国公労新聞 第1020号
 ガイドライン法 成立強行
 「戦争をする国への改革」に反対し、職場・地域からたたかいを強めよう

 5月24日、参議院本会議で自民・自由・公明各党の賛成多数で、ガイドライン法(戦争法)の成立が強行されました。「戦争をしない国」から、「戦争に参加する国」に改革する法律が、憲法論議もなしに、政党の数あわせで成立させられたことは重大です。
 ガイドライン法は、国公労働者にとっても深刻な問題をはらんでいます。航空管制や病院医療、気象情報の提供、入国管理など本来業務を通じて戦争に直接協力させられ、民間企業や自治体に「戦争協力」を押しつける先兵とされることは明らかです。
 ですから、ガイドライン法を発動・運用させない取り組みを、平和を願う国民と共同して強めることがますます重要です。
 「国公労働者は、二度と戦争に協力しない・参加しない」|その決意をあらためて固めあいましょう。

●明治公園に5万人結集
 5月21日の夕方、東京・明治公園で「ストップ戦争法!5・21全国集会」に5万人が結集。集会は宗教者たちの「平和を求める」集い実行委員会と、陸・海・空・港湾労組20団体が呼びかけたもの。集会成功のために、全運輸・全港建・全気象・全税関の仲間が大きな役割を果たしました。

●新宿で国公労連独自の宣伝行動
 「5・21集会」翌日の22日、新宿駅頭で国公労連独自の緊急宣伝行動を実施し、50名が参加。署名に列ができるほどの反響がありました。


 行革法案の危険な内容国民に知らせ、廃案へ
--署名や宣伝の強化がカギ--
 5月25日から、衆議院行政改革特別委員会で、省庁改革関連法案(行革法案)と地方分権一括法案の本格的な審議がはじまりました。
 政府・与党は、自自公協議を優先させながら、20日間程度の会期延長をおこない、法案の成立をめざす構えを強めています。
 しかし、「国のかたちをかえる無血革命」(自由党・小池百合子議員)が、国民的な論議がない中で進むことへの批判も強まっています。それだけに、いまこそ宣伝や署名を強め、世論に訴えることが大切です。

●紹介議員は82名
 国公労連は、この間取り組んできた行革署名を背景にした国会議員要請行動を5月21日の中央行動でも取り組み、5月28日時点で82名(衆議院・49名、参議院33名)の紹介議員を獲得し、さらに追い上げをめざして、連日の国会行動を展開しています。

●浮きあがる行革の危険性 
 「ガイドライン法」を強行成立させた翌日から審議が開始されたことにも見られるように、両法案が、「戦争をする国」への改革をめざしていること、国民生活関連の行政サービス切り捨てであることは、短い審議でも明らかになっています。
 「(省庁再編は)政治が国政全体をリードする環境の整備」(大田総務庁長官)、「(国防など)国の存立にかかわる問題は地方自治になじまない」(野田自治大臣)などの答弁は、内閣や首相の決定に自治体や国民は従うべき、との姿勢を隠そうともしないものです。
 「(独立行政法人の)使命が大事でも組織としてはおしまいもある」・「25%は純減の覚悟で」(大田総務庁長官)、「離島僻地医療は地域の一般医療」(宮下厚生大臣)などの答弁も繰り返されています。
 このような国会審議の内容を、職場・地域に大きく広げていきましょう。


5・20キャラバン集約集会開く
 5月20日、「全国キャラバン」集約集会を東京・日比谷野外音楽堂で開催し、全国から2千人が参加。参加人員が1万3千人に達した全国キャラバンで活躍した各地方・ブロック代表が、元気よく報告しました。


調整手当「見直し」は中止しかない
--賃下げに固執する人事院にNO!
 人事院は、89年、92年に引き下げを強行した際に使用した「賃金構造基本統計調査」、「全国物価統計調査」、「全国消費実態調査」を基礎データに、都市階級別にグルーピングするなどの恣意的な手法で「地域の実勢」を指数化し、「見直し」の根拠にしようとしています。
 5月28日には、このデータをもとにした市町村の「格付け基準」の考え方を示してきました。また、89年改悪の際の暫定支給地域(札幌、船橋、静岡など29地域)は基本的に解消すべき、各地域のデータをこの基準に当てはめ、淡々と見直しをおこなうとの考えを示し、勧告で「決着」をはかるため、引き続き作業を進めようとしています。 国公労連は、年収ベースでの賃金引き下げの危険性さえある時期に、「他人の統計」を恣意的に使って、3%以上の賃下げを強いる「見直し」に反対して運動を強めています。5月14日には各単組代表、21日にはブロック代表が「見直し」作業の中止を人事院に迫りました。
 しかし人事院は、「10年毎の見直し」を論拠にし、加えて「地方では民間より官が賃金が高いとの批判がある」との「同一労働同一賃金の原則」まで否定する詭弁までつかって、改悪を強行しようとしています。
 公務労組連絡会は、6月30日に中央行動を配置し、中央・地方での人事院・当局追及、自治体要請を強め、「見直し」作業の中止を迫ります。国公労連もこれをうけ、6月段階での人事院追及、地域での決起集会、当局交渉強化などを指示しました。


〈連載〉どうみる公務員制度調査会基本答申(その2)
 能力・実績重視の給与制度ねらう

 基本答申が具体的にどのような公務員制度の「改革」をねらっているのか、今回はまず給与制度についてみていくことにします。
 答申でふれられている「改革方向」は、全体として中央省庁再編などの行政改革の動きや民間の雇用・人事管理の変化を強く意識した内容になっています。とりわけ給与制度にかかわっては、能力・実績の重視が強調され、年功的仕組みの見直し、定期昇給制度の検討、勤続長期化を前提にした給与体系のフラット化、昇進管理の厳格化、スタッフ職を前提とした「複線型人事管理制度」、退職管理の一貫としての高齢職員の給与の検討、退職手当の早期見直しなどが掲げられています。特別昇給や勤勉手当も改めて問題にされようとしています。幹部職員への年俸制導入にもふれています。またそれらのバック・ボーン的な仕組みとしての人事評価制度の全般的な見直しも提起されています。
 基本答申が「能力・実績に応じた昇進・給与」を強調するのは、「採用年次に配慮」するこれまでのやり方では「行政課題の複雑高度化」と「組織のスリム化」などに対応できないという問題意識があるからです。結局、労働者が安心して働ける給与制度より、管理する立場を優先して、省庁スリム化のもとでの能率優先と人件費削減に役立つ給与制度の再編をねらっているといえます。 しかし、肝心の人事評価制度については、「公平かつ客観的」なものを整備すべきとは言いながらも、改革方向で取り上げられるものはといえば、これまでの相対評価とは異なる「絶対評価」、所属チームの長などの意見を参考にできる「多面的評価」、ミスをおそれぬ挑戦が評価される「加点主義的評価」、「目標管理手法」など民間大企業職場ですでに普及しているものばかり。
 民間でも評価の公平さや本人の納得性という点で問題が多いとされるこれらの人事管理手法が公務にそのまま適用でき、職員の士気の高揚や能率向上に役立つという保障はありません。まして、改革の方向性は、本人同意の原則、被評定者への結果の開示、反論や弁明の機会の保障、苦情処理手続の確立などといった欧米ではすでに常識化している内容からはかなりかけ離れた水準にとどまっています。
 また、年功的仕組みの見直しといっても、行政サービス提供という公務労働の特性、公務員としての平等取扱いの要請や職務と俸給がリンクしている仕組みなどが、公務員賃金を業績給など短期的なインセンティブシステムになじみにくくさせてきたことについては、意図的にか、ほとんどふれられていません。
 長年の行政実務の経験を通じて業務に精通し能力を高めながら次第に上位の官職に昇進していく内部昇進の仕組みが長期勤続へのインセンティブやモラールアップの源泉にもなっている公務職場にとって、能力や業績についての客観的な評価基準も未確立なままに短絡的に能力・業績が強調されることは職場に混乱がもたらされることは必至です。
 同一労働同一賃金の立場からの公平な賃金を求める取り組みが今後とも重要になってきます。(つづく)


毎日新聞全国版に独法化反対の意見広告
 --「行政サービス低下は許せない」と反響呼ぶ

 国公労連は、全医労、学研労協と共同で、独法化反対の意見広告(全幅5段)を、毎日新聞全国版(5月20日〜22日付にかけて各地方版に順次掲載)に掲載しました。意見広告を見た方から、「サービス低下となる行革は許せない。がんばって宣伝して欲しい」などの反響の電話が国公労連本部にありました。


国公女性交流集会(6月25〜26日、於 兵庫・宝塚グランドホテル)
 --タカラヅカで「ほんものの豊かさとは何か」を語り合いましょう
●今回は分科会のお知らせです
 〈第1分科会〉どうしてあるの?婦人・女性部活動
 〈第2分科会〉安心して働くために−介護休暇と育児休業とは
 〈第3分科会〉今どき許せますか!男女差別
 〈第4分科会〉母性保護はなぜ必要か
 〈第5分科会〉県国公女性協・婦人協運動を進めるために
 〈第6分科会〉はたらき続けて思うこと
 〈第7分科会〉女性の自立とライフサイクル
 〈第8分科会〉働きながらの子育て
 〈第9分科会〉日本にほんものの平和を実現させる
 〈第10分科会〉どうなるどうする私たちの職場−何を狙う「行革」
 〈オプショナルツアー・被災地訪問〉に一人でも多く参加していただきビルが建った表だけでなく更地が残る裏も知って欲しいです(全労働兵庫支部・坂本百合子さん)


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