年金法案の強行採決に抗議する談話

 自民党、公明党は6月5日参議院本会議において、保険料の引き上げと給付削減などを内容とする年金法案の可決、成立を強行した。
 国公労連は、各種世論調査でも圧倒的多数の国民が反対の声をあげているにもかかわらず、十分な審議を行わず、年金法案を強行採決・成立させたことに断固抗議する。
 年金法案に関わっては、参議院段階の審議において法案の二つの柱であった「保険料は上限固定」と「給付は50%確保」が偽りであったことが明らかになった。
 国民年金の「保険料の上限を現行の月額1万3300円を2017年以降1万6900円で固定」するという説明は、賃金、物価の上昇に伴い上がり続けることが明らかになった。これは、「上限なき」負担増を国民に押しつけるものである。
 給付についても、「現役世代の収入の50%を確保」するという説明は、「厚生年金モデル世帯」が受給開始の時に受け取ることができるだけであり、共働き世帯は31.7%、男子単身世帯は29%まで下がり、3割を割り込むことが明らかとなった。
 また、今回の年金法案では、既に年金を受け取っている人も、「マクロ経済スライド」によって大幅に減額される。
 さらに、前回改正時に04年までの実施が明記された基礎年金の国庫負担割合の3分の1から2分の1への引き上げは先送りされる一方、07年度を目途に「消費税を含む抜本的な税制改革」=消費税引き上げに道を開くものとなっている。
 その他にも、増大する厚生年金の未加入者、未加入事業所、国民年金の未納者など「空洞化」への対策や法案の前提となっている物価や賃金の上昇率、出生率の見通しの根拠が不明確であることなど、解明すべき問題について十分な審議が尽くされていない。
 このような年金法案の成立は、未加入者や未納者を増加させ、年金の空洞化を一層深刻化させ、年金制度の根本を土台から崩すことになる。このような悪法を強行成立させた自民党と公明党に対して、来る参議院選挙で厳しい審判を下さなくてはならない。
 国公労連は、年金改悪の実施に断固反対するとともに、国民の年金制度に対する不安・不信の解消と年金制度の空洞化に歯止めをかけるため、最低保障年金制度の確立をはじめとする公的年金制度の充実にむけて引き続き奮闘する。


2004年6月5日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 小田川義和


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