、指定解除、切り下げ対象地域としていた23地域の内から10地域を除外する、(2)指定解除等をおこなう地域には激変緩和のため、7年間の経過措置を設ける、(3)つくば市など11地域について、新規指定もしくは支給区分の引き上げをおこなう、ことなどです(別表参照)。
 結果として、14地域(官署のある地域数は12)の調整手当を引き下げるとの回答であり、改悪提案に他なりません。
 国公労連は「白紙撤回」と再度の検討を迫りましたが、人事院は「ぎりぎりの判断であり、再考の余地はない」とする強行姿勢を崩しませんでした。

  ●破綻していた人事院の「見直し」論理

 人事院が調整手当「見直し」作業を具体化させたのは、昨年4月でした。国公労連は、一貫してその作業の中止を求めてきましたが、それは、年収ベースも含めた賃下げの危険性がある中で、一部の職員に追い打ちをかける手当改悪は、極めて不当だと考えたからです。また、人事院の「見直し」手法では、データ処理や誤差の扱いなどの矛盾が多いこと、基準も曖昧で人事管理上の混乱などが避けらないこと、などを重要な問題点として指摘しつづけました。
 その結果、「2段階落ちなしの特例」や「1段下基準の適用」など、人事院が見直し基準を次々に「緩和」せざるを得なくなるまで追いつめてきました。そのことは、賃金及び物価、生計費の3指標をもとに、全国平均指数との格差を根拠にして調整手当支給地域を決定する手法の破綻を意味しています。にもかかわらず、人事院は、4月24日に切り下げ対象23地域(国公労働者約5万人)を提示してきました。その後も、国公労連は、「切り下げ改悪反対」を基本に、取り組みと人事院追及を強め、二度にわたって対象地域を除外させ、結果として14地域(実際に職員が勤務する地域としては12地域、国公労働者1万人弱)にまで押し返してきました。全国の仲間の奮闘が反映した結果です。

  ●調手改悪の道理のなさ引きつづき追及

 しかし人事院は、2000年勧告前の「決着」に固執し、連合・公務員連絡会が「合意による成案」を求めてきたことを最大限活用して、先の「最終判断」を強引に押しつけてきたのです。その点でも、人事院の対応と強行姿勢は不当です。 足かけ2年の調整手当改悪反対闘争では、地方段階での公務大産別の共同前進や、地方議会での「改悪反対決議」の採択など、運動面での多くの前進面があります。
 そのような運動の到達点を確信に、調整手当改悪強行の道理のなさを引き続き追及する必要があります。そのためにも、一時金、月例賃金、調整手当の「賃金のトリプル改悪」反対を前面に掲げ、勧告に向けた職場・地域からのたたかいを強めていきましょう。


落とせ不夜城 仲間の命と健康を守ろう
--霞が関定時退庁行動を実施

 【東京国公発】「落とせ不夜城」と題して、東京国公・霞国公は6月21日、定時退庁行動に取り組みました。
 東京国公・霞国公が実施した今年の残業アンケート(回答は10単組3416名)によると、約8割の人が通常業務を残業で処理しており、5割以上の人が平均的退庁時間は20時台だと訴えています。「政府の決めた定時退庁日にも帰れない、管理者も定時退庁の働きかけをしない」。そして、「健康に不安」を感じながら働いている本省庁の勤務実態が明らかになっています。
 総務庁は5月24日、「労働時間短縮対策」の改定をおこないましたが、昨年、人事院が示した「超過勤務の年間上限目安360時間」も盛り込まれず、人員確保の面でも今後10年間で10%定員削減を打ち出すもとでは、実効性に強い疑問をもたざるを得ません。
 このような中で実施した今回の定時退庁行動は、準備段階から、国公労連・各単組本部の全面的な協力をいただきました。各職場の仲間からは、「事前の宣伝が効果的で帰りやすかった」「管理者も気を使っていたよ」「見回っても気持ちが良かった」などの声が寄せられています。完全な「不夜城陥落」とまではなりませんでしたが、確かな手応えを実感した定時退庁行動でした。


「感動の連続の三日間」
--国公労連第14回労働学校ひらく

 国公労連の第14回労働学校が、6月29日から7月1日までの3日間、静岡県伊東市でひらかれ、10単組7ブロック3県国公から91名が参加しました。
 今回の労働学校では、4つの講義と分科会がおこなわれました。第1講義は、経済情勢をわかりやすく分析した「21世紀、この日本はどこへ向かおうとしているのか」(岡嶋明労働者教育協会理事・元東京経済大学講師)。第2講義は、「憲法の基本的理念とその人権思想」(森英樹名古屋大学法学部教授)。第3講義は、「645兆円の財政赤字をどう考えるか」(中西啓之都留文科大学教授)。第4講義は、「賃金・雇用破壊とともに進む医療・社会保障の大改悪」(西岡幸泰専修大学経済学部教授)。
 昨年の第13回労働学校の参加者の要望で、いちばん多かったのが、分科会の改善でした。多くの参加者から、「分科会の時間(90分間)を長くして欲しい」「一つの分科会の人数(23人)を少なくして、参加者一人ひとりの意見を出しやすくして欲しい」という要望が寄せられました。
 この要望を受けて、今年の労働学校では、分科会の時間を2時間50分に増やすとともに、分科会の数を昨年より2つ増やして6つの分科会とし一つの分科会の人数を14人程度にしました。 分科会のテーマは、第2、第3、第4講義の課題別に設定し、第1講義はすべての分科会を通じて討論しました。
 また、文化企画は、社会派創作落語「ストップ・ザ・独立行政法人」を笑福亭松枝(しょうし)師匠に演じていただき、爆笑のなかで行革問題を考えました。

●参加者の声

 全司法(19歳) 大きなテーマを様々な方向から考え、組合の運動の背景にある日本の経済問題を考える機会になり、組合活動の意味というものをあらためて感じました。また、全国の組合員が集まり、その中で、意見交換や交流を深めることができたこともよい学習になりました。
 全法務(31歳) 今回の総選挙で革新勢力の力が弱まり、将来に対し不安を覚えていましたが、新たなるたたかいの前進への指針を得られました。
 全労働(31歳) 感動の連続の三日間でした。吸収できたものを後輩に伝えます。
 沖縄県国公(30歳) すべての講義がわかりやすく、よく理解できました。組合運動の土台になる学習ができ、今後、地域・職場の運動にいかしていきたいと思います。
 全建労 講義を聞いて、いま何をすべきなのかよくわかり展望が持てました。

●分科会の感想

 全労働(31歳) 分科会の時間の確保ができたことは、とても良かったと思います。先輩方からいろいろと意見が聞けて有意義でした。
 和歌山県国公(30歳) いろいろな単組の方々との積極的な議論を通して、様々な意見や情報が得られ、また親睦がはかられたことが何よりも良かったです。
 青森県国公(56歳) 講義でわからなかったことが分科会の討論の中で、補充されました。そして、各単組、県国公の取り組みが聞けてよかったです。
 全運輸(40歳) 参加者の方々の目的意識の高さに圧倒されました。運動の方向性をあらためて認識でき、非常に有意義でした。目からウロコが落ちたような感じです。

●文化企画・社会派創作落語「ストップ・ザ・独立行政法人」(笑福亭松枝師匠)の感想

 全気象(39歳) 大変おもしろかった。この落語を大勢の人に聞いてもらいたい。
 全運輸(33歳) 学習づめの中で一服の清涼剤でした。笑いの中に「独法化」が国民に対してどんな形で悪影響をおよぼすか具体的に見える内容でした。
 全通産(37歳) Good! 職場でこの企画を中心に宣伝します。
 北海道ブロック(44歳) おもしろい!の一言ではつくせない社会への申立…このようなスタイルで労組活動もできるとよいのでは。


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