行革法案阻止座り込み行動3日目に120人参加

【国公労連「行革闘争ニュース」98年6月8日付より】


 行革基本法案に反対する座り込みは3日目となり、各単組と茨城県国公、学研労協、四国ブロック国公代表も含め120人が参加しました。
 行動では、まず、安部副委員長があいさつし、ついで、全労連西川副議長、農民連小林代表、公務労組連絡会山瀬事務局長が激励のあいさつに立ちました。全建労、全通産、全運輸、全労働、全港建、全気象、四国ブロック国公が決意表明(順不同)。参加者は国会にむけ、怒りのシュプレヒコールを繰り返しました。  また、昼休みには、参院議面行動を行い、西田書記長が主催者あいさつ、共産党緒方参議院議委が国会情勢を報告しました。ついで、公務労組連絡会山口議長が激励と連帯のあいさつを行いました。また、8人が参加した茨城県国公などが決意表明しました。

 ○6/8午前の参院行財政改革・税制特別委の審議
  --省庁別審議2・大蔵、通産、法務、外務

 6月8日、午前中は、大蔵、通産、法務、外務の各省の集中審議を行い、自民党常田享詳、民主党前川忠夫、公明猪熊重二、社民党及川一夫、共産党山下芳生、自由党永野茂門、さきがけ堂本暁子の各議院が質問に立ちました。

 常田享詳(自民):(質問の全般は、北朝鮮の核疑惑とKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)問題。後半はODA問題)。参議院の国際問題調査会は、ODA基本法を提言している。大蔵省は、ODA予算で幹部研修をしたり、ブータンでの不正が発覚している。ODA基本法についてはどう考えるか?
橋本首相:ODAについては、透明性と同時に、機動性の確保や相手国政府を経由することから内政干渉にわたらないようにする必要がある。
前川忠夫(民主):今度の行革で通産省は機構の大変化はないが、政策の縮小、重点化、転換がかかげられているが、どうなるのか?
堀内通産大臣:民間経済の活性化、対外経済関係の円滑化、エネルギーの安定供給を任務として、個別産業の振興から市場のルール確立・整備を重点とする。
前川:局、課、定員の削減が書かれているが、数からはいるのは本末転倒。プロジェクトチーム制の導入は民間より遅れている。なぜかというと、縦割り行政、さらに年功序列がある。経済の中枢である省が遅れているのはどうか。
堀内大臣:内外の情勢変化と政策課題が激しく変化していることに対応するため、97年7月からプロジェクトチーム制を導入し、局横断的な業務を担当している。
前川:財政が厳しいとコスト削減が優先されがちで、市民が本当に求めているものも削減される。サービスが簡便に身近なところで提供されるならコストについても理解される。
通産省村田官房長:必要な仕事まで辞めるのは不適切で、コストだけが唯一ではない。経済のグローバル化で企業が国を選ぶ時代。そういう視点でメリハリを効かせる。市場ルールづくり、基盤整備、新規産業創出の環境整備を図る。
前川:規制緩和には光と陰がある。これまでの規制緩和に対する評価なしに、規制を緩和することには素直には乗れない。
通産省江崎産業政策局長:持ち株会社の解禁、ガソリンスタンドの有人セルフ解禁などで経済活性化に寄与している。
前川:活性化に寄与していると言うが、プラスとマイナスをきちっと説明すべき。航空運賃の自由化で、アメリカではローカル便の便数が減らされている。タクシー・ハイヤーの参入規制の撤廃は、反面働いている人の長時間労働を生んでいる。安全面で問題だ。

   独立行政法人と特殊法人の違いが読んでも分からない。一言で言うと何か。
小里総務庁長官:独立行政法人は、これまで国が行ってきた業務のうち一定のものを、行政組織とは別の法人にして、目的と責任を明確にし、行政機関の制約から脱し、弾力的運営を確保し、サービスの向上、透明性の向上を図る。特殊法人は84法人あるが、多種多様で共通ルールがなく、主務大臣が強い事前規制を行う仕組みになっているが、責任が不明確であり、行政機関の一つであり、硬直的で非効率な面がある。
堀内大臣:特殊法人は、行政官庁の統制下にありながら、統制が行われず、機動的でなく、硬直的になっていたところから脱却するために独立行政法人が設けられると理解している。
前川:特殊法人も最初から効率性が悪いものではなかった。原因を分析しないと同じ道をたどる。天下りは特殊法人の問題点の一つだが、業務、事業が問題でなく、組織、人事、予算が問題を生じさせている。官僚は年次主義で、退職後どこかに押し込むしかないので、一番近いところに押し込む。仕組みが問題だ。
総務庁中川人事局長:官庁はライン官職中心でピラミッド型の人員構成できた。これを台形なり、円筒形にすることを考える必要がある。複線型の人事など、公務員制度調査会で検討していただく。
前川:かなりの人が60歳前にやめていく。60歳までいると、総定員の削減がかけられている問題とぶつかるが?
人事局長:T種職員が60歳まで勤めた場合、ポストはスタッフ職、専門職を使うことになる。定員は、新規採用、中途採用の抑制を行い、少しずつ定年年齢に近づけさせる必要がある。
前川:民間との交流は積極的にやるべき。特に専門分野では優秀な官僚がいる。国立研究機関の成果もめざましい。民間との垣根を低くすることは目立たないが行革の目玉になる。国民が求める行革に近くなる。
小里長官:公務の活性化、雇用の流動化のため、十分検討する。官民ゆ着の排除は、粛然と整理しつつ、公務員制度調査会で検討する。
猪熊重二(公明):別表二の主要な任務と主要な行政機構と、国家行政組織法第4条の「行政機関の所掌事務の範囲及び権限」はどういう関係なのか。
坂野内閣審議官:新たな省庁設置法を作る際、任務、機能に基づいて所掌事務、権限を規定することになる。
猪熊:この法案の第4条第4号に、「政策の企画立案に関する機能を担う組織とその実施に関する機能を担う組織との緊密な連携を図る」と書いてあるが、いい法律を作成して提出するのが行政府の仕事だ。このほかにどういう権限、機能を作るのか。
坂野:新たな省庁設置法のありかたはこれからの検討課題だ。
猪熊:18条に法務省の編成方針があるが、法務省にとって一番重要なのは裁判制度の法制の仕組みだ。10年も20年もかかる裁判では困る。迅速化が必要ではないか。二番目は、国民の裁判を受ける権利の確保だが、こうした緊急の課題が落ちているのではないか。
下稲葉法務大臣:裁判の遅延問題は法曹3者で協議している段階だ。裁判を受ける権利については研究会を設けている。これから検討をしていくことになっている。
猪熊:昨年の神戸の事件について一部の報道機関が少年の写真を掲載した。人権擁護局が抗議し、勧告したが、報道機関からは何の対応もない。人権侵害に対する直接的、効果的な手段が必要ではないか。
下稲葉:憲法の報道の自由との関係だが、人権侵害とならないよう考慮したい。一昨年人権擁護推進委員会が発足し、救済の問題を審議しているところだ。
猪熊:18条4号に公安調査庁について、「在外における情報収集活動の強化及び内閣における情報の収集」とあるが、破壊活動に基づく公安調査庁が、海外でどんな活動をするのか、内閣における情報収集とは何か、この点も検討が必要だ。
及川一夫(社民):これまで与党間でも労働三権については深く論議していないが、今後労働者が職場を失うことがある、配置換えもしなければならない、労働者に負担をかけるだけが行革ではない。行革会議で触れられなかったのはなぜか。
小里総務庁長官:その経緯は議員の方がよく承知していると思う。行革会議では労働者の意見、立場を十分視野において配慮していくことが強調された。この基本法案でも職員団体の意見を大事にすることが明確にされている。労働三権の問題は高度な政治事項とされていた。
及川:国家公務員には労働基本権を全く持たない労働者もいる。国公法ができてから労働三権を失った。今日においてもこのままでいいのか。
橋本総理大臣:国民全体の共同利益を考えると制約を免れない。国家公務員も労働者であり、制約に見合う人勧制度も設けている。独立行政法人の職員が国家公務員の身分を持つ場合の労働基本権の付与について言っていると思うが、働く方からの意見も聞いたし、行革会議に委員も出してもらった。その結果、維持されてきた良好な労使関係に配慮することを明確にしたが、今後行革を進める際、どういう意見を汲み上げていくか考えたい。
及川:大蔵省と財務省はどう違うのか。
松永大蔵大臣:財政と金融の分離が相当進むことになる。金融監督庁は総理府所管だが、監督、検査業務は金融監督庁に移る。これが金融庁に再編されると、金融破綻処理、金融危機管理に対する企画立案の任務・機能だけが財務省に残る。
及川:大蔵省が大胆に変わることを確認したい。
山下芳生(共産):これからの行政の重要な内容として、貸し渋りの問題があるが、政府は13兆円の投入を決めたが依然解消していない。
松永大蔵大臣:銀行協会の調査では3月に比べ4月は改善された。それなりに効果があった。
山下:銀行が中小企業に対し、これまで貸している分について、預金を積み増すか、金利を上げてもらいたいと言っているケースが続出しているし、金融検査部長が地方財務局長に出した通達には貸し出しの分類規定が盛り込まれている。これにより、大部分の中小企業が最初から貸付の対象から外される。
山口銀行局長:現実には貸し出しを続けているケースがある。財務状況だけでなくその企業の将来性を見ることもしばしばある。
永野茂門(自由):核兵器の管理について我が国も役割を果たすべきではないかと質問し、小渕外務大臣が答弁した。
堂本暁子(さきがけ):行革では効率を求めるだけでなく質的転換も必要。省庁設置法の権限規定は廃止すべきだ。総理大臣や内閣の権限強化と矛盾するのではないか。
橋本総理大臣:衆議院でもおもしろい議論があった。現在の日本の行政は四角の国民生活の範囲を、小さい四角を隙間なく詰めているようなものだ。これを、四角でなく、大小の○にして空白部分があるようなものにすべきということで、所掌事務が明確であれば権限規定は不要という指摘だった。そして事前に規制することから事後規制に変わるべきというものでわたしも同感だった。チェック機能が乱用されないような行政機関の行為の範囲を明確にする観点が必要だと思う。そういう観点で設置法のあり方を検討したい。

 ○6/8午後の参院行財政改革・税制特別委の審議
   --省庁別審議3・厚生、労働、文部、科技、環境

 6月8日午後は、労働福祉省、環境省、教育科学技術省に関連する審議が行われました。質問者は、自民党・安部正俊、民主党・笹野貞子、公明・渡辺孝男、社民党・及川一夫、共産党・緒方靖夫、自由党・永野茂門、さきがけ・堂本暁子の各議員でした。政府側は、橋本総理大臣、小里総務庁長官、小泉厚生大臣、大木環境庁長官、町村文部大臣、伊吹労働大臣、谷垣科学技術庁長官他が対応しました。

 最初に質問に立った自民党・安部議員は、小里総務庁長官に対し、「明治、戦後に引き続く3つ目の転換点といわれる行政改革だが、大きな転換点といわれるわりには冷めているのではないか。役人に熱意はあるのか。また、(大きな権限から小さな権限へなど)従来の役人像を変えていく必要があるがこの点はどのように考えているか」などと質問しました。これに対し、小里長官は、「冷めたというより冷静な雰囲気で見ている。いずれにしても基本法案が具体化してきたことなど、各省庁の職員の協力があったからできたこと。また、各省庁間において(省庁再編に向けて)連絡会議も行われている。行革が断行されることで、役人(像)が重大な試練に立たされている。働く部隊が根本から変わる。役人像の改革の観点から、公務員制度調査会で、評価システムをどうしていくのか、能力重視への転換などについて検討してもらっている。
 伊吹労働大臣に対しては、「25条4号の「労働関係の変化に対応し、その調整に係る行政を見直し、縮小すること」で組織、人員、機能はどのように変わるのか」と質問しました。これに対し、大臣は、「25条は別表を受けて、省庁設置法を作る上での注意事項という前提で出ている。権限の小さい役人がいいという話があったが、必ずしもそうではない。何を残し、何を削るかということだ。労働関係でいえば、組合と企業の争いは少なくなったが、個人と企業の争いは多くなっている」などと答えました。
 また、町村文部大臣、小泉厚生大臣に対してそれぞれの省の改革についての見解などを質問しました。これに対し、文部大臣は、「一部には、エージェンシー化、民営化との意見もあるが、国立大学でなければ果たせない役割もある。残すべき点は残して、改善をしていく必要があると考える」、厚生大臣は、「国民のために何をなすべきか、役人の意識も大事だがそれ以上に大事なことは政治家が意識を持つことが大事だ」などと答えました。
 最後に、安部議員は、「未来の公務をどのように考えるか、政府委員に聞きたい」と文部省・厚生省の各総務審議官に質問しました。これに対し、「厳しい課題だがやりとげなければならない。教育について本音での議論がしたいと考える。できるだけ従来の発想にとらわれず若い人の意見も聞いてやっていきたい(文部省)」、「この国の形を再構築、大きな変革を為し遂げるためには、行政改革が中心となると考える。6つの改革の中で社会保障構造改革を進めている。行政改革と社会保障構造改革にふさわしい厚生省の改革が求められる」などと答えました。
 以上の他、環境庁長官に対する環境行政に関する質問などがありました。

 続いて質問に立った民主党・笹野議員は、橋本総理に対し、「行革会議の委員13人中、女性が1人しかいなかったことは、総理が議長となって進めてきた男女共同参画推進本部が答申した、国の審議会委員に女性を登用することに反するのではないか」などと質問しました。これに対し、総理は、「要請した各界の代表に女性がいなかった。」などと答えました。
 伊吹労働大臣、小泉厚生大臣に対しては、「今度の行革を見ると、労働省と厚生省が一緒になる。行革は良い方向に変えることが前提ではないか。世界各国をみると労働省単独が25カ国と圧倒的に多い。アメリカもそうであり高かった失業率が4.3%まで下がったことはこのおかげではないか。また、厚生省から50年前に独立した労働省が一緒になることも釈然としない」などと質問しました。これに対し、伊吹大臣は、「労働省の役割、大切さという点では同じ思いを持っている。ただ、予算の効率化、労働関係の変化、国民生活の変化などを要件とした連立方程式の答えとして、この結果になっている」、小泉大臣は、「労働行政の重要性は否定しないが、労働省が独立したからといって変わらないのではないか。雇用保険、社会保険の連携をとることも重要だ」などと答えました。

 公明・渡辺議員は、大木環境庁長官、小泉厚生大臣に対し、ダイオキシン問題に係わって、「縦割り行政の弊害がどのように是正されるか。国民にわかりやすい基準となるのか」と質問しました。これに対し、大木長官は、「違う数値が出ている(最低基準と、望ましい数値)。正直いって、厚生省との間で詰めを行っていない。これから詰めたい」、小泉大臣は、「たしかに分かりにくい。厚生省が基準を示すと販売を禁止すべきとの話にもなる。国民にわかりやすいように環境省と連絡をとる」などと答えました。
 小里総務庁長官に対しては、「縦割り行政の弊害がどのように調整されるのか」と質問しました。これに対し、小里長官は、「この辺はきちんと整理する予定。1)内閣官房による総合調整、2)内閣府による総合調整、3)各省間の総合調整、以上3類型を組み合わせて各省間の調整を円滑に行う」と答えました。
 続いて国立病院の独立行政法人化に関して、「対象の例外として想定されているものは何か。また、43条の選定基準(真に国が担うべきものに特化)はあるのか」と質問しました。これに対し、厚生省医療局長は、「ここでの考え方は、「高度の研究機能を有し、民間に委ねることが困難なもの」、この範ちゅうについては今後検討が必要。(43条の選定基準)1)国家の危機管理、感染症、2)戦略的医療における役割、3)歴史的、社会的な経緯により民間での対応が困難、4)国家的な見地から重要な医療(昭和61年、平成8年に変更)となっている」などと答えました。引き続き厚生省に対して渡辺議員は、「独立行政法人は中期的な計画を決めることになるが、医療制度の抜本改正が予定されており、これとの関連は考えなくてもいいのか」と質問したのに対し局長は、「医療保険制度の改革は医療経理の改革であり、医療機関の改革は別個のもの、着実に行っていきたい」と答えました。

 社民党・及川議員は、各省庁のネーミングの問題について「私は労働省の生まれてきた経緯にこだわりたい」などと質問し、これに対し、「役所の名前はその省の仕事が的確にわかりやすい二文字がふさわしい(小泉厚生大臣)」、「役所の名前がわかりやすいことに越したことはない」などと答えがありました。

 共産党・緒方議員は、「行革基本法案の43条の3に関連して、86年の再編成以来、あらたな再編成に強い懸念・批判が出ている。国立病院・療養所の再編成は、不採算医療を切り捨て、国の責任を放棄するものでゆるされない。現に、厚生省の目標数値の28%しか達成されていないことからも、行き詰まりを示している。「厚生白書」でも、地元自治体の理解・納得が得られない、と書いてあるではないか」と質問しました。これに対し、小泉大臣は、「地元自治体にとっては、そりゃあ病院が多ければ多いに越したことはないでしょう。これからは、公的な機関だけが公共業務を担うという考え方ではダメだ。同じ業務を民間でできるものは、積極的に民間が進出して行うことが必要だ。とはいえ、厚生省も急ぐつもりはない。住民の理解を得ながら、これからもゆるやかにすすめていく」と答えました。
 さらに、緒方議員は、「地域に、国に代わって民間にやってもらいたいという強い希望があるとは思わない。現に、全国3300ある自治体のうち、3000もの自治体が「国立病院・療養所の存続」を要望する決議を採択しているではないか。しかも北海道と九州では、100%、全部の自治体からの決議だ。どう受けとめるのか。再編成によって、逆に病院がなくなってしまう危険のある地域も出てきている。例えば、山口県の豊倉町にある国立山口病院は、広い地域をカバーする数少ない総合病院であり、地域になくてはならない存在となっている。それを厚生省は、50qも離れ、JRで片道2時間もかかる国立下関病院と統合しようとしている。7割の住民が存続をうったえているのにだ。今でも1日平均10件、年間で3500件もの急患があるのに、統合してどうしようというのか。住民の生死に関わる重大な問題だ」と質しました。これに対し、小泉大臣は、「地域からみれば、あった方がいいというが、全体的な立場からすると委譲できるものは委譲すべき。このままでは、どんどん役人を増やさねばならず、税金も高くなる。条件を整えて、どんどん民間に移す必要がある。厚生省はこの問題で、国会で「地方自治体の理解は進みつつある」と答弁しているが、理解どころか地方に圧力を加え、脅し・恫喝に近いことを行っているのではないか。長崎の国立壱岐病院や四国の西香川病院などあちこちで、そうしたことを厚生省の地方部局が行ったとの報告がなされている。厚相は、厚生省の責任者として実態をきちんと調べるべきではないのか」と質しました。これに対し、小泉大臣は、「役所が、そのようなことを行うことは、ありえない。いかに住民の理解を得て再編成を行うかに腐心している。これまで進んでいない部分についても、民間が引き受けたくなるような条件整備も含めながら、これまで通り「おだやかに」行っていきたい。また、それぞれの地域によっても事情があろう。そうした事情もふまえながら、話し合ってすすめるつもりだと答えました。
 緒方議員は、「以前、当時厚相だった斎藤十郎も、国立病院・療養所の再編成について「見切り発車はせず、大方のコンセンサスを得るまでは、これまで通り国立病院・療養所を存続させる。」と答弁を行ったが、これについてはどうか」と質問しました。これに対し、小泉大臣は、「国立病院のない地域も数多く、民間病院でも国立に勝るとも劣らない施設の病院はたくさんある。国立病院でなくてはならないという考え方は、はっきり改めてもらう必要がある。そのことよりも、適切な病院配置を行うことが重要だ」と答えました。
 最後に、緒方議員は「国立病院・療養所の重みについて、総理に聞きたい。今後、独立行政法人化に関わって意見をまとめる立場としてもどう考えるか」と質問しました。これに対し、橋本首相は、「地方公共団体の責任についての言及がないが、議員はどう考えるのか。そもそも国立病院とはいっても、かつての大日本帝国時代に陸軍病院、海軍病院であったものをそのまま国立病院という形で集約したものであり、ばらつきや地域間の格差が残っている。本来は、適正な配置を考えても良いのではないかとも思う。私も、かつて国会に来たばかりの若い頃、同様の提起をしたが聞き入れてもらえなかった経験がある」と答えました。

 自由党・永野議員は、教育改革の問題と教科書問題について質問を行いました。

(答弁省略)
 さきがけ・堂本議員は、橋本総理に対して、「各省設置法の権限規定を廃止すべき」などと質問しました。これに対し、橋本総理は、「議員の見解とは異なるが権限規定については、民間ができるだけ自由に動ける行政組織にしたい。そのために所掌事務、権限をきちんと位置づける」と答弁しました。

 ○6/8午後の参院行財政改革・税制特別委の審議
   --省庁別審議4・建設、運輸、北海道開発、農水

 8日午後4時からの参議院、行財政改革・税制特別委員会は、建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁および農林水産省を対象とした集中審議が、午後6時50分までつづけられました。国公労連・各単組からは、各省庁対象の単組を中心に20人が傍聴に参加しました。
 質疑には橋本首相、小里総務庁長官および関係各省庁大臣が出席したうえ、質問に立ったのは、自民・鈴木政二議員、民主・小川勝也議員、公明・海野義孝議員、社民・及川一夫議員、共産・緒方靖夫議員、自由・永野茂門議員およびさきがけ・堂本暁子議員です。質疑では、巨大な官庁が誕生するといわれる建設、運輸、国土、北海道の四省庁を統合した「国土交通省」について集中しました。
 まず、1府12省庁にかかわる中央省庁再編の基本的見解として総務庁長官は、「最初から1府12省庁ありきではなかった。簡素化、効率化、縦割り行政の是正から検討。裁量行政の縮小ひとつとっても、現在の省庁を整理淘汰すべき点がある。それから言えば、31万人新総務省その中も思い切って改革することを相談している。企画・立案部門と分離して、30万4千人の郵政事業は外に引き出す。2001年の2年後には公社化、行政とは独立の法人格で、政府の行政縮減となる」としたうえ、「国土開発省と国土保全省の考え方もあり、また公共事業を一括に扱う省庁の考え方もあった。なぜ、国土交通省と農林水産省のなったのか」とともに、「大変大きな公共事業の官庁となった。国土交通省のスリム化は」との鈴木議員の質問に対し、坂野内閣審議官は「大規模官庁の懸念もあると思うが、開発と保全の機能を峻別することは問題。公共事業を抜本的に変えることからこうなった」。総務庁長官は、「整理・合理化しなければならない。7万人の9割が地方支分部局にいる。地方支分部局を思い切って整理統合しなければならない」と、答弁しました。建設、運輸両大臣も、地方への権限委譲、地方支分部局の統合整理に言及するとともに、農水大臣も大胆に地方へ権限委譲をはかるとしています。
 国土交通省への権限委譲にかかわっては、海野議員は「国土交通省に権限が集中。巨大省庁を防止する手段は」。緒方議員からは、五全総を問題として出しながら「五全総はやはり大型プロジェクト中心。莫大な費用がかかる。どのくらいの投資規模になるのかも巨大な額になるから、わからないとしているのではないか」「それを推進するのが国土交通省ではないか。巨大な予算と巨大な権限を握る」と質問。また、堂本議員からは「国土交通省の巨大さに危惧をもっている。環境保護の観点から、環境省の環境行政が埋没してしまうのではないか。また、国土交通省が公共事業そのもフを自己目的化してしまうのではないか」と質問の観点は違いながらも質問しています。
 橋本首相は、「五全総は一極一軸形の国土開発から多軸形の均衡ある国土発展をめざしたものである。基幹プロジェクトはその観点からでたものである」としたうえ、一貫して「地方支分部局に一括して予算を配分し、執行させる」と答弁。小川議員の「現在の省庁をスリム化したうえでの省庁再編ではないか。ハコだけ決めたのではないか。とくに国土交通省は、巨大利権官庁が誕生する」との質問に対しても、「公共事業は地方の役割を見直す。国の公共事業、補助事業は限定的にする。地方支分部局でできるだけできるようにする」と、答えています。
 ここでの地方支分部局は、「北海道開発局を念頭に置きながら」(橋本首相)、「北海道開発局は縦割り行政の是正のモデルケース」(北海道開発庁長官)などに、みられるように開発局を念頭に、地方・ブロックに一括して予算を渡し、地域で執行するのがよいとしています。「地方支分部局が巨大な権限を握る」との緒方議員の質問には、「地方支分部局も簡素、効率化を求める。現在の省庁の寄せ集めではない」と首相は答弁しています。国土交通省の局の数はいくつ想定されるかとの小川議員の質問には、内閣審議官は、「確定していない。組織と人員は合理化削減を求める。予算は財政構造改革で削減していく」としています。
 地方支分部局について、小里総務庁長官は「地方支分部局の合理化、統合は徹底しなければならない。極めて高度な専門性をもつ機関は関係省庁と別途検討していく」としています。
 特別会計について、「道路整備は道半ばといえる。道路特別会計はつづけたい」(建設大臣)。「特別会計は目的がある。それなりの手続きが必要」(首相)との、国土交通省の質疑にかかわってのなかで答弁がありました。そのほか、橋本首相は「この法案によって、まさに行政改革を進めるベースキャンプを築きつつある」と強調しています。

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