国公労新聞 第1041号

25%定削反対団体署名を集めよう
   --組合員一人ひとりのあらゆるつながりいかして地域の中へ

 行政サービスの切りすて、独立行政法人化など国民犠牲の攻撃をくいとめるには、国民的な世論のひろがりが決定的に重要です。
 また、今国会で審議が予定されている「総定員法」ともかかわって、「25%定員削減」反対の声を国会に集中させることが求められています。
 こうした運動をひろげるためには、私たちの要求をひろく明らかにし、多くの人たちから賛同や協力を求めていく必要があります。そして、そのたたかいの柱として、3万団体を目標とした団体請願署名がとりくまれています。

 ●地域へ足をふみだし、対話と共同広げよう

 団体署名の対象としては、労働組合・民主団体、それぞれの行政に関連する諸団体、さらには、地元自治会や老人会、地域のサークルなどがあげられます。
 あらゆるつながりを検討し、職場や地域から手の届く団体を訪問したり、懇談の場を持つなどして、協力をよびかけることが、これまでの「対話と共同」を軸とした行革闘争をさらに発展させることとなります。外に足を出し、声も出す―そこに署名運動の意義があります。

 ●仲間のチームワークでみんなのパワー発揮を

 個人署名とは少しスタイルがちがい、外部の団体から署名を集めるうえから、支部・分会単位での組織的な運動がよりいっそう重視されることとなります。
 そのために、職場でのきちんとした意思統一は不可欠です。たとえば、対象団体をどう選ぶか、いつ要請に行くか、だれが担当するかなど、執行部がまず計画をたて、それを職場集会などを通して全員に徹底します。そのうえで、組合員全員で任務を分担しあい、みんなで行動します。
 このように、労働組合としてのチームワークを十分に発揮することが求められており、それはまた、組合員それぞれの条件にもあわせて、一人ひとりの力を出し切ることでもあります。
 こうした行動を通して新たなつながりをもった団体は、行革闘争をはじめ今後の共同の発展にむけた「財産」となります。こうした運動の意義をあらためて確認し、団体署名を積極的な立場ですすめていく必要があります。


3・23春闘勝利、調手改悪阻止「早朝職場集会」に全員結集を

 ●7千人を超える民間・公務労働者が春闘中央行動

 2000年春闘は、3月15日の回答指定日にむけて、大きなヤマ場を迎えています。財界・日経連は、労働者犠牲、日本経済を破壊してまでも国際競争力を高めることを至上課題として、「賃下げ春闘」「リストラ春闘」を強行しようとしています。
 国民春闘共闘・全労連は、これと対決し、生活と労働の実態にもとづく要求と年金、医療、解雇規制など国民的な諸要求の実現をめざして奮闘しています。
 2・25怒りの総行動では、47都道府県でデモや集会など、多彩なとりくみが展開されました。また、3・7中央行動では、4500人を結集した「民間労働者総決起集会」をはじめ、官民労働者が霞が関総行動を展開。国公労連も公務労組連絡会に結集し、2000人規模の総行動を成功させ、ヤマ場にむけた決意を固めあいました。
 現在とりくんでいる全国縦断キャラバンを軸に、賃下げ・リストラ春闘を許さず、悪政を強行する自自公政府を包囲する国民春闘・地域春闘をねばり強く展開しましょう。

 ●調整手当改悪問題が重大な局面に

 国公労連は、2月16日に政府、人事院に対して春闘要求書を提出し、3月23日に予定する最終交渉にむけ各レベルでの交渉を重ねています。
 この間の人事院交渉では、調整手当改悪の問題が大きな争点として浮上しています。人事院は、昨年12月の見直しスケジュールに続き、2月18日には、「見直し基準」なるものを提示してきました。その内容は、指標に関わるデータ問題など、これまでの国公労連の追及にまともな回答もせず、しゃにむに改悪作業を強行しようとするもので、とうてい容認できるものではありません。
 とりわけ、重大なことは、連合・公務員連絡会が、「抜本改善要求をふまえた検討の確約」がとれたとして、事実上の「条件闘争」をすすめようとしていることです。
 こうした情勢から国公労連は、3月8日、緊急の単組・地方組織代表者会議を開き、最終回答にむけたとりくみの意思統一をおこないましたが、人事院の不当な姿勢を厳しく糾弾する職場・地域からのとりくみがきわめて重要になっています。
 3・16統一行動、3・22中央行動、23日の全国統一行動・全員結集の「早朝職場集会」の成功にむけて、全力をあげて奮闘しましょう。


〈特集〉介護保険Q&A
    「保険あって介護なし」にさせないために

 4月から介護保険制度がスタートします。高齢化や少子化がすすむなかで、お年寄りの介護をどうするかは、誰もがさけて通れない問題です。
 みんなが力を寄せ合い、高齢者の介護をささえていく―そんなイメージをもたせる介護保険制度ですが、実施が目前になっても、ほんとうに実効ある制度となるのかとの疑問の声が多くあるのが現実です。 
 私たち国公労働者をふくめて、40歳以上の国民から集める総額2兆円の保険料が、いったいどのように使われるのか、家族が介護を必要とした場合、どんなサービスが受けられるのか、などさまざまな不安もあります。介護サービスの内容などは各自治体によって違いますが、介護保険制度のおおまかなしくみと問題点について整理してみました。

●Q1 介護保険制度はどんなしくみ?

○A1 介護保険制度は、本人の意思に関係なく加入することになる「強制加入の保険」です。
 保険料の額や支払い方法などは、65歳を境に変わります。
 介護保険の財源は、国民の保険料と国・地方自治体の負担金で成り立っています。介護保険法は、老人福祉法による措置制度を事実上なくし、国の負担を50%から25%へ後退させ、現行の福祉サービスの水準を切り下げるものになっています。 
 介護サービスは、大きくは在宅と施設の2系統に分けられます。65歳をこえて、介護サービスが必要と「認定」されれば、それにかかる費用にともなって保険から給付されます。40〜64歳は、老化が原因とされる15の特定疾患による障害にかぎってサービスをうけることができます。

〈サービスを充実させるとりくみはこれから〉
 介護保険制度は、もともとあった高齢者の医療や保険・福祉制度の一部を、新たな保険制度に切り換えたに過ぎないともいえます。
 制度の創設そのものにかかわっても、さまざまな意見がありました。しかし、十分な討論のないまま、97年12月の国会で成立しています。  
 したがって、「保険あって介護なし」とさせず、介護サービスを充実させるとりくみは、むしろこれからが大切です。

●Q2 だれでも介護サービスがうけられますか?

○A2 介護サービスを必要とし希望する場合は、住んでいる市町村の窓口に申請をします。
 コンピューターによる一次判定をもとに、市町村に設置された「介護認定審査会」が二次判定をおこない、「自立」「要支援」「要介護1〜5」の7区分に判定し、申請から1ヶ月以内に結果が通知されます。「自立」(施設入所の場合は「要支援」も)と判定されると、申請が却下され、サービスの対象にはなりません。
 審査委員は、審査するお年寄りを知らないことが多く、正確な判定ができるかどうかが懸念されています。申請受付は昨年10月から始まっていますが、実際に国や自治体の援助で介護を受けている人が、「介護必要なし」と判定されるケースがでてきています。家族・住宅・経済状況によって、介護サービスの必要度もちがってきます。お年寄りとその家族がおかれている生活実態を、総合的に判断できるしくみこそ必要です。
 もし、事実と違う調査結果になっているときは、「再申請」をして調査のやり直しを求めることができます。さらに、再調査の結果に納得できない場合は、都道府県に設置してある「介護保険審査会」に審査請求(不服審査請求)することができます。

●Q3 どのような介護サービスをうけられますか?

○A3 介護保険で受けられる在宅サービスは10数種類、入所できる施設は大別して3種類あります。  
 どのサービスをいつ・どれだけ利用するかは、ケアマネージャー(介護支援専門員)と利用者が相談してケアプラン(介護サービス利用計画)をつくり、それにしたがうことになります。 在宅サービスは、「要支援」または「要介護1〜5」と判定された人が対象となります。「要介護1〜5」と認定された人は、在宅にくわえ、施設サービスを選ぶことができます。

〈特養ホームに入れない待機者は9万人〉
 しかし、特養ホームやホームヘルパーなどの不足から、必要なときに介護サービスを受けられないことが懸念されています。介護サービスの整備目標とされる、厚生省の「新ゴールドプラン」(95〜99年度)を達成しても、特養ホームに入所できない待機者は9万人に上ると見込まれています。
 また、ホームヘルパーの不足から、訪問介護サービスの「家事援助」について、厚生省は「同居家族が障害・疾病や、同様のやむを得ない事情で家事を行うことが困難な場合に利用できる」と限定し、利用できる範囲をせばめてしまいました。
 なお、介護保険サービスを利用しない低所得者へは、年額10万円の「家族介護慰労金」が給付されます。

●Q4 サービスをうける場合の利用料はどうなりますか?

○A4 介護が必要と認定された65歳以上のお年寄りは、要介護度別の上限額の枠内で施設や在宅サービスを利用した場合、その費用の1割を毎月、利用料として払わなければなりません。 
 これまでの福祉制度で介護を受けている人のなかには、現在受けている介護サービスが支給限度額を超えてしまう人がでてきます。
 もし、支給限度額を超えると、超えた分は保険がきかないため、自己負担となります。たとえば、手厚い介護で痴呆の進行をおさえてきたお年寄りが、負担増をせまられ、在宅サービスをうち切らざるをえないという事態もおこりかねません。24時間の訪問介護など、介護に力を入れてきた自治体ほど影響が大きくなります。

〈低所得者に対する恒常的な減免制度を〉
 また、費用の1割負担は、いま無料の人にも新たな負担となり、介護を受けたくても、経済的理由から受けられない人をたくさん生み出してしまいます。
 政府は、昨年11月の「特別対策」で、低所得者に対して「軽減策」を盛り込んだものの、その実施は市町村まかせとなっています。しかも適用される期限や対象がごくわずかに限られています。
 現行のサービス水準を低下させないために、国の責任による恒常的な利用料の減免制度が求められます。

●Q5 だれが保険をささえるの?

○A5 保険料は、40歳以上のすべての国民が毎月支払います。40歳から64歳までを「第2号被保険者」、65歳以上を「第1号被保険者」と区別しています。
 40〜64歳の保険料の金額・支払い方法は、その人が加入している医療保険の種類によってちがってきますが、医療保険の保険料と合算して、徴収されます。国民健康保険の場合、厚生省が示した介護保険料は、一人あたり平均で月1280円です。国家公務員の場合、介護保険料(掛金)率は、各共済組合ごとに設定されます。
 65歳以上の保険料は、市町村および区(東京都)ごとに決められ、大部分は年金からの天引きとなります。

〈多くのお年寄りが制度から除外される〉
 65歳以上の保険料は、政府の「特別対策」により4月から半年間は徴収されず、その後1年間は半額となりました。しかし、期限付きの措置で、総選挙目当ての中途半端な対策との批判の声もあがっています。
 とくに、高齢者の約7割をしめるとされる住民税非課税の対象者も保険料が徴収されるため、払えないお年寄りが制度から除外される可能性があります。

〈地域から運動をひろげよう〉
 こうした人たちの保険料を減免する措置を国に求めていくとともに、各自治体での独自の減免制度の拡大にむけて、地域から運動をひろげていくことが大切です。

国の責任で制度の抜本的な拡充を

 憲法第25条は、国民の生存権をさだめ、国はそれを実現する義務を負っています。介護保険でも、財政措置をふくめて国が主体的な役割を果たす必要があります。さまざまな問題点が指摘されるなかで、政府は、制度の拡充にむけた対策を急ぐべきです。 
 その第1は、基盤整備です。国が各種の介護サービスを整備する「新ゴールドプラン」を達成しても不十分なうえに、多くの自治体では達成の見通しがたっていません。 
 自治体財政が悪化している今、国が責任を持って基盤づくりを急ぐ必要があります。ホームヘルパーの増員、特別養護老人ホーム建設の国庫補助の引き上げ、用地取得への助成など早急に具体的な対策を講じるべきです。 第2は、すべての人に平等な制度づくりです。
入居中の特別養護老人ホームから追い出しをせまられる例が実際に出ており、マスコミも、行き場を失った「介護難民」も出ると警告しています。また、保険料や利用料が払えない低所得者は、制度から排除されてしまいます。
 せっかく、保険制度をつくっても、利用者の負担が重くなったり、低所得者を排除するとは本末転倒です。すべての人たちが平等にサービスを受けられるために、利用料の助成や減免をはじめ、
せめて住民税非課税者の保険料の免除が必要です。 そして第3に、国の予算の増額です。介護保険では、給付費の半分を保険料でまかない、国と自治体がそれぞれ25%を負担します。現行の福祉予算より、国庫負担は2千3百億円も削られます。国民負担を減らすためにも、国庫負担を50%まで増額すべきであり、その予算措置は8千億円で可能です。また、年間数千億円の予算で、特別養護老人ホームの不足が解消されます。住民税非課税のお年寄りの保険料免除は、約5千億円で可能です。そして、これらの財源は、ゼネコン奉仕の大型公共事業予算を削り、その一部を社会保障費にまわすことで、ただちに確保できます。
 公共事業に50兆円、社会保障に20兆円という逆立ちした税金の使いかたをあらため、国民本位の行財政に転換させていくたたかいともむすびつけ、介護保険の充実にむけた国民的な運動に、私たち自身が参加していくことがもとめられています。


〈連載〉憲法を考える 第1回
    なぜ、いま憲法を学ぶのか? 進めよう! 憲法遵守職場宣言運動

 国公労連は、昨年の定期大会で、「国民犠牲・大企業本位の国づくりを許さず、憲法を暮らしにいかす行財政・司法の確立を」のスローガンを採択し、その具体化の一つとして「憲法遵守職場宣言運動」(以下「宣言運動」と略)をあらためて提起しています。いま、日本国憲法をめぐる危険な動きが強まっており、憲法のもつ積極的な役割を確認していくことが必要です。
 「宣言運動」のもつ意義をより明確にしていくために、4回にわたって、「〈連載〉憲法を考える」を掲載していくこととしました。職場での憲法学習や「宣言運動」推進のための討議資料として、このシリーズの活用をお願いします。

●憲法の値打ちは
 今回は、「なぜいま、憲法を学ぶのか」を考えてみます。まず、憲法の「値打ち」はどこにあるのでしょうか。
 日本国憲法の施行から3カ月後、1947年8月に文部省は、中学1年生の教科書として、『あたらしい憲法のはなし』を発行しました。

●戦争放棄--正しいことより強いものはない
 『あたらしい憲法のはなし』には、「こんどの憲法では、日本の国が、決して二度と戦争をしないように、二つのことを決めました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないということです。…もう一つは、戦争の放棄です。…しかしみなさんは、けっして心細く思うことはありません。日本は正しいことを、他の国より先に行ったのです。世の中に正しいことぐらい強いものはありません」と書かれています。 しかし、この教科書は2、3年使われただけで、1950年に朝鮮戦争がはじまり、やがて日米安保条約の締結や自衛隊の創設という「歴史の中」で、教室から姿を消してしまいました。

●2千数百万の犠牲--悲惨な戦争への反省の上に
 1946年11月3日に発布され、翌47年5月3日に施行された日本国憲法は、日本国民310万人の犠牲と中国などアジアを中心に2千万人の人々の命が奪われ、国土が焦土と化し、ヒロシマ・ナガサキの原爆投下という悲惨な戦争への反省の上に、つくりあげられたものです。
 そのことから日本国憲法には、国民主権・恒久平和・基本的人権・議会制民主主義・地方自治を原則にし、天皇主権を排除したのです。とりわけ憲法前文には、基本的人権を高らかにうたいあげ、戦争を二度と起こさない決意がうたわれています。
 しかし、この憲法を改悪しようとする動きが、いま強まっています。

●憲法の根幹ゆるがすさまざまな悪法が
 昨年の通常国会では、国民や自治体・行政機関にアメリカの戦争に協力を強制する戦争法(新ガイドライン関連法)をはじめ、プライバシーを侵害する盗聴法や住民基本台帳法、思想信条の自由をふみにじる「日の丸・君が代」法制化、地方自治の基本原則をふまえない地方分権一括法など、恒久平和や国民主権を基本原則とした日本国憲法の根幹を揺るがす悪法が次々と強行成立させられました。

●憲法ないがしろにする「行革」攻撃
 また、国民犠牲の「行革」攻撃は、大企業本位の国づくり、「戦争をする国」をめざすものです。独立行政法人化や25%定員削減などの行政スリム化が、医療・教育などを「ねらい打ち」しています。そのことは、国民の基本的人権、とくに生存権や教育権など国がその実現のために負うべき責任を放棄することにほかなりません。
 今年1月に衆議院と参議院にそれぞれ設置された憲法調査会では、「3年後には新しい憲法の概念を示し、5年目には新憲法を制定」(野田自由党幹事)などと、露骨に「改正」を求める意見が主張されています。「憲法は現実と乖離」と述べていますが、「だから憲法改正」ではなく、なぜどこが乖離しているのかを徹底して調査し、見直すべきが何かを明らかにすることが大事ではないでしょうか。

●憲法九条は国際的平和運動の旗印
 昨年5月にオランダ・ハーグで開かれた「世界平和市民会議」では、日本国憲法九条をみならって、世界各国の議会で政府が戦争することを禁止する決議を採択すべきだとされました。日本国憲法の平和原則の先駆性が、世界的にも認められたのです。「憲法は五十数年たって古くなった」式の意見もありますが、世界の流れはその逆です。
 憲法の5原則から、行財政・司法の現状を見つめ直し、変えるべきは何かを考えていく第一歩として、「憲法遵守職場宣言運動」にとりくみましょう。(次号につづく)


国家公務員倫理規程について審査会が内閣へ意見の申し出
 人事院に置かれた国家公務員倫理審査会は、2月4日、内閣に対し「国家公務員倫理審査規程(案)」について意見の申し出をおこないました。
 この意見の申し出は、昨年8月13日に公布された国家公務員倫理法(本年4月1日施行)に基づくものです。職員の職務に関する利害関係者との間の「贈与等の禁止」「接触」、国民の疑惑や不信を招くような行為に関し、職員が遵守すべき事項などを規定しています。

●倫理規程案の内容
 規程案では、利害関係者から、(1)金銭、物品または不動産の贈与(せん別、祝儀、香典または供花等としての贈与を含む)、(2)供応接待、(3)役務の無償提供、(4)物品・不動産の無償貸与、(5)金銭の貸付け(業としておこなわれる金銭の貸付を除く)、(6)未公開株の譲渡、を受けることを禁止しています。
 しかし、(1)会議等にともなう湯茶及び菓子または簡素な食事、(2)立食パーティーでの飲食物及び記念品、(3)事務所等の訪問の際の事務用品及び車両による移動の便宜、(4)一般に広く配布されている宣伝用物品、記念品、の提供を受けることは禁止規定の例外としています。
 なお、自己の費用を負担する場合(いわゆる割り勘)であっても利害関係者との旅行、ゴルフ等の遊技や会食をすることは禁止しています。また、相手が利害関係者以外の者であっても、社会通念を超えた過度の接待等やいわゆるつけ回しは禁止しています。
 利害関係者とは、「職員の現在の官職(異動後3年間は異動前の官職を含む)における職務の対象者及び契約の相手方」となっていますが、本省の局長や審議官については所属省庁の許認可等の対象者も含まれます。
 なお、利害関係者であっても、親類や友人といった私的な関係を有する者との間では、国民の疑惑や不信を招くおそれがないとされる場合には、禁止行為が解除されるとしています。
 今後、倫理規程案は、閣議決定を経て政令として公布され、本年4月1日から施行されることとなっています。また、各省庁は、倫理審査会の同意を経て、その所属する職員の職務に係る倫理に関する訓令を定めることとされています。
 さらに、倫理審査会は、倫理規程などに違反した場合の懲戒処分の基準を示す予定となっています。

●ガラス張りの行政への一方策として
 近年、深刻な公務員の不祥事問題が多発し行政に対する信頼を損ねています。また、各省によって問題とされる不祥事や処分にちがいがあることや「上に甘く、下にきびしい」ことに、公務内外の不信は少なくありません。その点ではガラス張りの行政を望む国民の声に応える一方策として倫理法の成立は意義があります。

●キャリア特権システム、政官財ゆ着--腐敗構造へのメスが必要
 しかし、「キャリア」特権を中心とした人事管理システムや、「政・官・財」のゆ着といった構造的な原因は倫理法だけで是正できるものではありません。倫理規定案でも政治家やその秘書が、利害関係者の対象外となっていること、職場の内部告発権の保障や不当な勤務命令に対する異議申し立てが確立されていないことなどの課題を残しています。


トップページへ   国公労新聞へ