年金改悪法案の取扱いに関する
三党合意について(談話)

 自民、公明、民主の三党は、5月6日の幹事長会談において年金法案の取扱いについて協議し、保険料の引き上げと給付削減などの年金法案の問題点を何ら修正することなく、5月11日の衆議院本会議で採決することで合意した。
 三党の合意の内容は、(1)衆参両院の厚生労働委員会に「年金の一元化問題を含む社会保障制度全般のあり方に関する小委員会」を設置し、07年3月をめどに結論を得る、(2)与野党で04年から社会保障制度全般見直しのための協議会を設置する、(3)政府提出の年金法案にこれらの見直しをうたった付則を追加修正する、という内容となっており、消費税の大増税にさえ道を開くものとなっている。
 年金の一元化に関わっては、現在自営業者で事業所所得税を納税申告している割合は2割程度に過ぎず、このように所得捕捉ができないまま、制度を一元化して全国民に所得比例の保険料を求めても、実際の負担は会社員などの給与所得者に偏ることとなる可能性が大きい。
 このような「三党合意」に基づき年金法案を成立させることは断じて容認できない。
 政府の年金法案は、保険料の引き上げと給付を削減するとともに、今後国会の審議もなく自動的にそのことができる仕組みをつくるという重要な内容を含んだ現在と将来の国民生活に密接に関わるものである。
 短い国会審議の中でも、(1)厚生年金保険料を14年連続、国民年金保険料を13年連続で引き上げる内容となっているが、この保険料の引き上げが年金制度の空洞化をますます深刻化すること、(2)年金法案は月額2〜3万円の低年金者も含めて給付水準を一律15%削減し、生存権さえ踏みにじる事態を引き起こすこと、(3)法案審議の中で発覚した閣僚の国民年金保険料の未納問題は、年金制度に対する国民への信頼を一層失わせている、などの問題点が明らかとなった。
 与党は、これらの問題点についての十分な審議もないまま、4月28日の衆議院厚生労働委員会において強行採決した。今求められているのは、「三党合意」ではなく、年金法案を厚生労働委員会に差し戻し、公聴会の開催を含め徹底審議を行うことである。
 このまま「三党合意」に基づき年金法案の成立を許すならば、国民の年金制度に対する不安・不信の増大と制度の崩壊を招くことになる。
 国公労連は、「三党合意」に基づく年金法案の成立に断固反対する。国民の年金制度に対する不安・不信を解消し、年金制度の空洞化に歯止めをかけるため、最低保障年金制度の確立をはじめとする公的年金制度の充実にむけて引き続き奮闘する決意である。

2004年5月7日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 小田川義和


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