総対話MAP運動2010(2011春闘) 宣伝スポット原稿集
2011年2月 国公労連


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【賃上げ・雇用確保@】

 ご通行中のみなさん。  私たちは、国の行政機関や独立行政法人、国立大学などで働く職員でつくる労働組合、○○県国公(○○地区国公)です。

 さて、ここ10数年ものあいだ労働者の賃金は下がり続け、自殺者も年間3万人を超えています。失業率は5%台で高どまりし、新卒者の就職難も深刻です。健康保険料の値上げや年金支給額の切り下げなど社会保障の改悪ともあいまって貧困が拡がり、生活保護の受給世帯数も増加し続けています。このように社会的な不安や生活への閉塞感が蔓延するなか、私たちの暮らしを良くするためには何が必要なのでしょうか?

 国の経済成長を表す指標のGDP(国内総生産)をみると、日本は1997年以降頭打ちです。ヒト、モノ、カネが世界を行き交うグローバル経済のもと、経済危機に見舞われたのは日本だけではなく、先進諸国に共通しています。しかし、この10数年もの間、まったく経済が成長していないのは、日本だけです。まさに異常としか言いようがありません。
 
 なぜ日本の経済だけが成長しないのでしょうか?GDPの6割近くを個人消費が占めていますから、個人消費が伸びないことが原因といえます。では、個人消費が伸びない原因は何なのでしょう?大多数の労働者・国民の所得が減り続けているからです。国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、年間給与はこの10年間で62万円も減っています。私たちの暮らし向きが良くならないと日本経済も良くなりません。他の先進諸国では労働者の賃金が上がり続け、GDPが上がり続けていることからも間違いありません。
 
 「経済が成長していないから賃上げなんて不可能」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。資本金10億円以上の大企業は内部留保を244兆円も貯め込んでいます。今すぐ使える手元資金だけでも52兆円にのぼります。政府は法人税を5%減税するとしていますが、とんでもないことです。政府自らが「資本金1千万円以下の中小企業では8割近くが、資本金10億円以上の大企業でも5割近くが赤字だと」国会で答弁しています。赤字の企業は税金を納めませんから、政府は、一握りの大企業が内部留保を増やすために、借金を重ねると言っているようなものです。

 私たちは、「すべての労働者の賃上げ・雇用確保を 実現しよう 内需主導の景気回復」をスローガンに2011年春闘をとりくんでいます。利益をため込み続ける一部の大企業に応分の負担を求め、工場や事業の海外移転に一定の歯止めをかけることで、賃上げと雇用の確保、中小企業支援を実現することは可能です。生活が苦しいのは自己責任ではなく、政策/や制度の問題です。すべての労働者の賃上げ・雇用確保の要求に多くの人が共感すれば、世論が拡がり、多くの労働者・国民の願いに叶う政治が実現できます。

【賃上げ・雇用確保A】

 この15年間で非正規労働者は著しく増加し、現在では労働者全体の3人に1人、若者や女性労働者に至っては2人に1人に達しています。
 非正規労働者は、賃金や社会保障などの面で大きな格差を強いられており、広範な「働く貧困層」、つまり、ワーキング・プアを作り出しています。
 こうした非正規労働者の増大は、労働条件の引き下げなど、正規労働者にも大きな影響を及ぼしています。
 事実、正規労働者の賃金は、97年と09年の給与総額で比較すると5%程度、減少しています。
 今春闘は、無権利状態にある非正規労働者の実態に光を当て、賃金を引き上げていくことが重要な課題といえるのではないでしょうか。

 また、賃金の引き上げは、経済対策としても重要となっています。
 日本経済の「デフレ化」が指摘されていますが、その最大の原因が労働者の給与所得の落ち込みにあることは明らかです。
 OECD調査では、グローバル化が叫ばれてきた90年代後半以降、賃金が伸びていないのは日本だけであることが明らかになっています。
 日本の優れたシンクタンクである富士通総研も、次のように指摘しています。
 「日本の長期デフレを克服するには、他の先進国と同様に賃金の緩やかな上昇を安定的に維持していくことが肝心」
 「均等待遇や最低賃金の引き上げ等を真剣に取り組むべき」
 たいへん、的(まと)を射た指摘ではないでしょうか。

 さらに、ILOが12月に発表した世界の労働者の賃金に関する「報告書」は、賃金抑制競争が景気全体の悪化を招く指摘しています。
 その中で「賃金と物価が下落しても完全雇用は復活せず、状況が悪化する可能性が高いことを日本の経験は教えている」としています。賃金引き上げによる内需拡大こそ企業の設備投資意欲を高め、景気回復をもたらす条件を作り上げることになります。
  実際、多くの大企業は内部留保を増やし続けて244兆円も溜め込み、空前の「金余り状態」となっています。
 賃金引き上げの条件も、景気回復の条件も、すでに整っていると言えるでしょう。
 こうした課題を今春闘の中心に据えてとりくむことが求められています。

 このような中、全労連・国民春闘共闘は、11春闘のスローガンとして「すべての労働者の賃上げ・雇用確保を」「実現しよう内需主導の景気回復」を掲げています。  賃金引上げと雇用の安定、最低賃金1000円以上への引き上げ、均等待遇の実現、労働時間短縮などの課題を職場と地域から前進させましょう。

【消費税・社会保障】

 ご通行中のみなさん。
 私たちは、国の行政機関や独立行政法人、国立大学などで働く職員でつくる労働組合、○○県国公(○○地区国公)です。

 みなさん、菅政権は昨年末、2011年度「税制改正大綱」を閣議決定しました。決定された税制大綱は、大企業向けの法人税を減税する一方で、扶養控除の一部廃止を盛り込むなど、「大企業には減税」、「庶民には増税」が特徴となっています。そして、消費税については、今年の6月までに、社会保障と一体改革で、増税法案をまとめるとしています。

 菅首相は、年頭会見で、社会保障の財源を口実にして、消費税の増税に踏み切る決意を示し、テレビ番組では、消費税の増税に「政治生命をかけて、覚悟を決めてやっていく」とまで言い切りました。
 1月14日に発足した菅第2次改造内閣では、与謝野馨さんを経済財政担当大臣に起用しました。この与謝野さんは、自民党にいたとき「少なくとも消費税は10%必要」と主張していた自民党を代表する消費税増税論者でした。加えて、これまで消費税増税の旗振り役を果たしてきた枝野幸男さんを内閣官房長官に起用するなど、まさに消費税を増税するための内閣ともいえる布陣になっています。

 みなさん、1989年4月1日に消費税が実施されから、今年4月で、ちょうど22年になります。消費税が導入されて以降の消費税収入は、224兆円にも及んでいます。そして、同じ期間の大企業向け法人税の減税額が、208兆円になります。消費税の収入は、そっくり大企業向け法人税減税の「穴埋め」になっているのです。
 22年前に消費税を導入するとき、当時の政府は、消費税導入の本当の目的を隠すために、「ウソの看板」を掲げました。それが、「社会保障のため、高齢化社会のため」という看板でした。そして、マスコミなどを使って大キャンペーンを展開し、消費税の導入を強行しました。
 しかし、そもそも消費税は、低い収入の人ほど負担が重い逆進性の強い税金であり、社会保障の財源として、もっともふさわしくない税金です。
 そして、消費税導入当時の政府税制調査会の会長だった加藤寛さんが「消費税を導入したとき、高齢化社会に備えるためと言われ、我々税調もそう説明しましたが、本当はあれは、ああ言えば一般の人に分かりやすいから、ということでした。消費税の本来の意義はそういうものではないんです」(※『週刊新潮』1992年9月3日号)と告白したことによっても「ウソの看板」であったことが明らかになっています。

 また、「社会保障のための消費税」では無いことは、消費税が導入されてから社会保障が連続して改悪されている事実からも明らかです。消費税導入後、たとえば、健康保険本人の窓口負担は1割から3割に引き上げられ、高齢者医療の窓口負担もアップ。75歳以上の高齢者は、健康保険などからも追い出されて、年齢で差別される最悪の医療制度に加入させられています。また、国民年金の保険料は2倍になり、厚生年金の保険料もアップし、年金の支給開始年齢は60歳から65歳に先延ばしされ、保険あって介護なしの介護保険制度なども導入されました。「社会保障のための消費税」というのは、こうした事実を見ても「ウソの看板」であったことが明らかです。

 ところが、菅内閣は、「社会保障のための消費税」という「ウソの看板」をまたしても掲げて、今また消費税の増税を強行しようとしています。2011年度の税制改正大綱では、すでに大企業向け法人税の5%引き下げを決定しています。しかし、その財源の確保はできていません。結局、法人税減税の財源を、消費税によってまかなおうというのが、今回の消費税増税の本当の目的なのです。

 みなさん、「社会保障のための消費税」という「ウソの看板」に2度とだまされず、いまこそ消費税増税反対の声を大きく上げましょう。
 私たち国公労連は、大企業優遇の不公平税制をあらためるだけで、十数兆円の財源が生まれることを毎年「税制改革の提言」として発表しています。大企業優遇税制を是正し、所得税の最高税率を引き上げ、証券優遇税制をあらため、ムダな軍事費や不要不急の大型開発を見直せば、消費税に頼ることなく、社会保障を充実させ、さらには財政を健全化させることができます。

 いま日本経済新聞でさえ、過去最大の「大企業のカネあまり」、「企業に眠る200兆円」こそが、「デフレスパイラルを加速」する「悪循環」の原因だと指摘しています。税金は負担能力のあるところにきちんと負担してもらうことが必要です。低い収入の人ほど負担が重い消費税の増税は許さず、過去最大の「カネあまり」になっている大企業にきちんと税金を負担してもらいましょう。

【TPP】TPP(Trans-Pacific Partnership 環太平洋戦略的経済連携協定)

 ご通行中の市民の皆さん。私たちは国家公務員で作っています労働組合、国公労連です。国民生活にかかわる第一線で働いている労働者です。国が行おうとする様々なことで、皆さんの目線に立って問題を訴えています。是非私たちの訴えに耳を傾けていただければと思います。

 皆さん、TPPという言葉を聞いたことありませんか。今国会で、菅首相が6月までにTPPへの 結論を出すと一生懸命言っています。TPPってなんのことでしょう。日本語では「環太平洋連携協定」といいます。わかりやすく言えば太平洋を取り巻く国のなかで、輸入品に一切関税をかけないで済むようにする国同士の約束のことです。関税とは商品が国を出入りするときに掛けられる税金で、日本では輸入品だけにかかっています。これは国内の産業を保護するために必要なんですが、これをなくそうと言うんです。まさに国の形が変わりかねない、皆さんの生活に大変な影響を及ぼす問題なんです。

 輸入品に税金がかからなければ安く物が買えるから何が悪いんだと思われるかもしれません。でもいいことばかりですか。実は重大な問題があります。日本の農林水産業が壊滅的な打撃を受けるということです。言うまでもなく食料は生きていくうえで絶対必要です。食料輸出国はともかく、欧米先進諸国ではどの国も農林水産業の保護政策を取っています。安全保障問題なのです。日本のように食料自給率が40%しかない国は欧米ではありません。これが農水省の試算ではTPP導入で13%にまで落ちると言っています。これは重大問題です。

 TPP参加で関税がなくなれば輸出が増え、雇用も増える。農業も競争で強くなる、TPPはいいことばかりだと大企業の司令部、経団連は言います。しかし本当でしょうか。皆さん、最適な実例が目の前にあります。かつて企業の要請で大規模店舗法が改悪され、大型店舗の進出が野放しにされました。その結果町の中小商店は潰れ、町はさびれてしまいました。しかし食べ物を生み出す農林水産業をそんな事態にさせてはいけません。国民の命、安全保障にかかわる問題です。自分の利益を上げることだけに走る大企業の思い通りにさせてはなりません。

 TPPで農業は本当に体質強化が出来ると思いますか。既に北海道ではヨーロッパ並みの大規模化、経営効率化が進んでいます。しかしそれでも経営は厳しく、北海道をはじめ全国で1、100を超える地方議会がTPP参加反対や慎重対応決議をしています。自由化でほとんどの農家は生き残れず、関連産業も含めて失業者は340万人にも及ぶと農水省は試算しています。自由化で喜ぶのは大企業ばかりです。雇用を増やしても、大企業は非常勤労働者しか雇いません。「企業栄えて国滅ぶ」、こうした事態になりかねないのです。

 突然菅首相はTPP参加を言い出し、国民世論に問うことなく勝手に結論を出そうとしています。国を危うくしかねない事態です。食料はいつまでも自由に輸入できる状況ではありません。中国はこれまで食料輸出大国でしたが、今や逆に輸入国になり、世界中で食料を買いあさっています。地球温暖化による異常気象で、昨年だけでもロシアは小麦の不作で輸出禁止措置を取りました。オーストラリアでも大水害がおき、穀物への影響は無視できません。こうしたことはこれからも頻繁に起こりうるのです。さらに農林水産業だけでなく、中小企業も自由化で大量倒産が出かねません。署名も行っています。皆さんの反対の声をぜひ上げていただきたい、このことをお願いしまして私からの訴えとします。ご静聴ありがとうございました。

【日米軍事同盟べったりの日本】

 ご通行中のみなさん。  私たちは、国の行政機関や独立行政法人、国立大学などで働く職員でつくる○○県国公労連(○○地区国公)です。

 さて、民主党政権は政権公約であった「国民生活第一」のマニフェストを投げ捨て、私たち国民に我慢と犠牲を押しつけています。その典型の一つに、沖縄の普天間基地の移設問題があります。
 世界で最も危険な基地と言われ、1996年に普天間基地の全面返還が日米間で合意されました。しかし、この合意はほったらかしにされ、その間、沖縄県内での移転先が検討されてきましたが、沖縄県民の全面返還の強い意思によって県内移設を強行させてきませんでした。
 2009年に民主党政権が誕生し、その時、鳩山首相は「海外移転、少なくても県外移設」と約束しました。しかし、日米軍事同盟を最優先する鳩山内閣は「海外移転、少なくても県外移設」の約束をひるがえし、名護市の辺野古への移設を画策しました。菅内閣も同様に、辺野古移設に固執しています。

 沖縄県民の総意は、昨年12月の沖縄知事選で明らかになっています。「普天間基地の県内移設は絶対反対」という意思です。菅内閣は、沖縄県民の総意に基づいてアメリカと交渉を行い、きっぱりと「普天間基地の即時・無条件撤去」を主張すべきです。そのことが、菅内閣に求められています。

 普天間基地の辺野古移設は、サンゴ礁などの貴重な自然も、住民の生活基盤も破壊されることになります。また、東アジアの軍事的緊張をいたずらに高めることになり、日本にいい影響を与えるはずがありません。沖縄はもちろんのこと、日本に米軍基地は不要です。沖縄に日米軍事同盟による犠牲の押しつけを止めさせましょう。そして、軍事同盟に依拠せず、憲法9条に基づき仮想敵を持たない平和な日本をつくることが求められているのではないでしょうか。

 アメリカ言いなりの菅内閣は、在日米軍基地に対する「思いやり予算」を向こう5年間現状の金額1881億円を保障することをアメリカに約束しました。1978年の62億円から始まり2010年の1881億円まで、総額3兆1000億円を超えています。「思いやり予算」は、日米間の法的根拠はなく、日本がアメリカのために国民の税金から出しているお金です。  さらに、「思いやり予算」の他にも、2010年度は基地周辺対策費1737億円、米軍再編関係費909億円など4800億円も出しています。

 蓮舫大臣が「聖域なき」と称して行った「事業仕分け」で、「思いやり予算」はいっさい触れることなく温存されてきています。科学技術予算や社会保障関連予算などは「無駄、廃止」と大ナタを振られたのと比べると同じ税金の使い方の「事業仕分け」なのに、大きな違いです。

 私たちは、世界に例のないアメリカ軍に対する「思いやり予算」を国民の医療、介護、年金などの社会保保障や教育、雇用対策に回すべきであると主張しています。  国民、地域住民のみなさんが将来の不安なく、安心・安全のくらしが実現できるよう、国民、地域住民のみなさんといっしょに奮闘していきます。

【公務員の賃金】

 ご通行中のみなさん。
 私たちは、国の行政機関や独立行政法人、国立大学などで働く職員でつくる労働組合、○○県国公(○○地区国公)です。

 さて、民主党政権は国家公務員の総人件費2割削減を盛んに言っています。「公務員の賃金は高い」、「身分は保障されている」、「一生懸命働かないやつがいる」など公務員バッシングは留まることを知りません。
 本当に、国家公務員の賃金は批判されるほど高額なのでしょうか。
まず、日本の労働者全体の賃金はどうなのでしょうか。世界の先進諸国の中で、日本の労働者だけ賃金が減り続けています。1997年の先進諸国の賃金を100として2009年の賃金を比較した場合、オーストラリアが一番高く170ポイント、次いでイギリス、アメリカと続き、先進諸国で低いとされるドイツでも129ポイントなっています。一方、日本は90ポイントを下回り、賃金が下がり続けています。
 さらに、先進主要国における2000年から2009年の10年間の一般職国家公務員の賃金改定率においても、アメリカが37.5%、イギリス16.85%、ドイツ8.15%とプラス改定になっていますが、一方、日本はマイナス16.85%と、この10年間マイナス改定になっています。
 このことから、日本の労働者は官民問わず、世界の先進諸国と比べて賃金が下がり続けている状況にあると言えます。

 「国家公務員の賃金が高いから、国家財政が赤字になっているんだ」という声も聞かれます。本当に、国家公務員の賃金と財政赤字は関係があるのでしょうか。
 財政赤字は1984年の140兆円から2010年の696兆円と、増え続けています。一方、国家公務員の数は、1984年は89万1000人いましたが、年々削減されて2010年は30万2000人と減り続けてきました。先程お話いたように、国家公務員の賃金改定率はこの10年間でマイナス16.85%となっています。職員数が減り、賃金改定率もマイナスですから、財政赤字の増加の原因とはならず、国家公務員の賃金と財政赤字は無関係と言えます。

 今、公務の職場で問題となっているのは、職場は疲弊しているという実態になっているということです。
 年々職員が削減さる一方で、国民に対する行政サービスは年々迅速化、高度化、専門性が求められ、少ない人員では勤務時間内に対応することが困難となり、超過勤務(残業)が日常化しています。民間の職場と同様にメンタル疾患が増えてきています。 この状態が改善されなければ、国民の安心・安全を支える行政サービスに支障を来しかねません。

 国家公務員も、民間と同じような厳しい職場環境、賃金切り下げの中で働いています。今求められているのは、民間・公務問わず、すべての労働者の賃金を引き上げることではないでしょうか。
 リーマンショックから始まる未曽有の経済危機のもとでも、世界の先進諸国は労働者の賃金を引き上げて景気回復をめざしてきました。しかし、日本の大企業・財界そして政府は、世界の流れに逆行して賃金引き下げを強行し続けてきました。  国家公務員の賃金切り下げは、地域経済や民間労働者にも否定的な影響を及ぼし、消費はますます冷え込み、景気回復につながりません。  すべての労働者の賃金引き上げで、景気を回復し、安心して暮らせる日本をめざしましょう。

【地域主権改革】

 ご通行中のみなさん。  私たちは、国の行政機関や独立行政法人、国立大学などで働く職員でつくる労働組合、○○県国公(○○地区国公)です。

 さて、ここ10数年ものあいだ労働者の賃金は下がり続け、自殺者も年間3万人を超えています。失業率は5%台で高どまりし、新卒者の就職難も深刻です。健康保険料の値上げや年金支給額の切り下げなど社会保障の改悪ともあいまって貧困が拡がり、生活保護の受給世帯数も増加し続けています。このように、貧困が深刻化し格差が拡大するなど社会的な不安が増大している今、国民・住民の基本的人権を保障する国の責任がますます重要となっています。

 しかし、「小さな政府」に向けた公務員削減などによって、行政サービスの提供体制は縮小の一途をたどっています。さらに、「義務付け・枠付け」の見直しと基礎自治体への権限移譲、国庫補助負担金の廃止と一括交付金化、国の出先機関の原則廃止などを柱とした「地域主権改革」がすすめられています。

 「地域主権改革」は、日本の政治や経済の停滞の原因が、霞ヶ関を中心とする中央集権体制や官僚政治にあるとして、住民に身近な行政は身近な地方公共団体が担い、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題にとりくむなどと、耳ざわりのいい理屈で進められています。また、大阪府知事(橋下)や埼玉県知事(上田)が権限・財源の移譲を声高に主張し、あたかも国と地方の綱引きのようにみえますし、「国のかたちを変える」というスローガンは、国民生活の閉塞感を打ち破るような印象さえ受けます。はたして、「地域主権改革」で私たちの暮らしが良くなるのでしょうか?

 「義務付け・枠付け」の見直しと称して、すべての国民が平等に保障されるべき、健康で文化的な最低限度の生活の水準をなくし、「ひも付き補助金」の一括交付金化と称して、医療や介護、年金や保険、教育や育児のために必要な予算をあいまいにして減らすことが狙われています。大型プロジェクトなど資産家の都合がよいことに予算を使われてしまうおそれもあります。国の出先機関をなくして責任は地方公共団体に負わせ、もともと地方公共団体が行っているものも含め、全ての公共サービスの提供は民間の営利企業が行うことになります。利益を得るために利用者の負担が増大し、利益があがらない地域ではサービスが提供されなくなりかねません。

「地域主権改革」は、苦しい生活状況に置かれた多くの人たちがどうなろうと国は一切の責任を負わなくするもので、まさに国民ひとり一人にかけられた問題です。私たちの暮らし向きはますます悪くなるばかりです。私たちの暮らしを良くしていくためには、すべての労働者の賃上げと雇用確保により、消費購買力を高めて景気を回復するしか道はありません。そのこためには「地域主権改革」をやめさせ、国民のくらしや雇用、地域の安心・安全を支える国の行政サービスを維持・向上させることが必要です。

【全法務】

 私たちは、法務省で働く職員で構成する、全法務省労働組合です。

 今、政府は、「地域主権改革」として、「出先機関改革のアクション・プラン」を閣議決定し、国の出先機関改革をすすめようとしています。また、国の責任を地方に押しつける義務付け・枠付けの見直しをすすめる第2次法案の通常国会提出も強行しようとしています。「地域主権改革」は、国の統治構造を大きく変え、憲法が規定する国の責任を放棄して多国籍企業の利益を最優先する「構造改革」路線がむき出しにされています。

 そして、私たちが働く法務局にも攻撃が仕掛けられています。法務局の職場は、国の行政機関として、登記をはじめ戸籍・国籍・供託・訟務・人権擁護など国民の皆様の権利と財産を守り、国民一人ひとりの社会的基盤を支える行政を担っています。
 法務局が取り扱っている不動産をはじめとした登記制度は、制度が発足してから100年以上、国が責任を持って行ってきた重要な制度です。また、以前(戦前)は、裁判所が扱っており、司法的な性格が強いことからも国が責任を持って行うべき制度です。

 私たちが、国が行うべきとする主張は以下の点です。
@登記事務では、国民の皆様の重要な財産である土地や建物などの不動産一つひとつについて、その所在・面積などの現況と所有者などの権利関係を法律にもとづき、登記官が適正に審査し登記するとともに公示しており、取引の安全をはかることを国が保証する信用制度となっています。
A政府が「地域主権改革」として、むりやり地方に移管した場合、法務局の仕事がそれぞれ地方公共団体の自主性と責任において運営されることになり、行政の公平さを欠き、国民・利用者の安全・安心が著しく損なわれることになります。
さらに、「国の出先機関の原則廃止」となれば、地域に身近な法律実務家としての知識や経験を有する職員を配置できなくなり、国民・利用者の安全・安心が著しく損なわれることになります。
 B全国的な地図整備(平成地籍整備)の重要性です。
一例ですが、東京都港区にある「六本木ヒルズ」の建設では、地権者400人の土地買収にあたり、境界の多くが不明であり、この確定に4年半の期間を費やしました。こうした状況は、土地の活用や取引に大きく影響を及ぼします。このような地域を解消するため、地図の作成を国がすすめています。この地図作成も国が実施・保証することにより、国民の財産・経済取引の安心・安全を確保しています。

 全法務は、法務局が行っている登記について、「国が保証する信用制度であり、登記は国が責任もってこそ信頼性や安全性が図られる。」と確信して、「国の出先機関原則廃止」に対する取り組みを行っています。皆さまのご理解とご支援をお願いします。

【全国税】

 私たちは、全国の税務署・国税局で働く職員で組織する全国税労働組合です。

 2011年度の税制改正が国会で審議されています。その税制改正の内容は、法人税を5%程度減税する一方で、給与所得者には給与所得控除の年収制限の導入で増税し、相続税の控除見直しでより広い方から相続税を徴収する内容になっています。また、社会保障の財源確保と絡めて、消費税増税を実現する準備として、国税通則法を改正し、納税者番号制度を急ごうとしています。
 これらの税制改正案をひと言で申し上げれば、「法人の税負担を軽くし、個人にはゆりかごから墓場まで¢攝ナする、というものです。

 今のわが国の不景気の理由は個人消費の落ち込みにあります。空前の利益を内部留保として蓄積している大企業がある一方で、労働者の賃金には配分されない状況が続いています。こういう中で、内需がどんどん縮小しており、そのために物価は下がり、国内産業はどんどん疲弊しています。一方で、国債や地方債を合計した長期債務は、2011年度末に891兆円になろうとしています。
 そういう時に、税制はどうあるべきでしょうか。全国税の考え方は、税収確保機能を確保するために、消費税率の引き上げをせず、担税力のある大企業、高額所得者、大資産家が応能の負担をする税制にしなければ、この状況は打開できないと考えています。

 今の法人税制は、非常に分かりづらい内容となっています。その分かりづらさの中で、大企業の優遇税制が書かれています。たとえば、大企業の実行税率という言葉がありますが、それは、税率は表面上では40%ですが、法人税が課税されない利益が数多くあり、それは一定程度大企業の裁量で決められる内容になっています。おそらく、ご通行中の皆さんは、利益の全てに税率が掛けられていることを前提に、法人税の話を聞いていると思いますが、そうはなっていません。では、利益に対して、実際に納付している税金は何%なのかといえば、資本金が10億円以上の企業が24%程度、100億円以上の企業が17.4%、連結法人という黒字会社の利益を関連赤字会社の赤字で差し引ける法人では、実効税率は10%程度しかありません。これらの企業は大企業です。「国際競争で勝つためには、5%の減税では足りない」と言っている大企業ですが、それはゼロ税率を要求していると言っても過言ではありません。

 一方で、大衆課税強化は止まることを知りません。年金所得者への増税は既に実行済みです。給与所得者への増税は今回の税制改革法案の柱です。事業所得者に対しては、国税通則法改正で、納税者の義務の強化を狙っています。こうした中で、最大の大衆課税である消費税を増税しようとしているのです。

 財源不足は、金持ちから税金を徴収しないから起きています。大衆課税を強化しているから、消費不況は継続しています。そこからの転換が何よりも必要になっています。ところが、大企業や金持ちは、日本国内の景気が悪かろうが、関係ない事業や生活をしています。日本が悪ければ、海外に市場を求めることができます。しかし、日本で働き、日本で暮らしている多くの国民は、日本経済が悪化すれば直接打撃を受けます。この、外需か内需か、の目線が、富裕層と私たち国民の大きな違いです。
 税金の負担をどこに求めるのかという議論なしに、マスコミ各社は消費税増税を煽っています。しかし、経済面でも財政面でも、富裕層に負担を求めることなしに、改善はされない状況です。
 税金の負担のあり方を是正し、税金の使い道の監視は、憲法で国民に負託された基本的な権利です。税制を見直し、応能負担の転換を求めて、ともに経済も財政も健全化を求めていきましょう。

【全経済】

 長引く世界的不況の中で、国、地方を上げた地域経済振興が求められています。ところが、地域経済振興を担う経済産業省の地方出先機関である地方経済産業局は、大幅な人員減が押し付けられ、機能低下が避けられない状況です。さらに、地域主権改革の名の下、他の国の出先機関とともに地方自治体への移譲を進める動きが強まっており、地域経済振興政策が決定的に後退し、地域経済に深刻打撃を与えかねない状況になろうとしています。
 1月22日に発表された政府の月例経済報告では、「景気は、足踏み状態にあるが、一部に持ち直しに向けた動きがみられる。ただし、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」としています。月例経済報告は、「日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともにデフレを終結させるよう政策運営を行う」と引き続く政策努力の必要性を強調しています。一方、地域経済動向報告(昨年11月)では、昨年8月時点より、12地域中、北海道、東北、北関東、南関東、東海、北陸、近畿、中国、四国の9地域で景気が後退していることが指摘されています。中小企業、地域経済の振興は、待ったなしの状況が続いています。地方経済産業局は、国の出先機関のわずか1%という限られた人員の中で、中小企業活動・行政の先進的経験を全国的規模に普及させるなど地域経済振興で大きな役割を果たしてきました。
 しかし、政府は、地方経済産業局も含めた国の地方出先機関について、大幅な人員削減を行うとしています。すでに地方経済産業局は、2006(平成18)年度から2011(平成23)年度までの6年間だけで、183人(9.4%)の純減となっています。地域経済振興は、知恵がカギ、人がカギです。これ以上の人員削減は、地域経済振興を担う経済産業局の機能を奪うものです。
 産業政策は、都道府県ばらばらでなく、全国的規模で一体的に行わなければ効果が上がりません。中小企業は、自前で状況を打開することが難しいことから、政府として、金融支援、技術支援、などなど日本と世界の経済にかみ合った対策を立てることが特に求められます。それなしには、自治体がいくら頑張っても、効果的な地域・中小企業対策になりません。国の出先機関として、そのために奮闘しているのが地方経済産業局です。地域主権戦略では、何か自治体がやればすべてうまくいくかのような主張がされています。しかし、例えば、埋もれた中小企業の技術、ノウハウを全国に広めて新しい商品、産業を作っていくには、国、都道府県、市町村や商工業団体が力を合わせていかなければ出来ません。
 政府は今、広域連合など新たに作られるブロック単位の自治体に地方出先機関の事務・権限を委譲する方針を打ち出しています。これは、これまで国の出先機関を県単位に分割することは、行政の実態を踏まえておらずかえって非効率になるという批判を受けてのものです。しかし、新たに作られるブロック単位の自治体は、住民の意思の反映がしにくく、責任も不明確で、きちんと運営されるのか疑問を持たざるを得ません。
 経済産業局は、間口が広い行政という特質を生かし、地域経済の要である農林水産業について、「農商工連携」も進め、商品化や市場開拓の「知恵出し」をして、振興をはかっています。地域経済振興は、知恵がカギ、人がカギです。
 不況脱出の政策努力が求められるいま、経済産業局が国の機関として責任を持って、これまで蓄積してきたノウハウを生かして、地域経済振興に当たることが不可欠です。経済産業局の事務・権限の広域連合などへの移譲は、地域経済振興の障害となるものです。経済産業局を国の機関として維持、強化することを強く求めます。

【全運輸】

 私たちは、国民のための「安全・安心」な交通運輸行政を担っている運輸局で働く職員でつくる労働組合です。

 さて、交通運輸は現代社会において、国民の生活・暮らしを支える非常に重要なものです。そのため、私たち交通運輸行政の職場では、各種交通機関の円滑な運行のための調整・管理、自動車検査や航空管制などの交通の安全確保など国民生活を支えるために日夜奮闘しています。
 そのような中、政府は、人の移動や流通は国民の諸活動の基礎であるとして移動に関する権利を明確にするために交通基本法の検討をはじめ、今国会での法案の成立をめざしています。これは、国民の足の確保、輸送秩序と輸送の安全確保など国民生活のための交通運輸行政の確立をめざすものと考えます。
 私たちは、国民に開かれた民主的な交通運輸行政をめざし、安全で環境にやさしく利用しやすい公共交通の確立に向けて奮闘しています。
 一方、民主党連立政権は地域のことは地域が決め、活気に満ちた地域社会を作り出すために「地域主権」を確立していくとして、「地域主権戦略大綱」を閣議決定しました。この、大綱では、地域が責任をもつ以上、地域によって格差が生じるのは当然としています。しかし、これでは、国民の権利に対する国の責任を地方に丸投げした、国の責任の放棄にほかなりません。
くわえて、国の出先機関の廃止に向けた「アクション・プラン」が閣議決定されるとともに、国家公務員の総人件費を2割削減という公約実現に向け人勧によらない給与の切り下げも画策しています。これは、国の総人件費抑制の施策に基づくものであり、公務員の数を減らすことはもとより、更なる交通運輸の規制緩和を行い、国民の「安全・安心」をも切り捨てる施策であることは明白です。
 私たちは、トラックやバス、鉄道、船、航空に至る様々な交通モードの行政をおこなっています。みなさんもご承知のとおり、これら全ては全国くまなく移動します。
また、船舶の運航監理や海に関わる行政もおこなっていますが、観光周遊船のような一部の船舶を除くと、そのほとんどが、市町村のような基礎自治体の範囲どころか府県単位にとどまらず、日本全国どこにでも輸送をおこなっています。
 そういったものに対する行政機関が、国にあって何か問題があるのでしょうか。さらに言えば、このような交通運輸行政が陸海空のモードを超え、一つの単位として、機能していくことが、国民のための「安全・安心」な公共交通の仕組み作りにつながるのではないでしょうか。
 国が責任をもって行政サービスを提供しているからこそ、国民の安全・安心が確保できているのではないでしょうか。
 ご通行中のみなさん。ぜひ、私たちの訴えを書いたビラを手にとって、公務はどうあるべきなのかを、一緒に考えていきませんか。ともに、「安全・安心」な日本をつくっていきましょう。

【全港建】

 ご通行中のみなさん、私たちは津波や高潮、地震などから国民の安全を守る、国土交通省、港湾・空港関連部門である地方整備局などで働く職員でつくる全運輸省港湾建設労働組合、全港建です。
 いま、「地域のことは地域で決める」地域主権国家という耳障りのいい言葉で新たな国づくりが進められようとしています。しかし、実体の中味はとんでもない内容をもっています。ひとことで言えば、国民のみなさんに対する国の行政責任を放棄して、地方に押しつけるという代物です。私たちは住民自治の拡充による地方分権には賛成ですが、国の行政責任を放棄して憲法に保障された国民の権利を奪うような改革は絶対許してはならないと考えます。
 改革では権限や財源を国から地方に移譲して、地方の裁量を高めると言っています。地方の自発性を広げていくこと自体は重要ですが、重大なのは国が本来責任を負わなければならないものを地方に委ねようとしていることです。国民のみなさんが生活していくためには社会保障や教育などは全国どこで暮らしていても均等に保障されなければなりません。これはまさしく国の行政責任です。その行政権限を財源と一緒に委ねるということですから、国民のみなさんの権利保障はお金次第ということで全国一律の基準は完全に壊されてしまいます。
 私たち国の出先機関は、国民のみなさんが全国どこでも安心して暮らせるよう、地域間格差のない行政サ−ビスを行うために全国各地に配置されています。その出先機関が地域への権限移譲と同時に多くが廃止されようとしています。出先機関が廃止されれば地域のなかで行ってきた国の責任が果たされなくなってしまいます。私たち、地方整備局で港湾や空港の整備を担ってきた組織もその対象に挙げられています。
 日本は海に囲まれており、港湾や空港は物流や交通に欠かせない社会基盤です。貿易や国内との行き来をする重要な機能は地方まかせにするのではなく、国が責任をもって整備すべきです。港湾や空港には、さらに地震や津波などの大災害に対して大変重要な役割があります。日本は地震列島であり、地震がいつ起きるかもしれません。1995年に発生した阪神・淡路大震災では、内陸の交通手段が被害を受けたため、緊急物資等の輸送で港湾は重要な役割を担いました。こうした災害や防災の最前線で仕事をしているのが出先機関です。
 世界各国で大規模地震が頻発していますが、日本でも東海地震をはじめとしてその切迫性が高まっています。総理大臣をトップとする中央防災会議はこうした自然災害に対して「国の安全・安心に関わる大きな脅威であり、国土並びに国民の生命、身体及び財産を保護することは国の最重要課題である」としています。生命・財産を守るための防災は「生存権」に関わる問題であり、どこで暮らしていても安全で住めるように国が負わなければならない責務です。その防災の最前線に立っている出先機関を廃止して、国が責任を負えると言えるでしょうか。
 国民のいのちや財産を守るためには、国が率先して役割を担うべきです。そのためには出先機関が国民のみなさんの期待に応えられるよう、廃止ではなくて充実こそが必要なのではないでしょうか。

【全気象】

 ご通行中のみなさん、わたしたちは、全国各地にある気象台、測候所など気象庁で働く職員で構成する労働組合、全気象労働組合です。

 気象庁の事業は、気象や地震などを観測・監視し、観測の成果や現象推移の予測を、適時・的確に広く周知することによって、災害を未然に防ぐ、また軽減させることにあります。しかし、残念ながら毎年、気象災害が無くなることはありません。
 09年7月の九州・中国の豪雨では31人が亡くなられ、8月の台風第9号でも25人が亡くなられ、2人が行方不明となっておられます。年末の寒波では、富士山をはじめとして各地で遭難が相次ぎました。
 こうした災害から国民の生命と財産を守ることは、国が行うべき最も大切な任務の一つと言えます。阪神・淡路大震災から10年を期に2005年神戸で開かれた「国連世界防災会議」でも、「防災活動は国の第一義的責任において行われるべきもの」と決議されています。

 こうしたなかで気象庁は、国民の期待に応えるべく、緊急地震速報、噴火警報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報、異常天候早期警戒情報、市町村毎の注意報・警報などの発表を始めてきました。しかし一方で、職員数や事業予算は毎年減らされてきており、観測施設の維持管理や、技術水準の確保にも苦慮する状況に陥っています。また、気象の観測・予測になくてはならない気象衛星の打ち上げにも巨額の費用がかかり、予算を圧迫しています。

 私たちは、過去の自然災害の教訓から、注意報・警報などの防災情報を高度化し、活用していくためには、予報精度の向上にとどまらず、自然現象の確実な補足と、防災関係機関への確実な情報の伝達、そして、利用者に対して十分な支援・指導ができることが必要であり、加えて、地域の産業や日常生活に役立つ気象情報についても、国の直接的な責任で提供すべきだと考えます。また、近年、国際的な関心を集めている地球温暖化問題についても、いっそうの体制強化が求められています。

 これらのことを実現していくため、私たちは、自然現象の観測監視や、調査研究、数値予報をはじめとする技術開発など、気象庁における基盤となる業務を、充実・強化するよう求めています。

【全労働】

 私から、労働者の権利を大きく脅かす動きに関わって、発言したいと思います。

 1つは、地域主権改革、国の出先機関の原則廃止の動きです。
 多くの国民は、地域主権改革という言葉の響きから、これに漠然とした支持を与えているようですが、その中身を子細に見ていくと、働く者の権利等に及ぼす様々な問題点が浮かんできます。

 労働行政に関しては、この間、労働基準監督署やハローワークの廃止、地方移管が焦点となりました。そこには、地方移管の後、これらの機関をすぐに廃止や民間委託してしまうシナリオが見え隠れしています。

 こうした動きには、働く者の権利を守るセーフティネットを乱暴に扱う議論に、労働者、経営者といった労使関係の当事者、さらに労働に関わる専門家から、相次いで反対の意見が表明されています。
 連合、日本経団連の代表も加わった「労働政策審議会」は何度も労働基準監督署、ハローワークの地方移管に反対の表明をしていますし、全国社会保険労務士会連合会、日弁連(日本弁護士連合会)もこの間、反対の意見書をとりまとめています。

 この問題は、労働者全体の問題です。すべての働く人々に、この危険な動きを知らせていかなければなりませせん。そのために、運動を強めていきたいと思います。

 もう一つは、総人件費削減の動きです。
 労働行政の職場は、この5年間で1314人の削減、加えて新年度は136人の削減があり、急増する新規施策・新規業務との間で矛盾を深めています。
 とくに昨年5月21日に閣議決定された、新年度の「新規採用抑制方針」は重大な支障を及ぼしねません。

 具体的に申し上げると、平成23年度を通じて、労働基準監督署では全国でわずか53名、ハローワークではわずか23名しか、それぞれ採用することができず、「三桁に及ぶ欠員」が必至の状況です。
 こうした措置が第一線の行政運営に与える影響は甚大で、働き続けることさえ、難しくしていくのではないでしょうか。

 さらに、「新たな人件費削減法案」の動きが不安を広げています。
 こうした背景には、「公務員バッシング」を勇ましく演出することで安易に人気(世間うけ)を得ようとする政党や政治家の態度があります。
 また、公務職場の深刻な実態を覆い隠したまま「国家公務員人件費削減」を煽り続けるマスコミの姿勢も大きく影響しています。
 公務と公務員をめぐる、偏見に満ちた「世論」が意図的に形成される中、本来、厳しく批判されるべきリストラ・権利侵害が、公務員をターゲットにした途端、容易に受け入れられてしまう素地が作られています。

 このような情勢を根底から転換していく運動が求められていると感じます。
 力を合わせて、ともにがんばりましょう。

【全建労】

 ご通行中のみなさん、今、みなさんが歩いていらっしゃる道路(歩道)の下には、私たちの生活に欠かせない大切なライフラインが埋められています。今、そうした、生活に欠かせない社会資本の老朽化が著しく進んでいます。このような社会資本の耐用年数は、約50年といわれており、現在、一斉に寿命を迎えようとしています。特に、下水道管の老朽化は激しく、ひとたび破損すれば、トイレの排水など私たちの生活に大きな支障をきたしますし、日本国内では、下水道管の破損が原因で「道路陥没事故」が1年間で約5,000件も発生し、自動車やバイクが巻き込まれるなどの重大な事故もおきています。このほかにも、道路橋などでは、特に市町村が管理する橋では定期的な点検も行われていないのが現状で、通行止めや重量規制が行われるなど、いつ落ちてもおかしくないような状況になっています。また、日本は「災害列島」といわれるように、毎年、台風や地球温暖化が原因といわれている「ゲリラ豪雨」で水害が起きていますし、近い将来必ず起こるといわれている大地震でも大きな災害が想定されています。
 こうした状況のなかで、今、みなさんの命と財産を守る防災事業が大きく削減されています。民主党政権は、国の責任を放棄する「新成長戦略」、「地域主権戦略大綱」、「アクション・プラン」を閣議決定し、「選択と集中」で公共事業費を大幅に削減し、国民生活に密着した公共事業までも削減しています。
 私たちは、こうした深刻な事態から国民生活を守るためにも、防災や生活関連型公共事業を拡充することが必要だと考えています。さらに、災害復旧や国民生活の基礎であるインフラを守れるのは「地域の建設業者」であり、その経営の安定と技術者の育成も含めた持続的発展も必要です。しかし、そうした「地域の建設業者」が、今、深刻な不況と厳しい雇用情勢によって日々苦しめられています。政府は、景気回復と雇用の安定に向けた内需と個人消費の拡大につながる公的施策を緊急に実施する必要があります。防災・生活関連型公共事業の拡充は、雇用の確保と拡大した地域格差の是正にもつながります。また、激化した価格競争やダンピングへの対策として、適正な金額で契約し、労働者の賃金を保障していく「公契約法」などを制定することが必要です。
 昨年12月、政府は、「アクション・プラン」を閣議決定し、国の出先機関を原則廃止しようとしています。国の地方出先機関である地方整備局は、主に広域な河川や基幹的な道路の整備・管理を行っています。しかし、「アクション・プラン」は、一の都道府県内で完結する道路・河川については原則移管することを基本とし、それ以外のものも早期に移管できるよう積極的に取り組んでいくとしています。河川や道路は、長い歴史と経験のなかで、その重要性に応じて国・都道府県・市町村がそれぞれ責任と役割を分担して管理しています。「2重行政」といわれていますが、同じところをだぶって管理していることは、決してありません。
 また、多くの自治体では、小泉政権下で行われた三位一体改革で財政危機に陥っています。そのため、必要な社会資本の維持管理が、やりたくてもできないのが実態です。そのうえ、重要な河川・道路の整備や管理までも押し付ければ、国民生活に重大な影響を与えることになります。
 私たちは、今すすめられている「地域主権改革」で、国の責任と役割を放棄し、国でも地方でも行政の役割を破壊するのではなく、国と地方がそれぞれの責任で、お互いが連携して安全・安心の国土をつくり、災害から国民の「生命」「財産」を守ることが必要だと考えています。みなさんのご理解とご協力をよろしくお願いします。

【全医労】

 ご通行中のみなさん、私たちは、国立病院で働く職員の労働組合です。
 救急患者の受け入れ先が確保できない、地元で安心してお産ができない…、医師・看護師不足や公的病院の廃止・縮小等によって、地域医療が崩壊しかねない事態が全国各地で生じています。

 国立病院は、全国に165病院あり、がん・心疾患などの高度医療とともに、重症心身障害や筋ジストロフィー・神経難病、結核・感染症、精神医療、災害医療、へき地医療など、民間では困難な分野を担っています。医療崩壊をくいとめ、地域医療を支えるためにも、急性期から慢性期まで約6万床の全国ネットワークをもつ国立病院の果たす役割は重要です。

 しかし、民主党政権は、「国民生活第一」といいながら、国立病院など暮らしを支える公共部門の廃止や民営化を推し進めようとしています。独立行政法人改革と称して、国立病院に対して、「さらなる経営合理化」や「他の公的病院も含めた再編成の検討」などを迫り、2011年度予算では、結核や救急医療、産科や小児科などの不採算医療を含めて、国立病院の診療にかかわる国の交付金をほとんど削減しています。いのちや暮らしにかかわる公共部門を財政削減一辺倒の視点で、乱暴に切り捨てることは、財政再建どころか、犠牲になるのは国民生活です。

 いま、「公務員削減」が声高に叫ばれ、医療機関に対しても人権費削減や交付金の一律削減が押し付けられていますが、医師・看護師不足は本当に深刻です。
 日本の医師・看護師は、欧米諸国に比べて数分の1と少なく、医療の複雑・高度化に追いつかない人員体制で、医師や看護師の過労死さえ起きています。国立病院では、人工呼吸器をつけた手厚い看護が必要な患者さんが多数入院されていますが、夜間はわずか看護師2人で約50人の患者さんの看護にあたる病棟も少なくありません。安全・安心の医療・看護の実現のために、医師・看護師の増員がどうしても必要です。
 また、病院運営は、医師・看護師だけでなく、調理師や施設管理、事務等多くの職種の連携で成り立っています。しかし、人員削減と低価格を競う業務委託の拡大によって、質の低下や低賃金の委託労働者の拡大など、多くの問題が生じています。
 医療現場をますます疲弊させる人権費削減や交付金削減の押し付けをやめ、安全・安心の医療を支える人員体制の拡充こそ必要です。

 いつでも・どこでも・だれでも安心してかかれる医療体制の確立は、多くの国民の願いです。
 私たちは、国立病院の廃止や民営化ではなく、全国ネットワークを持つ国立病院を充実強化し、地域医療の充実のために役立てることが必要だと考えています。
 地域医療と国立病院の充実・強化を求める運動にぜひ、ご理解とご支援をお願いします。

以上

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