衆議院での「行革基本法案」強行採決に抗議し、その成立阻止に全力をあげる(書記長談話)

 1、本日(5月12日)の衆議院本会議において、中央省庁等改革法案(行革基本法案)の採決が強行され、自民党と社民党、さきがけの与党3党の賛成で採択された。
 4月10日からはじまった行革基本法案の審議は、実質10日程度しかおこなわれていない。21世紀の「この国のかたち」を形作るとする法案の論議が尽くされたとは、到底言えるものではない。審議をするほどに明らかになる行革基本法案の反国民性を覆い隠し、橋本内閣の行きづまりを「行政改革」断行の姿勢を強調することで乗り切ろうとする思惑で、国民生活に多大な影響を及ぼす重大法案の成立を急ぐことは断じて許されない。衆議院での採決強行に強く抗議するとともに、引き続く参議院段階でのたたかいをさらに強め、行革基本法案の成立をくい止めるために全力をあげる決意を表明する。

 2、衆議院段階の法案審議を通じて、行革基本法案の危険性が一層明らかになってきた。
 その一つは、今回の「行政改革」は、行政事務の実施部門に焦点をおいた減量化・スリム化の大「合理化」計画であることが明確になった。独立行政法人、公社、民営化の対象となる事務、事業に従事する公務員数が約64万人、全国家公務員の75%にのぼることを政府は否定していない。
 二つには、国の役割の重点化と首相の権限強化が一体のものであり、とりわけ「新ガイドライン法」(有事法制)の閣議決定に見られる「軍事大国化」と密接な関係を持つものであることが極めて明確になった。
 三つには、「1府12省庁」の省庁再編自体が、国の機能の重点化を示すものであることが明確になった。内閣府や総務省などの編成が、軍事大国化をめざす首相の権限強化そのものであること、国土交通省が社会資本整備を口実に旧来型のゼネコン本位の公共事業偏重の財政運営と一体であること、社会保障改悪や労働法制改悪と労働福祉省編成が一体であることなど、機能集中の一方での国民生活関連行政の切り捨てを狙った「行革」推進の法案であることがはっきりした。

 3、政府は、本日、財政構造改革法の「一部修正案」や大型補正予算編成の趣旨説明等をおこない、その国会審議が開始された。政府・自民党は、財政構造改革法の一部修正等を先議し、行革基本法案の参議院審議は5月末まで棚上げするとしている。労働法制改悪や大店法廃止、さらにはPKO法の改定案など、橋本「改革」推進の重要法案が目白押しの状況のもとでも、財政構造改革法の「修正」を先行しなければならないことに、追いつめられた橋本内閣の姿が現れている。
 橋本「改革」の悪政に反対する国民世論は、47万をこえた「行革大規模署名」や内閣支持率の低下に示されるように、大きく広がりはじめている。橋本「改革」の中心である行財政改革の法案がともに国会で審議される今、「国会を解散して橋本『改革』の信を問え」の世論で国会を包囲することが、橋本「改革」の強行を阻止する最短の道である。

 4、国公労連は、これまでのたたかいに結集し、橋本「改革」阻止のため全力をあげて奮闘された全国の仲間のたたかいに心から敬意を表明する。
 たたかいはいよいよ剣が峰を迎えている。新たに提起した「財政構造改革法廃止署名」を成功させるとともに、橋本「改革」阻止の一点での国民共同に結集して、「やれることはすべてやりきる」構えで、さらに大きなたたかいを全国で展開しよう。
 当面、5月22日の中央行動を節目におき、署名と宣伝、そして地元選出国会議員への要請をさらに強めよう。
 国公労連中央執行委員会は、全国の仲間の生活をまもり、国民本位の行財政実現のためたたかいの先頭にたって奮闘する決意を改めて表明し、全国の仲間の奮闘を呼びかける。

 1998年5月12日 日本国家公務員労働組合連合会
書記長 西田祥文


以上


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