国公労新聞 第1023号

 国民生活切りすて大企業奉仕の行革の具体化に反対しねばり強くたたかおう
--行革法採決強行に抗議する--
 7月8日の参院本会議で、中央省庁等改革関連17法(行革関連法)と地方分権一括法の採決が強行され、自民、自由、公明、社民などの賛成で可決・成立しました(民主党は行革関連法に反対、分権法に賛成。共産党は両法に反対)。国公労連は、法案の成立にあたって、声明「国民生活切り捨て、大企業奉仕の行政改革の具体化に反対してねばり強くたたかう」を発表し、組合員の奮闘を訴えています。

 ●国民不在の暴挙

 行革関連法成立によって、「1府12省」などの省庁再編を2001年1月1日から実施すること、国と地方の事務配分を2000年4月1日から再編・整理することが確定しました。このような大規模な行政組織の再編、行政事務の再配分は、主権者国民に対する国の責任と関与の変更をともなうものです。それだけに、「何のため、誰のための改革か」を明らかにし、国民的な議論をつくすことが求められていました。
 しかし、衆参通じた法案の審議日数は、公聴会も含めて23日間ほどにすぎませんでした。行革関連法の基本方針となった行革会議最終報告(97年12月)が、決定まで42日間の審議がかかったことから見ても、これは、先例のないきわめて不十分な審議日数であり、異常な事態です。
 参院特別委員会では、自民党議員(阿南一成議員、6月28日)からも、「これだけうず高く積まれた法律案を今すぐ通すことが国民のためになるものなのか判断する十分な情報を持っていないのが現状」「福祉行政を減量化するならば、弱者を切り捨てにならないのか」「何が改善され国民のための行政になるのか」という質問が出されました。国会内の「多数」を背景に、国民的な議論を抜きにして、行政の根幹部分の改革を強引に決定するという暴挙です。
 行革関連法の成立をもって、国の役割重点化と国民生活関連部門の切り捨てや、首相権限の強化・内閣機能の強化の名による一層の中央集権化や政府の専横など、憲法理念にふれる改革内容に、国民的な合意が確立したとは到底言えません。
 行革会議設置から3年間、国公労連は、た国民生活重視の行財政確立を求める運動を軸に、行政切りすての改革に反対するたたかいを続けてきました。そして、行革に反対するものを「非国民」とさえ批判する状況を変え、私たちの主張に国民的支持や共闘が広がってきました。その到達点を確信に行革の具体化に反対するたたかいの強化が求められます。

 ●「戦争をする国」財界本位の改革

 行革のねらいが次のような点にあることは、短期間の国会審議でも明らかになっています。
 (1)国の役割を治安、防衛、外交や基本的な政策の企画立案などに「重点化」するために省庁を再編すること、(2)本来不可分の関係にある企画立案と実施部門を「分離」し、実施部門については民営化、独立行政法人化民間委託などの手法で行政「減量化」をおこなうこと、(3)「重点化」した国の役割のもとで、首相に重要な政策の決定権限を集中させること、(4)首相を補佐する内閣官房、内閣府の中心的機関(経済財政諮問会議など)に「民間人を登用」して、財界のもとめる施策を速やかに決定し、行政に反映させる仕組みを作ること、(5)これらの狙いを覆い隠すためにも「国家公務員の25%削減」「行政コストの30%削減」などを行革の「中心課題として確定」させ、公務のリストラ「合理化」を強行しようとしていること。 そして、新ガイドライン関連法の成立や盗聴法案、住民基本台帳法案、「日の丸・君が代」法案、憲法調査会設置の国会法改正案などの国会提出・審議ともかかわって、この国を「戦争をしない国」から「戦争をする国」に改革する狙いで省庁再編が進められようとしていることや、もうけ本位の大企業が進める首切り・リストラを支援・促進する産業競争力再生関連法案などの国会提出準備が政治主導で強引に進められる状況ともあいまって、省庁再編は財界の「行政乗っ取り」に大きく道を開くものであることが明らかになっています。
 また、行革の「目玉」とされる独立行政法人制度が、人減らし「合理化」を中心目的にした運営をめざしたものであることを政府は繰り返し答弁しています。

 ●矛盾深まる国民犠牲の行革

 主権者国民の生活や基本的人権を軽視し、行政サービスの提供・実施にかかわる国の責任を放棄しながら国家による国民の統制のみを強化することは、行革を推進する勢力と国民との矛盾を深め、その勢力への批判と怒りが大きくならざるをえません。

 ●重要な2001年1月までのたたかい

 当面、行革関連法が実施される2001年1月までの間のとりくみは重要です。戦争法=新ガイドライン法の発動を許さない国民的なたたかいや、民間企業でも吹き荒れているリストラ「合理化」反対のたたかいとも結んで、行革の具体化に反対するたたかいを大きく展開することが求められています。
 行革関連法の成立をうけて、政省令の策定や、独立行政法人個別法案策定などが進められようとしている今、連続したたたかいが極めて重要です。
 憲法擁護、職場と行政を守るために、全国の仲間があらたな決意で、ねばり強く奮闘しましょう。

 全医労・遠山委員長、大阪国公・滝口委員長が地方公聴会(横浜、大阪)で意見陳述
〈九州ブロック国公〉〈近畿ブロック国公〉
 7月6日、参院行財政改革・税制特別委員会の行革法案の地方公聴会で、全医労・遠山委員長と大阪国公・滝口委員長が、意見陳述をおこないました。全医労・遠山委員長は、「国立病院の独法化で医療の公共性が失われる」「国民の願いは国立での存続である」ことなどを述べ、大阪国公・滝口委員長は、国家公務員25%削減が職場実態からみて国民の安全も守れなくなることなどを述べました。


 7・22中央行動、7・23早朝時間外職場集会へ
 --やめさせよう! 賃金のトリプル改悪

 国公労連は、6月18日に人事院総裁あてに人事院勧告期の要求書を提出し、生活改善できる賃金引き上げ、超勤縮減策の徹底などを求めて、全国各地で諸行動や人事院交渉を旺盛に展開してきています。とりわけ、賃金のトリプル改悪(低ベアのもとでの個別賃上げの抑制、一時金の切り下げ、調整手当改悪)を許さないために、99年勧告に向けた最大の中央行動として7月22日を位置づけてとりくみ、引き続く7月23日を全国統一行動日とし早朝時間外職場集会を基本に、職場・地域から総決起することを呼びかけています。

 ●99人勧をめぐる状況

 99年人事院勧告の時期は、国会動向や今夏勧告に向けた諸課題での人事院提案の状況などを判断して、昨年の勧告時期もふまえた8月上旬の時期になる可能性が高まっていると考えられます。
 史上最低の春闘相場、不況下での雇用状況、そして、使用者側からの労働条件改悪提案が相次ぎ「逆春闘」とも表現された99年春闘を反映して、今年の人事院勧告は昨年のベア(0・76%)を下回るばかりでなく、マイナス勧告の可能性すら人事院は言及しています。
 人事院は、春闘時期から、「一時金も民間実態を的確に把握し、適切に対処することに尽きる」「調整手当は、10年で見直しの基準を示しているので、淡々と見直すべきではないか」(3月28日、武政事務総長)と、低ベアの中での高位号俸者給与の抑制、一時金の切り下げ、調整手当切り下げの「賃金のトリプル改悪」を断行する姿勢を崩していません。
 人事院勧告を間近に控えた現在でも「一時金は勧告で民間の水準を把握するが、非常に厳しく平均給与ベースでの給与減も十分考えられる」(7月6日、高木参事官)など、相変わらず強硬な姿勢をとり続けています。
 私たちが憤りを感じるのは、労働基本権の「代償機能」を標榜する人事院が、国公労連と十分な協議もせず、また、彼らの提案の裏付けとなる基礎データすら示さずに、労働条件を切り下げる施策を実施しようとしていることです。民間情勢の厳しさや「有識者の声」などを理由に、私たちの理解を得る努力すらしない姿勢は断じて許せません。

 ●高位号俸者給与の抑制

 第1の改悪は、俸給表構造の改悪による高位号俸者給与の引き続く抑制です。
 過去3年にわたる「早期立ち上がり型俸給構造への改革」の結果、高位号俸者給与の抑制が急激に進み、これら職員の昇給、昇格の効果は極めて薄くなっています。
 私たちは、枠外号俸者の解消とともに、高位号俸者の抑制をやめるよう迫っていますが、「必要なところには一層メリハリの効いた配分とする必要がある」「枠外の増加は承知している。しかし、号俸増設は困難だ。今後の俸給構造の見直し検討の中で枠外も検討すべきだ」(7月6日、高木給与局参事官)などの発言から、人勧史上最低と予想されるベアが、中・高年層にはゼロに近い配分となることさえ想定されます。
 国家公務員にふさわしい企業規模との比較、勤続要素の加味、ラスパイレス方式の見直しなど、私たちの官民較差算出方法の改善提案に耳を傾けず、一方的に改悪を進めるやり方は、とても「代償機能」を発揮しているとは言えません。

 ●一時金の切り下げ

 第2は、一時金の大幅切り下げです。人事院は、マスコミ等で報道されている昨年の民間一時金の低下傾向にふれ、今夏の人勧での大幅切り下げに繰り返し言及しています。
 人事院における民間一時金の調査は、事業所単位の特別給与額を1カ月あたり給与で除して月数を算出しており、個々人の給与額を職種、年齢、学歴別等で詳細に把握する月例給与較差の算出に比べてかなりおおざっぱな方法です。私たちは、きめの細かい調査への改善や、行政職(一)での比較とするなどの提案をしてきています。

 ●調整手当の改悪

 第3は、調整手当改悪見直しです。(1)公務部内の配分問題であることから、労働組合と労働者の納得を得る必要性、(2)低ベア、一時金切り下げが予想される中での改悪はきわめて問題、(3)「3指標」では、統計データとして信頼性に欠ける問題があり、私たちを納得させるものではないことから、今夏の人勧での見直しの断念を迫っています。
 しかし、人事院は、10年ごとの見直しを例とすることを理由に強行する構えを変えていません。
 人事院は近年、政府・財界の意向を先取りし次々と改悪提案をおこなってきています。私たちは、人事院に対し国家公務員労働者の利益擁護機関としての役割の発揮を強く求め、「トリプル改悪」を断念させる運動を強めていく必要があります。

 ●職場・地域からたたかいを

 国公労連は、7月12日の週を基本に、全国統一行動を配置し、全国各職場から、文書による、人事院、同地方事務局に対する要求行動、各省当局から人事院に対する申し入れを求める行動、人事院本院及び地方事務局包囲行動、交渉による追及などを旺盛に展開します。 そして、7月22日の中央行動を99年勧告に向けた最大の中央行動と位置づけ成功をめざし、引き続く7月23日を全国統一行動日として、「賃金のトリプル改悪」反対などの要求実現をせまるため、全組合員参加による職場・地域での早朝時間外を基本とする職場集会の成功をめざします。国公労連は、「賃金のトリプル改悪」阻止へ向けて、全国の仲間の奮闘を呼びかけます。

 単組委員長が調整手当改悪断念迫る
 --給与局長交渉で「組合の意見ふまえ検討」と人事院回答--

 国公労連は、7月9日、調整手当見直し問題で、単組委員長を交えた緊急の人事院給与局長交渉を実施。勧告まで1カ月たらずとなった現段階でなお見直し対象地域名も示されず、短期間での決着が難しくなったことをふまえ、見直し断念を強く迫りました。交渉には、国公労連側は藤田委員長を責任者に各単組委員長など17名が参加。国公労連の追及に対して、人事院の大村給与局長は、「組合の意見をふまえた検討をしていきたい」と回答しました。


 全国各地で調整手当改悪阻止行動
 【東海ブロック国公発】6月24日と7月6日、愛知公務共闘と東海ブロック国公などが結成した「調整手当改悪阻止共闘会議」は、昼休みに名城東小公園で「調整手当見直し改悪反対総決起集会」をひらきました。両集会とも約700人もの参加があり、集会後、人事院中部事務局包囲デモをおこない、参加者の怒りをぶつけました。
 【近畿ブロック国公発】近畿ブロック国公は、6月15日・28日の人事院近畿事務局との交渉で、人事院がおこなおうとしている見直し作業の非科学性を追及し、中橋局長が明確な回答をおこなえない状況に追い込みました。大衆的なとりくみでも、昼デモは回を重ねるごとに参加者が増え、6月29日の近畿公務共闘の集会では、雨が降る中、1500人の仲間が結集しました。
 【北海道ブロック国公発】6月28日、北海道公務共闘主催で「調整手当改悪阻止・公務員賃金抑制反対総決起集会」を約200人の参加でおこないました。


 賃金のトリプル改悪阻止、青年の切実な要求実現へ公務3単産青年部が夏の共同行動を展開
 7月9日、国公労連青年協は、自治労連青年部、全教青年部と共催で、夏季中央行動を展開。人事院前行動には250名の青年が結集しました。


 ILO151号条約批准署名運動の推進を意思統一
 --公務共闘が権利討論集会を開催--

 公務共闘は、6月23・24日の両日、熱海市において第8回権利討論集会を開催しました。
 集会では、海外の労働事情にくわしい国際労働研究家の宮前忠夫氏による、ヨーロッパの公務労働者の労働条件や諸権利の実態などにかかわる記念講演をはじめ、今年2月に原告勝訴の判決が出された人勧凍結ストの処分の取り消しを求める裁判について、全北海道教職員組合代表からの特別報告がありました。
 また、各単産の報告では、職場のさまざまな権利侵害の実態や、たたかいの経験がのべられ、国と地方の「行革」がすすむもとで、公務・公共業務労働者の権利を守っていくことが、国民課題としても重要であることが明らかにされました。
 全体討論では、とりわけ、公務共闘が提起している「ILO151号条約批准署名」運動について議論され、「国民世論を変えるためにも、数百万を目標とした壮大な運動提起を」などの積極的な意見が出され、全体としては、今秋にむけて、職場・地域から大きく運動をひろげることを確認しました。
 とくに、今回の集会では、憲法を擁護し、すべての労働者・国民の権利拡充をめざす立場をより鮮明にしたことが特徴で、戦争法や盗聴法、「日の丸・君が代」法制化など憲法の基本理念をふみにじる攻撃が強められているなかで、非常に意義のある討論集会となりました。
 行革関連法案などの国会審議の重要段階でしたが、全運輸の3名をはじめ、全法務・全労働・全建労・全医労が各2名、全税関・全通産・全港建が各1名参加し、国公労連本部をふくめて18名となり、全体の約3分の1を国公労連の参加者が占めました。
 すでに署名運動の経験をもつ国公労連として、公務産別の提起したILO条約批准運動でも、たたかいの先頭にたって奮闘することがもとめられています。


 輝く明日は私たちの手で!
 第29回国公女性交流集会ひらく

 6月25・26日、第29回国公女性交流集会が、兵庫県宝塚市・宝塚グランドホテルにおいて、46県国公・16単組から700名をこえる参加でひらかれました。
 今年は省庁再編等改革法案と、地方分権一括法案が国会で最後のヤマ場を迎える情勢の中で開催されました。国民世論を顧みない悪政を断ち切り、人間らしく生きるため、ほんものの豊かさを私たちの手で実現させることを確認しあい、全国の女性たちが心をひとつにしました。

 第1日目は、梅雨空を忘れさせるような近畿ブロックの仲間の歌声のあと、藤田国公労連委員長の激励あいさつ、桐近畿ブロック議長、柚木(ゆのき)近畿実行委員長の歓迎あいさつで全体会がはじまりました。
 記念講演は、元自治労連愛知県本部副部長の駒田富枝さん。「いのち・人間・そして自分を大切に」のテーマで、保健婦として、母として、そして労働組合員として働き続けた駒田さんの講演は、「母性を守ることは命と平和を守ること」と、熱烈なメッセージを送ってくれました。
 「一人ひとりが主人公」と呼びかけた伍女性協議長の基調報告のあとは、阪神大震災被災地からの訴えとして兵庫県国公が特別報告。そして、神戸空港の是非を問う住民投票の取り組み、国立病院から自治体への移譲による不採用を撤回させた大田病院闘争、「ママを救え大作戦」を取り組んでいる全司法の寸劇、北陸ブロック国公女性協による日本母親大会の報告など、職場・地域から4本の発言がありました。
 アトラクションは、神戸市役所センター合唱団による、阪神大震災鎮魂組曲「1995年1月17日」。震災の悲惨な状況と悲しみが、心を揺さぶられる力強い歌声に表現され、会場は深い感動に包まれました。

☆   ☆

 2日目は、10の分科会にわかれ、それぞれ熱心な討論が行われました。
 エンデイングでは、集会アピールと行革法案廃案を求める決議を採択。来年も笑顔で再会することを誓い合って、交流集会をしめくくりました。

 フィールドワーク 被災地を歩く
 --ほんとうの「人間復興」はこれから

 交流集会終了後、現地実行委員会のオプショナル企画として、神戸市長田区など被災地を訪問しました。バス1台を借り切って、全国から46人の参加がありました。
 震災後4年半が経った仮設住宅の悲惨な現状や、震災復興住宅での経済的・精神的な苦悩などを垣間見て、本当の住民本位の復興とは何かを考えさせられました。

 参加者の声

 ★全気象・仙台分会(20代)山腰祥子さん
 3才の娘がいますが、自分の人生を見つめ直したくて集会に参加しました。「女性の自立とライフサイクル」の分科会では、若い人が多かった中で、40、50代の方の体験と悩みを聞くことができ、私もがんばろうと思いました。もっと、いろいろな職場の人と交流したいですね。とても元気がでた楽しい集会でした。
 ★全法務・熊本(20代)
 女性のパワーというものを感じました。初めての参加で不安だったのですが、みなさんの活動報告や現状などを知って、力強い味方を得たような気持ちになりました。今後も積極的に参加していきたいと思いました。
 ★全司法・滋賀(20代)
 駒田さんの記念講演は、仕事、結婚、子育て、自分の将来を考えるいい機会となりました。少しいろんな悩み、迷いがあったため、それがふっきれたような、そんな講演でした。
 ★全労働・石川(20代)
 阪神大震災鎮魂組曲は涙が出ました。今回の集会で震災はまだ終わっていないんだと実感しました。そして、行政は今後また同じような災害が起こったとき、震災を教訓とした対応ができるのか?という疑問・不安は消えません。
 ★全運輸・宮城(20代)
 勉強になりました。男性にももっと母性保護について知ってもらい、女性も男性の事を勉強し、お互いに尊重し合える関係を築きたいものですね。

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