国公労新聞 第1021号
 許せない! 行革法案の採決強行
--参議院段階でのたたかい強化を
 庁再編等改革法案(以下行革法案と略)は、6月9日の衆議院・行政改革特別委員会で、日本共産党、民主党の反対を押し切って採決強行され、翌10日に衆議院を通過し参議院に送付されました。また、同委員会で並行審議されていた地方分権一括法案も、10日に一部修正の上、自民・自由・公明・民主・社民等の賛成で、委員会採決が強行されました。 
 国公労連は、行革法案の採決強行に抗議し、法案の成立に反対して参議院段階のたたかいの強化を呼びかける声明を6月9日付けで発表し、組合員の結集を呼びかけました。

●多くの問題点残し、審議打ち切り
 法案審議の経過では、6月7日の中央公聴会に国公労連・藤田委員長が公述人として出席し、「省庁再編は、国民生活関連部門の行政を変質させ、独立行政法人などの減量化で行政サービスを後退させる」ことを指摘して、行革法案反対の意見を述べました。
 また、6月8日の地方公聴会・津会場では、三重県国公・作田議長が意見を述べ「大括り再編での労働行政の後退や、独立行政法人化で国立病院が儲け優先になることが懸念される」などの問題指摘を行いました。

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 行革大規模署名の紹介議員が100名(衆・59、参・41、6月11日現在)となっていることにも示されるように、国公労連の運動と主張が国民的にも広がり、法案の徹底審議が求められていました。また、首相権限強化とガイドライン法の関係、国民生活と省庁再編の関係、行政サービスと定員削減の関係、独立行政法人化の基準など、多くの疑問や問題点も未解明のままに審議がうち切られました。
 法案採決時に、@組織の在り方、所掌事務、定員配分等について、政治主導で見直す、A25%削減の実現に万全を期す、B独立行政法人の存廃、民営化の基準を策定する、などの付帯決議が、行革推進勢力によって付けられたことも、参議院段階の重要な追及課題となりました。

●一部団体利益優先の地方分権一括法案
 また、地方分権一括法案は、自治体への国の関与強化や自治体の財源問題を多くの野党が問題視し、追及していましたが、「最後は自治労の組織問題論議にわいしょう化された」(6月11日付毎日新聞)と指摘されるように、「社会保険については、地方事務官廃止後7年間は県の職員組合の役員になれる」などの修正で、共産党以外の党が賛成し、法案が通過してしまいました。
 政治主導の行政改革が、一部団体の特定利益に左右され、国民の生活や権利がないがしろにされることが事実として明らかになりました。

●反対の世論広げよう
 今「談合3兄弟」と揶揄される自自公「共闘」で相次ぐ悪法の強行に、「この国はどうなっているんだ」、「戦後50年の国民のたたかいの成果が崩される」などの不安と怒りが広がっています。その中心にある「戦争ができる国」への改革を許さないためにも、行革法案や地方分権一括法案の成立を許さないたたかいは重要です。
 地域からの宣伝と共同を広げ、法案反対の世論を広げていく取り組みを強化し、粘り強くたたかいましょう。

 自自公で次々に悪法が…
どうなっているんだ国会は!
 ガイドライン法の成立以降、「何で?」と思うような法律が次々と提出され、自自公3党の枠組みで成立がめざされています。

●盗聴法案が参院で審議入り
 通信の秘密やプライバシーを侵す盗聴を警察の捜査手段として認める、それが盗聴法です。
 容疑があるかどうかを「試し聞き」することも認容されており、いつ、どこで、だれの電話やインターネットが、警察に盗聴されるかわかりません。保護観察の少年が薬物犯罪で疑われて、家裁調査官や保護観察官の電話が盗聴された、そんなことも想定されます。

●日の丸・君が代法案まで提出
 6月11日に、政府は日の丸を国旗とし、君が代を国家とする法律を急きょ提出しました。法案の提出にあたって「君は象徴天皇」とする見解も政府は明らかにしました。「天皇の世はいつまでも」と全国民に賛歌させようと言うのです。国民の中には嫌悪感さえもつ人がいる日の丸・君が代を、国民的論議を保障しないままに強制することに、批判が高まっています。

  ◇  ◆  ◇

 改憲に道を開く憲法調査会設置の法案や、衆議院の比例代表で50名の定員を削減する法案も出されようとしています。2ヶ月程度と想定される大幅延長の国会で成立させる、そんな暴挙は断じて許せません。

●住民基本台帳法「改正案」も衆院通過
 全国民に10桁の背番号を付け、氏名、住所、生年月日などの個人情報の管理につかう住民基本台帳法「改正」案が6月11日に委員会採決されました。「法の施行までに個人情報保護の措置をとる」修正が、自自公で行われましたが、乱用や病歴情報などへの使用範囲の拡大が懸念され、「プライバシー侵害」の批判が一気に高まっています。

 21世紀へジャンプ
エキサイト4に1382人
 5月27日から29日まで、山梨県・石和温泉で、エキサイトW(国公青年大交流集会)が開かれ、北海道から沖縄まで全国の国公青年1382人が参加し、エキサイティングな3日間をかけぬけました。参加できなかったあなたも、今世紀最後の「エキW伝説」を参加者の「証言」で共有してください。

●全国各地の様々な職場で働く仲間と交流できたことは、これからの自分にとって大きなプラスになりました。泉谷ライブでの一体感は団結のパワーのすごさを実感させるものでした。また、スタッフのみなさんのエキW成功に向けての熱意や苦労も強く感じました。単組の枠を超えて、同じ青年として、国公労働者として交流を深めていくことがこれから重要だと思います。(秋口博史、全通信中国支部)

●他の省庁の仲間との話しあいや交流を通じて感じたことは、「横のつながりの重要性」や「仲間と行動することの大事さ」でした。エキWは、今後の自身の活動のあり方に大いにプラスになることでしょう(木村慎哉、全国税王子分会)
 様々な単組の人やいろいろな地域の人と交流を深めることができて大変よかった(夜、飲み過ぎて交流の記憶が…)これからはこの経験を生かし、人生のバネにして強く生きていきたい(田内友和、全港建高知)
 いろいろ楽しかったエキWは紛れもなく大成功だった。1400人が集結するパワーは本当にすごい!エキWTシャツは義理で買ったつもりだったが、今では良い思い出の品。思ったより縮まないし…(丹藤英司、全気象東北地本)

●組合の交流会ということで、どんな感じかと思っていましたが、みんなパワフルだったのでびっくりしました(泉谷ライブではみんな飛んでました)。普段は他の機関の人たちと交流する機会は、まずなく、こういうイベントに参加し交流を深めるのはとても楽しく、勉強にもなりとても良いことです。青年部を卒業する前に一度は行って積極的に交流を深めることをおすすめします(長尾貴史、全建労高知)

●交流24時間体制に突入し、北は北海道から南は沖縄まで、様々な職種の青年と話した。地域、職種によってその活動や抱える悩みも様々で、1単組だけでの活動の狭い部分を実感し、反面自分自身の活動の位置づけも再確認することができた。まさに、燃え尽きた感がある3日間であるが、とりあえずは、参加できなかった仲間たちへの報告会を開きたい(永原健也、全税関東京)

●【泉谷ライブ感想集】
怖い人と思ってたけど、感動して、前で踊りまくった。帰ったらCDレンタルする。賃金安くてCD買えない。賃上げ要求!(大神雄一、全労働大分)
 最高なオッサンでした。「春夏秋冬」に鳥肌が立った(蒲原ひと美、全法務佐賀)
 疲れるくらいノレた。みんなに歌わせたり盛り上げるパワーがすごい(濱田啓次、全気象山形)
 元気が出て仕事への意欲がでてきた(大塚成治、全医労)
 俺の黒ミサにも匹敵すると魔界でも有名な泉谷ライブは、彼の歌を知らない人でもノレるように空気を作るのがさすがにうまい(デーモン広下、全厚生愛知)

●【2日目は、14の多彩なオプショナル企画(荻原次晴氏の講演、ソムリエの旅、キャンプ講座、富士山ツァー、横田基地調査etc)を参加者は堪能しました】
 荻原次晴さんの講演に感動しました。双子の兄の健司さんが活躍して成績に差がついたり、兄とまちがわれたりしたことに対する葛藤や、それをバネに活躍できたことなど、すばらしいと思いました(森松寛之、全厚生愛媛)

●横田基地調査に参加したのは、ただ単に「基地が見たい」というヤジ馬的な動機。しかし、熱のこもったガイドにより、基地に税金がいかに多く使われているか、騒音のひどさや様々な公共交通機関が不便を強いられたことなどを聞かされ、基地の存在理由を考えてしまった(西田匡司、全法務群馬)
 自分らの仕事のことを税金のムダ使いなどと言われるが基地の方がムダだとわかった(岩戸正太、全建労佐賀)


行革闘争(省庁再編法案阻止)と賃金闘争(トリプル改悪反対)に全力
 6月4日、国公労連は、第105回拡大中央委員会を東京都内の国鉄労働会館で開催しました。
 国会では、行革関連法案と地方分権一括法案の衆議院での審議が大詰めを迎え、ガイドライン法の成立につづき盗聴法案が衆議院で強行採決。また、史上最悪の春闘結果や調整手当「見直し」改悪に固執する人事院が「見直し基準」の提案、男性の完全失業率が5%を越え、雇用不安が広がるこうした情勢のもとで開催した拡大中央委員会では、行革法案や、月例給・一時金・調整手当の「賃金のトリプル改悪」阻止をめざしてたたかう決意を固め合いました。

●第105回拡大中央委員会を開催
 冒頭、あいさつに立った藤田委員長は、「違憲のガイドライン法の発動を許さない取り組みが求められる」こと、行革闘争について「最終局面まで反対を堅持しつつ、いかなる事態にも対応できる準備と取り組みが大事だ」と述べ、行政民主化の課題と国民各層との共闘の強化を強調しました。
 ついで、福田書記長が99年夏季闘争方針案を提案。討論では、全国キャラバン行動や行革大規模署名、統一地方選挙闘争などの教訓、社会保険業務の地方事務官にかかわる取り組みなど、行革闘争の今日的課題、調整手当「見直し」改悪反対にむけてたたかうブロック・県国公の決意などが発言されました。
 討論を受け、国公労連本部は総括答弁をおこない、満場一致でたたかう夏季闘争方針を確立しました。

●恣意的データ根拠の賃下げは許されない
 5月28日までに、人事院が提案してきている調整手当「見直し」の内容は、@「賃金、物価、生計費」について、それぞれ賃金センサスなどの政府公表資料をデータとして使用、Aそれらのデータを市町村単位で全国平均を100として指標化する、B指標で101・5以上を基準に支給地域を見直すとともに、104・5以上を6%、108以上を10%とする支給区分の見直しも同時に行う、C現在29地域ある暫定支給地域(別表)は、基準にあてはめ「基本的に解消」する、というものです。

○改悪に固執する人事院に批判集中
 89年、92年の2度の「見直し」改悪で、破綻が明らかな方法による改悪に固執する人事院にたいし、拡大中央委員会でも厳しい批判が集中しました。また、小出しの提案を繰り返しながら、いまだに「見直し」の全体像を示さずに、自分勝手な「条件整備」を図ろうとする人事院の対応にも怒りが集中しました。
 特に、データ使用の恣意性や、基準のあいまいさ、そして職員の納得を得ないままに基準を一方的にあてはめて、暫定支給地域を解消することは最大「10%の賃下げ」のおしつけに他ならないことから、一気にたたかいを強めることが確認されました。

○6月から勧告まで全力でたたかおう
 このような調整手当「見直し」改悪を断念させるため、「6月29日には2000名の決起集会を開催」(近畿ブロック)、「連合傘下にも働きかけて地域から反対闘争を強化」(九州ブロック)、「6月24日には公務共闘規模で決起集会」(東海ブロック)など、全力でたたかう決意が相次いで表明されました。
 中央委員会では、6月20日の週に、ブロック代表による人事院本院交渉を連鎖で取り組むこと、6月30日の中央行動を重視して、「見直し」中止を迫ること、さらには7月22日の中央行動への最大結集など、勧告直前まで調整手当改悪をはじめとする「賃金のトリプル改悪」阻止に全力でたたかう決意を固めました。

○調整手当「暫定」支給地域一覧

都道府県名「暫定」支給地域
北海道札幌市、小樽市
千葉県船橋市
東京都青梅市
神奈川県葉山町
静岡県静岡市、熱海市、伊東市
京都府向日市
大阪府堺市、岸和田市、東大阪市、泉佐野市、貝塚市、和泉市、泉大津市、富田林市、柏原市
兵庫県姫路市、明石市、川西市
和歌山県和歌山市
岡山県岡山市
山口県下関市
福岡県北九州市、福岡市、久留米市、飯塚市
長崎県長崎市

〈連載〉どうみる公務員制度調査会基本答申(第3回)
「行革」方針が色濃く投影 任用面も規制緩和や弾力化

 答申の任用に関する部分には、次の特徴がみられます。
 第1に、給与制度以上に「行革」が色濃く投影していることです。
 現在審議中の「中央省庁等改革一括法案」は、「21世紀型行政システムの確立」と「大胆な価値選択と政策立案」「意志決定の抜本的迅速化」のために、内閣機能強化や、権限集中、行政組織・機構の反動的再編、執行部門の減量・スリム化をねらうものです。
 答申はこの政府の行革方針にそいながら、公務員制度について以下のような「改革」メニューを掲げています。
 内閣機能強化や企画部門強化の一環=幅広い人材の採用、高度専門職の任期付き任用、官民交流を含む人事交流の促進、幹部要員の人材情報データベース化、部内公募の導入。
 実施部門(実施庁や独立行政法人)の特性に着目した人事管理=職種の特性や職務の性格におうじた多様な人事管理、「組織目標にリンクした」目標管理と人事評価、長期的な専門的人材の採用と育成。
 第2に、公務の特性への配慮より民間の雇用・人事システムへの迎合姿勢から、各種の規制緩和や弾力化を強く打ち出していることです。
 民間部門で活用されている弾力的な勤務形態(フレックスタイム制、裁量労働制)の検討、「スタッフ職重視」と複線型人事管理への移行、任用面での年功的な仕組みの抜本的な見直しと能力・実績の重視、新たな任期付き任用の導入などがそれです。
 第3に、現行制度の最大の欠陥で、国民の批判も強い特権官僚制度の改革と天下りの抜本規制などの面では、実効性のきわめて薄い不十分な案が掲げられているにすぎないことです。
 たしかに答申の中にも、U・V種の「登用」についての言及はあります。しかし、この4月から具体化された人事院の「U・V種採用職員の登用指針」をみても、T種特権人事の改革は当面見送り、一部の人間を登用候補者にするものにすぎず、選抜も選抜基準もあいまいで組合のチェックもなく、不徹底なものです。
 天下り規制についても、「65歳定年」の検討はふれてはいるものの、「能力・実績重視型の人事システムへの転換」による選別・淘汰と引き替えです。まして、10年間25%という定員削減の強行される中でどれだけの実効性があるのか、はなはだ疑問なものです。
 以上みたとおり、答申は反動的行政推進のための公務員制度「改革」の観点が貫かれ、職員が働きやすく国民本位の業務に専念できる改革の観点はきわめてとぼしい内容に留まっています。(つづく)


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