ストップ!年金大改悪
国公労連★年金闘争本部ニュース 2003年11月20日《No.5》


 厚労省が年金改悪案を発表
 −史上最悪の負担増・給付減ねらう−



 厚生労働省は11月17日に、2004年「年金改革」に関する厚労省案を発表しました。
 与党の年金制度改革協議会に厚労省案が提示され、政府・与党は年内に政府案を確定して、来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。しかし、この厚労省案に対して、財務省や経済財政諮問会議からも異論が出ており、今後紆余曲折が予想されます。
 今回の厚労省案は、厚生年金の保険料(現在は年収の13.58%)を来年から毎年0.354%ずつ引き上げ、2022年度に年収の20%までアップして「固定する」というものです。
 この場合、平均的な被保険者(月36.7万円、ボーナスが月収の3.6月分)で1年間約1万100円もの負担増が2022年度まで毎年押しつけられることになります。保険料額は年間約57万円で、月収の1.5倍となります。
 この「保険料固定方式」は、労働者や国民の負担を軽くするかのようなポーズをとっていますが、中心的な役割は大企業を軸とした事業主負担を軽くし、給付を削減することにあります。その20%に保険料を固定する案でさえ、財界は企業の負担が重くなりすぎると反対しています。日本経団連の奥田会長は「16%が限度」と主張しています。
 また、国民年金は、いま月1万3300円の保険料を05年度から毎年600円ずつ引き上げ、2011年度には月1万7300円に値上げするとしました。1人当たり年間4万8000円もの負担増です。今でも深刻な不況のもとで保険料が支払えない国民が増大しているにもかかわらず、更なる負担増を求めることは、「年金の空洞化」を一層深刻化させることになります。
 一方、厚生年金の給付は、現在40年加入の夫婦のモデル年金で、現役世代の所得の59.4%が給付されていますが、これを10年かけて54.7%へ引き下げます。給付水準は8%の削減となり、モデル年金給付(夫婦)の月額23万6000円の場合で、年間22万6000円の減額となり、約1カ月分の給付を削ろうとしています。厚生年金全体の給付額は、年間19兆6000億円(2001年)ですから、8%減の1兆5000億円の給付削減を民間労働者に押しつけるというものです。それにもかかわらず、財務省は厚労省案では給付水準が高すぎると主張しています。
 さらに、経済情勢の悪化にスライドさせて給付水準をスライドさせる「マクロ経済スライド」を導入するとしています。これは、1人当たりの賃金が伸びても、賃金全体の総額が減少していれば、スライドして給付額を減らすというもので、少子化の進展による労働者数の減少を給付カットに連動させる改悪で、国会での審議もなく、自動削減させることができます。
 また、基礎年金の国庫負担を引き上げることが今回の制度改定の焦点です。しかし、前回の99年改革で「当面平成16年(2004年)までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の2分の1への引き上げを図る」と法の付則に明記された基礎年金の3分の1から2分の1への引き上げについては、「将来に向けた道筋を明らかに(する)」と述べるだけで、具体的な実施時期を明示しませんでした。公明党の総選挙公約である5年間で段階的に引き上げる先送り案が検討対象とされています。
 2分の1への引き上げは、国民にすでに約束した事項であり、年金に対する国民の信頼を確保していくためにも即時実現すべきです。
 2分の1への引き上げに必要な2兆7000億円の財源については、厚労省案では不明です。消費税の増税なのか、公明党が主張する所得税の定率減税の廃止と年金課税強化による増税で確保する狙いなのか、余談を許しません。
 年金積立金については、1年分の給付費(現在約5年分)を残し、95年かけて取り崩すことを打ち出しています。
 現在の年金制度は、企業倒産や企業のリストラ「合理化」により厚生年金を支える労働者が減少するとともに、深刻な不況のもとで保険料が払えない国民が増大しています。
 また、5年に1度の年金改定が保険料の引き上げと給付の引き下げを繰り返してきたことが国民の年金制度に対する不信をまねき、年金制度に対する信頼を失っています。
 年金の財源をめぐっては、政府や企業の直接負担を増やさないことを狙って、政府・与党や財界から消費税の増税論議が噴出していますが、年金の財源は、大企業優遇税制の是正、ムダな公共事業や軍事費の削減、政党助成金の廃止、巨額の年金積立金の計画的な活用によって賄うべきです。
 いま、国民にとって必要なことは、大企業や高額所得者に応分の負担を求め、将来も消費税に頼らず、安心できる年金制度を作り上げることです。
 国公労連は、さらなる保険料の引き上げと給付の削減につながる改定に反対し、安心して老後を過ごすことができる年金制度の確立を求め、たたかいます。
 04年通常国会での最重要課題となる年金大改悪と、これと一体で進められようとする消費税率引き上げに反対するたたかいを職場、地域で展開しましょう。



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