労働者派遣法および職業安定法の改悪を許さない決議
【国公労連第44回臨時大会決議】

 政府は、開会中の通常国会で、継続審議となっている労働者派遣法「改正」法案の成立に加え、職業安定法「改正」法案の通常国会への提出・成立も策している。

 労働者派遣法「改正」法案の主な内容は、@派遣事業の参入自由化、A対象業務の原則自由化(ネガティブリスト化)B現行26業務等を除いて派遣期間を1年に限定、C違反の申告を理由とした労働者の不利益取扱いの禁止、D秘密の厳守などとなっている。
 労働者派遣法が施行された1986年以来、契約業務以外の業務への就労指示、一方的な派遣契約の中途解約、二重派遣、労働・社会保険の未加入、派遣先社員によるセクシャルハラスメントなど、派遣労働者に対する権利侵害は後を絶たない。また、請負をよそおった対象業務以外への実質的な派遣も半ば公然と行われている。今回の「改正」法案は、労働者保護措置についてはきわめて実効性が薄く、そのような諸問題の解決を期待できないばかりではなく、対象業務の原則自由化によって違法派遣の実態を追認し、不安定雇用労働者を拡大することになる。

 一方、職業安定法「改正」については、中央職業安定審議会での審議が行われている段階である。職業安定法制の見直しに向けた検討を行っていた雇用法制研究会(労働省職業安定局長の私的研究会)が昨年10月にまとめた報告書では、@職業紹介事業への民間企業の参入自由化、Aそれを前提とした労働市場に関するルールの設定などが柱となっており、こうした方向に沿って「改正」法案がまとめられる状況にある。
 職業紹介事業への民間企業の参入自由化は、多様な業者の参入を招くことになる。紹介会社あるいは派遣会社の乱立は、地域労働市場に混乱を持ち込み、労働力の「買いたたき」が行われることが懸念され、いずれは力の強い企業が労働市場を支配するという結果にもつながりかねない。

 労働者派遣法および職業安定法の改悪は、企業がリストラ「合理化」策の一環として強行している正規雇用、長期・継続雇用から非正規雇用、短期・臨時雇用への置き換えをさらに大規模に進めるためであり、不安定雇用の拡大と労働条件の大幅な引き下げをもたらすことは必至である。その影響は、公務部門においても例外ではあり得ない。特に、「大綱」が国家公務員を「10年間で25%削減」することをこの時期に明記したことは重大であり、定員を業務量の最も少ない時期を基準におき、繁忙期には派遣労働者や臨時労働者で埋め合わせることも十分に考えられるものである。徹底した行政「効率化・簡素化」をめざす「行政改革」と、労働者派遣法などの労働法制改悪は無関係ではない。

 私たちは、裁量労働制など改悪労働基準法を公務職場に持ち込ませず、労働時間短縮を求める春闘期からのたたかいとも一体で、最低限の「働くルール」をなし崩しにする危険性を持つ労働者派遣法および職業安定法の改悪を許さないため、労働法制中央連絡会に固く結集し、広範な労働組合・団体、個人との共同したとりくみを強めるものである。
 以上、決議する。

1999年2月4日 日本国家公務員労働組合連合会第44回臨時大