中央省庁等改革基本法強行成立に抗議するとともに、橋本ニセ「行革」阻止のたたかいを一層強化する声明

(全建設省労働組合)


 6月9日、参議院本会議において、いわゆる橋本「行革」の6大改革の一つであり、その中心である中央省庁等改革基本法(行革基本法)案が緊急上程され、自民党、社民党、さきがけなどの賛成多数で強行成立させられた。法案は、2月17日に衆議院に提出されて以降、審議時間は衆議院61時間、参議院39時間という極めて短い時間で拙速に成立をさせられたものである。

 この法案は財政再建、経済の国際化、明治以来の制度の疲弊等に対応し、21世紀に向けて新たな「国のかたち」を作るためのものと説明されているが、実際その内容は大企業に新たな利益追求の場を与える反面、国民には行政サービスの切り捨てや新たな負担と犠牲を強いるものであるとともに、この法案による新省庁は「巨大官庁化だ」「新たな利権とゆ着を生み出すものだ」等の国民の批判が多い内容である。また、いずれにしても21世紀の日本の姿と国民生活を決定してしまう基礎になるものである。

 それだけに本来国会審議において一省庁ずつ時間をかけ、国民の声を広く聞き、慎重に議論を行い、その結果を参議院選挙において国民に信を問い、そのうえで内容の修正をも含め採決を図ることが、真の議会制民主主義というべき方法であった。その証拠に、この短い審議時間の中でも内閣府の権限強化の問題、国土交通省の巨大利権官庁化の危惧、労働福祉省に失業対策が含まれるのか否か、独立行政法人と現行の特殊法人との違いや不明確さ等、多くの問題点が明らかになっており、全建労は、行革基本法の内容はもちろんのこと、このような民主主義を踏みにじる方法で強行採決したことに強く抗議するものである。

 しかし、行革基本法が成立したと言っても、新たな1府12省庁の大枠が決まっただけであり、これから来年1月の通常国会に提出される予定の新省庁設置法において(1)各省の行政権限の範囲、(2)独立行政法人の具体化、(3)各事務・事業ごとの行政減量化の具体化、(4)内閣法改正、(5)公務員制度見直し等を行うために、約1,600本の関連法案の成立・改正が必要と言われている。

 従って今後10年間で国家公務員10%削減問題、地方整備局設置に向けた統廃合、さらには今夏に予定されている地方分権委員会の報告では直轄事業の地方移管、民営化等が盛り込まれることになっており、「国土交通省は巨大官庁だ」との批判をかわすため、スリム化の名のもとに職員の仕事、処遇、身分、雇用が具体的に関わる問題となってくる。また、大企業優遇政策、国民犠牲の政策も、より具体的に国民の目にはっきりと表れてくることは言うまでもないことである。

 橋本ニセ「行革」阻止、国民本位の公共事業推進の闘いは、ひとつの段階が終わっただけであり、新省庁設置法をめぐっては単組の闘いがとりわけ重要になってくることも考えると、全体として闘いをより強化していかなければならない。

 全建労はこれまで、建設省の「解体民営化」阻止、防災・生活関連公共事業拡大、職員の大幅増員の闘争に引き続き、昨年からは橋本ニセ「行革」と全面的に闘ってきている。その内容は、官民一体となって建設産別連絡会議を結成して25団体約100万人の戦線を構築し、35万人の請願署名を集約し、129名の国会議員から紹介議員の承諾を得たのをはじめ、全建労独自で昨年の秋には712自治体、761議会と422人の国会議員に要請・請願行動を実施し、3月には181議会に請願行動を行い、さらに6月議会においても取り組んでいるところである。また、広範な国民に対する宣伝行動として、昨年の秋と本年5月にキャラバン行動に取り組むなど、全力をあげて闘いの運動を展開してきた。

 これらの運動の結果、橋本首相自身の強い意志で決まった「建設省を国土開発省と国土保全省に分割する」とした「中間報告」を変更させ、「巨大利権官庁化だ」という問題があるとはいえ、河川と道路の分割阻止や国土地理院の独立行政法人化を白紙に戻すなどの大きな成果を勝ち取ってきた。

 橋本ニセ「行革」が国民総犠牲である以上、広範な国民と連帯して闘う条件があるということであり、全建労はこの条件とこれまでの闘いの経験と教訓を生かし、国民世論を背景に建設産別連絡会議などとの共闘を地域へと発展させ、本法案の廃止、国民本位への転換を求めて闘いを一層強化していく決意である。

 そのためには、まず来る7月12日投票の参議院選挙において、真に国民本位の行財政確立を推進していくための審判を下すことが勝利のためにまずもって必要である。

1998年6月10日
全建設省労働組合
中央執行委員会

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