「国民生活を重視した行財政確立を求める請願」(行革大規模署名)は衆参とも不採択に--行革基本法の成立を理由に不当な扱い--共産党は採択を主張、他の政党は発言せず

【国公労連「行革闘争ニュース」98年6月19日付より】


<衆議院>
 約65万名分を集めて提出した「国民本位の行財政確立求める請願署名(行革大規模署名)」は、6月17日の衆議院・行革特別委員会の理事会で、保留扱いとなりました。
 理事会では、特別委員会委員長が、「行革基本法が成立しており、通常法案とかかわる請願は審議しないことになっている」と提案しました。これに対して、日本共産党の松本善明議員が、「省庁設置法など今後の法案にかかわる内容であり、審議して採択すべき」と主張しました。しかし、他の政党の理事は何らの発言も行わず、結局委員長提案のとおり審議も行わないままに「保留」(請願不採択)とすることとなりました。

<参議院>
 参議院の行財政・税制改革特別委員会理事会が6月17日に開催され、委員会付託されていた請願の扱いが論議されました。冒頭、遠藤委員長が、「付託された請願を精査したが、いずれも各会派で一致しない内容と考えられ、採択を保留したい」と述べ、これに対して、日本共産党の吉川議員が「いずれの請願も採択を求める」と発言しましたが、他党は「(委員長提案に)異議なし」としたため、国公労連が提出していた二つの請願も不採択となりました。

 ●全労連は、中央省庁等改革基本法(行革基本法)の成立にあたって、10日付で、全労連はつぎのような見解を発表しました。

[見解] 中央省庁等改革基本法案の採決強行にあたって
1998年6月10日 全国労働組合総連合

 1)6月9日の参議院本会議において中央省庁等改革基本法案が自民、社民、さきがけなどの賛成によって採択強行された。政府は橋本首相を本部長とする中央省庁等改革推進本部を今月下旬に発足させ、省庁設置法案作成に着手するとしている。
 本法案審議の過程は、国会の上に「行政府」を置き、首相権限の強化でアメリカと財界の要求を効率的かつ強権的に推進する反動的国家行政機構づくりのための中央省庁再編であるという本質を鮮明にした。
 また本法案は、内閣官房に「国政の基本方針の企画立案」機能や「危機管理」機能を与え、「内閣の首長」たる首相権限を強化することによって、国会に諮ることなく行政府の権限で「日米軍事ガイドライン」にもとづいて、日本を自動的に戦争に巻き込むための軍事対応を取ることであるという事実を、「周辺事態措置法案」、「自衛隊法改正案」、「ACSA改正案」などの閣議決定過程で暴露した。全労連は、このような憲法の民主的原則を否定した反動的で強権的な国家行政改造法を容認することはできない。

 2)政府は、省庁再編によって「財政構造」改革を推進するとしているが、「国土交通省」の創設で、公共事業の7割を占める巨大利権官庁を出現させ、五全総(新全国総合開発計画)にもとづいて、すでに破綻している浪費型の大規模「公共事業」を21世紀にむけさらに推進しようとしている。このことが財政危機をさらに深刻にさせることは必至である。「完全失業率」が4.1%と戦後最悪を記録しているいま、労働行政の充実・強化が求められているにもかかわらず、労働省と厚生省を統合した「労働福祉省」は「失業対策」を「省」の目的から欠落させるなど、国が憲法にもとづいて国民に保障することを義務づけられている生存権、勤労権などの国家責任を縮小・放棄しようとするものであることも鮮明となった。
 また、「事務、事業の減量」という名目で、国家公務員全体の75%におよぶ労働者を、国立病院や国の研究機関などから切り離し、「独立行政法人」に移し、将来民営化するという政府案は、国家が国民に負っている責任を放棄するための大リストラ計画であるということも明らかになった。

 3)短時間の国会論戦でこれらの事実が明らかになると、「法案の成立後改めて具体的に検討する」(橋本首相)などと答弁しているように、政府自身がまじめな検討に値しない法案であることを認めている。
 全労連は、21世紀にわたる国家行政の基本にかかわる「中央省庁再編法」を具体化する省庁設置法案作成過程はもちろんのこと、悪政で苦しめられている国民諸階層との共同を強化し、企業・団体献金の廃止、金権腐敗の一掃、国会議員の株取引禁止、情報公開を強く求めるとともに、憲法原則を具体化する国民本位の行政改革実現、橋本内閣の退陣、国政の革新をめざし奮闘する決意をあらためて表明するものである。

以  上


トップページへ  前のページへ