国民生活犠牲、港湾建設局の存在意義を脅かす「行革基本法」成立に断固抗議する

【全港建(全運輸省港湾建設労働組合)の声明】


 中央省庁等改革基本法案(行革基本法案)は、6月9日の参議院本会議に緊 急上程され、自民、社民、さきがけなどの賛成多数により強行採決された。  この法案は、国民が望む行政改革と正反対の、アメリカと財界・大企業の利 益を最優先させる、強権的で反動的な国家大「リストラ」計画である。それ は、6月4日の参考人質疑で、内田経団連事務総長が、「実施機能の分離、省 庁の大括り、地方分権などは、財界の提案どおり」と、もろ手を上げて賛成し ていることからも明らかである。
 衆議院で61時間あまり、参議院で40時間たらずと、わずかばかりの委員会審 議で21世紀の「この国のかたち」を決める論議が尽くされたとは到底いえな い。行革基本法は、1)財界・大企業の要請に即応する内閣機能の強化、2)遅く とも5年以内できれば2001年1月までに1府12省庁への移行、3)少なくとも今 後10年間に公務員定数10%以上の削減を規定し、「天下り」と企業団体からの 政治献金禁止など「政・財・官」癒着の根絶、情報公開法によるガラス張りの 行政の実現など、国民が求める改革は一切盛り込んでいない。参考人質疑でも 圧倒的な学識経験者が「欠陥法」と指摘し、わずかな審議でさえ幾度も政府が 答弁不能に陥るような法案を「数の力」で強行採決する暴挙を、断じて許すわ けにはいかない。
 全港建はこの間、憲法の基本的原則を守り国民生活重視の行政改革を求める 国公行革闘争に固く結集しつつ、国民・地域住民の利益と合意に立った安全で 防災に役立つ港湾・空港の整備を目指して、運輸行政の一端を担う業務体制拡 充のたたかいをとりくんできた。全港建大運動署名は8万4千筆を越え、請願 に対する紹介議員は 105名にのぼり、5月の山場には1週間に3次の上京団を 配置するなど、かつてない行動を展開してきた。
 世界的な労働時間短縮の流れに逆行する労働法制の大改悪、日本をアメリカ の侵略戦争に巻き込む新「ガイドライン」、国民の生存権を脅かす社会保障の 連続改悪阻止など、国民的な課題とも一体的に、地域・中央で声も足もだし地 道に積み上げてきた私たちの運動は、世論高揚の一翼を担ってきた。多くの国 民も橋本「改革」に潜む国民生活犠牲のもくろみに気づき始めている。行革基 本法は強行されたとはいえ、衆院では賛成 267・反対 200、参院では 116・反 対83の僅差のもとでの可決であった。世論を背景にした運動が成立阻止のギリ ギリまで追い込んでいた。悪法を強行すればするほどその支持基盤を失い、窮 地に立たされているのは橋本内閣自身である。
 この法律によって、運輸省港湾建設局の職場は、建設省・国土庁・北海道開 発庁と統合した「国土交通省」となり、港湾建設局を地方建設局(建設省)な どとブロック単位に統合した人員の「減量化」が目論まれている。 630兆円の 公共投資総量を減らさず、公共事業のムダにメスを入れない巨大官庁のもとで 「政・官・財」の癒着・汚職の一層の広がりが懸念され、到底国民的にも受け 入れられるものではない。加えて、工事事務所等の地方出先機関を縮小・統廃 合することは、国民共有の財産としての良質・安全な社会資本を作るという、 直轄組織としての存在意義すら問われかねない大きな問題である。
 政府は行革基本法の成立をうけて、6月中にも中央省庁改革推進本部を設置 し、来年の通常国会に向け 1,600をこえる関連法案の「改正」作業に着手する ことになる。橋本首相も「行革は登山にたとえればベースキャンプをつくった 状態」と語っている。
 たたかいは第二幕となった。全港建は橋本「行革」に断固反対し、引き続き 国公労連に結集して運動を発展させる。同時に、7月の参院選は今後の行革闘 争の行方に直接影響を及ぼすものである。明確な意思表示を下すことが、財 界・資本家と癒着した勢力の支配図を塗り替えるたたかいの第一歩となる。  全港建は、本日、抗議の意味を込め定時退庁行動、橋本内閣に対する抗議電 行動をすべての職場で整然と実施するとともに、国公行革闘争を機軸とした全 港建大運動をさらに大きく発展していくものである。
1998年6月10日
全運輸省港湾建設労働組合
中央執行委員会

行政改革問題資料へ
全港建労働組合へ