有事体制づくりをねらう内閣機能強化--4月28日行革特別委員会審議

□150人の参加で議面集会(4/28)
 4月28日、衆議院議面集会が、国民大運動実行委員会、安保廃棄中央実行委員会、国公労連などが共催して実施され約150名(国公56名)が参加しました。集会では、全労連小林議長が主催者挨拶を行い、安保廃棄中央実行委員会、大店法廃止反対、盗聴法反対実行委員会、新婦人、国公労連(全国税)の代表が決意表明をおこない、日本共産党の矢島恒夫衆議院議員が国会情勢報告をおこないました。

決意表明・全国税長谷川健中執
 昨日、大蔵官僚への処分があったが、一晩100万円の接待を受けるなど第一線の税務職員からすればまったく信じられないこと。4月23日の大蔵シンポで講演を行った朝日新聞編集委員の山田敦史さんは、銀行モフ担はキャリアのための政策づくりだとのべていた。まったく、恥ずかしくて、屈辱的だ。このような連中が全国税を弾圧してきた。
 政官財の癒着を断ち切るのが行政改革の出発点だったのではないか。大蔵省の本来の機能は失われてしまっている。国民のための行政をめざし、国公労連、全国税は、広範な人々と真に連帯してたたかう。

国会情勢報告・矢島恒夫衆議院議員(日本共産党)
 今国会は、銀行支援30兆円問題で早い時期に開会したが、会期の3分の2を終えようとしている。残り3分の1で、各委員会で遮二無に悪法を通そうとしている。まず、行革特別委員会だが、審議の中で危機管理、内閣機能強化を前面に押し出し、どの省庁再編も財界のいいなりであり、国民生活にとって必要な行政を削ろうとしている。5月8日にも行革法案は衆議院を通そうとしている。5月15日からサミットからはじまるが、その前に財構法見直そうとしている。社会保障は削ったまま、公共事業のための赤字発行をしようとするものだ。これに反対する野党共闘の動きもでてきた。公共事業では国民のふところはあたたまらない。消費税3%への引き下げによる効果は自民党も認めている。国民健保法改悪、労基法改悪、大店法廃止、サッカーくじ、ガイドライン見直し有事立法など連休をはさんで、これら悪法をめぐってのせめぎ合いになる。橋本内閣はダッチロール状態になっている。解散・総選挙で国民の信を問えの声をあげていこう。

□4/28行革特別委員会審議(午前)
「独立行政法人はさっぱり分からない」石井議員(民主)

「さらなる首相権限の強化が必要」東議員(自由)

「有事体制づくりを狙う内閣機能強化」木島議員(共産)

石井紘基(民主党):日銀の給与、退職金について質問する。資料請求を11日前にしているがまだ提出されていない。

鴨志田日銀理事:非公開の扱い。可能な限り提出したい。

石井:三重野総裁は、1億8千万円が、吉本副総裁は5385万円が退職金として支払われている。吉本氏については大蔵省、国民金融公庫ではいくら出ているか?

溝口大蔵省総務審議官:大蔵省では4458万円だ。国民金融公庫は手元に資料がない。

石井:国民金融公庫では1973万円だ。全部足すと1億2860万円になる。参事クラスの退職金の総額と退職人員は?

鴨志田日銀理事:平成5年から9年までの累積で、28億6500万円、退職人員は、61人だ。

石井:ざっと割ると平均4500万円。理事クラスより高いのではないか。日銀は、国家公務員に準ずる身分であり、待遇とかが国家公務員と全然別でいいのか?

中井大蔵省審議官:昭和34年に金融制度調査会が「市中銀行並み」とした。昨年、国会などで大変議論していただき、「社会一般の情勢への適応」、「公表」が決められ、役員については、3月公表され、9月には一般職員も公表される。

石井:チェック機能が問題だが、大蔵省の処分があったが、日銀が大蔵省を接待したのはどれくらいか?

溝口大蔵省総務審議官:詳細は存じていないが、日銀とは適正な関係。

石井:会計検査院長が日銀の監事になっており、チェック機能が働いていない。総理、どう考えているのか?

橋本首相:日銀法の改正で独立性が高まっており、政府がどこまで答えうるのか苦慮するが、先般の議論は私自身すっきりとしない。総裁、副総裁人事では、民間の考え方を理解しており、日銀を変えうる方を選んだ。透明性の努力について、大蔵大臣は、日銀に対して一定の問題について報告を求めることができる。それがどのようなものかを留意していきたい。

速水日銀総裁:今後、給与について、透明性を高め、説明できるアカウンタビリティあるものにしたい。

石井:独立行政法人はさっぱり分からない。定員管理の外におかれる。特殊法人と違うのは、通則法があるかどうかだ。特殊法人は肥大化している。何だということをはっきりさせるべき。

首相:外国で、日本の特殊法人のようなものが存在しない中で、効率性や行政の質の向上、透明性を高めるという目的で、ッ様の制度として、エージェンシーを導入した。国の実施している事務について、共通原則を作り、目的、責任を明確化し、自主性、自律性を高め、財政の弾力化や目標の公開をしていく。これは特殊法人にも求められているポイントである。特殊法人は共通原則がなく、バラバラだという点を見直さないといけない。

桑原豊(民主):内閣機能の強化が改革の第1の目的だが、長が総理である内閣府が、内閣官房を助けるというのはちょっと分からない。

首相:内閣官房は、内閣と総理大臣を直接補佐し、国政にかかわる基本方針の企画立案にあたる。内閣府は、その企画立案を受けそれを具体化する。内閣府は知恵の場だ。そうした業務と、内閣総理大臣が行うのがふさわしい事務、主任の大臣を総理大臣とする外局を置く。総務省は、政府全体に共通し、社会経済的にも重要な事務を担当する。例えば、中央人事行政機構として制度の一体化を確保する。

桑原:災害対策について、内閣官房は、危機管理を担当。内閣府に、中央防災会議が置かれる。実際の災害対策はどうなるのか?現在国土庁が担当している事務は?

小里総務庁長官:災害対策は各省庁が担当し、防災行政は内閣府に中央防災会議を置き、企画立案と総合調整を行う。国土庁が担当している事務は、今後、推進本部で議論し、次に提出する設置法で決める。中央防災会議は、内外の知恵を集め、危機管理を助ける。

桑原:男女参画会議だが、男女参画は、世界の水準から見て遅れており、総理府は調整機能を果たしていない。他省庁より優位に立つところに調整機能を置くべきではないか?

小里長官:男女参画は、雇用、教育等あり、結局内閣府が内閣官房を助け、他省庁と異なる位置づけの下、総合調整を行う。より強化された仕組みになる。

桑原:国民が期待しており、強力なリーダーシップの下やってほしい。予算編成はどうなるのか?

首相:予算編成し、国会に提出するのは内閣の権限。内閣官房を助ける機関として、合議制の経済財政諮問会議を設け、民間、学識経験者の意見を参考に、編成方針を決める。総理大臣が内閣の首長として、編成の基本方針を閣議にかけられるようにする。しかし、詳細な編成作業を担当するのは適当でないので、実務は財務省が行う。

桑原:具体的にはどうなるのか?

首相:これまでと基本的に違うのは、基本方針を経済財政諮問会議で決めるという点だ。実務に対しても見守っていく。

桑原:国の役割を限定し、国と地方、国と民間の分担を見直すことが必要だ。地方分権委員会で、5次勧告が出るが、推進計画もできていない。これまでの議論は機関委任事務が中心。権限の委譲、財政の改革はこれからの課題だ。

首相:財源は中長期的に見直していく必要がある。一方、機関委任事務は一つの成果だ。3300の自治体の自主的合併については、自治体スケールによって、受け持っている事務の差がある。共通項ではない。国から市町村に対して、自主的合併や広域連合という形で、どこまで権限を渡していくかが問題だ。

桑原:地方の立場でものを言う役所がなくならないか?

小里:地方分権推進は、全政府的課題。総務省の重要機能として、助言や意見の申し出を行うべきという意見は、設置法の立案にあたって、重く受け止める。

桑原:行政管理的な行政と総務省として一体になることは矛盾しないか?

首相:地方分権を政府全体にかかわる問題としてとらえており、総務省に置くことは積極的な意味がある。

桑原:沖縄担当国務大臣を置くことになっているが、地域振興と基地問題を絡めることになりはしないか?内閣府に置くべきではない。

首相:沖縄県を含めて強い要望があり、それに基づいている。歴史的、地理的な問題、基地の問題があり、国政上の重要課題であり、総合的一体的に推進する必要がある。

福島豊(平和改革):内閣府は、他省庁より上か、同格か?

首相:内閣府は、内閣官房の補佐支援機関として、国政上の重要事項の企画立案調整を担当する。国政の重要事項、総理大臣が行うにふさわしい事務、例えば栄典を担当し、総理大臣を主任とする外局が置かれる。

福島:3類型の調整どういう行政課題で分けられるのか?

小里長官:内閣官房は、法制上の重要課題について、最終調整を行う。内閣府は、全政府的な課題について調整する。各省は、それぞれの行政目的にかかわる問題の調整を行う。いかなるものがどれにあたるかは政府が決定すべきもの。

福島:内閣府の、調整にあたっては、拒否、指示、提案、資料・報告の徴収などが全て含まれるか?

坂野内閣審議官:最終報告で示されたものは入ると思うが具体的には設置法で決める。

福島:中央省庁再編準備委員会参与の意見は、調整手段に指示を含めるべきということと、内閣府が各省庁より優越していることを明示すべきと言っている。

小里長官:基本的考えは縦割りの弊害排除だ。内閣府は、各省庁に広範にかかわる企画立案調整を行うことは本文に記述してある。具フ的任務は設置法で決める。

福島:青少年健全育成の総合調整とだけあり、企画と言うことが抜けているが?

首相:全政府的課題であることは間違いない。受け身でなく積極的な調整を行っていく。必要な企画はその一環として行う。

福島:少子高齢化も重要課題ではないか?なぜ内閣府の課題ではないのか?

坂野内閣審議官:少子高齢化は省庁間調整がすべてではない。問題の次元におうじて内閣官房が調整する。

福島:消費者行政は労働福祉省が担当すべきでは?

坂野内閣審議官:産業、医療、食品等にかかわり、利益相反性もあり、内閣府が担当するのが適当。

福島:内閣府の採用は?

村岡官房長官:最終報告で、企画立案調整は、広く人材を内外から求めるべきと考えている。趣旨を踏まえ、設置法制定時に検討する。

福島:同じ仕組みを各省に広げないか?

小里長官:全体にというのは極めて重要問題。言われた趣旨を吟味する。

東祥三(自由):この間、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、ペルーで起きたテロ事件、重油流出事故など、危機管理面での政府の無策・失策が目立った。こうした反省点に立ち、行革基本法で充分な対応は可能か。

橋本首相:危機事態などの情報の収集・分析、判定メカニズムで至らぬ点があったと思う。情報収集などの点で、(行革基本法だけでは)まだ問題はあるのではないか。

東祥三(自由):全会一致方式では、突発的な事態に対応できないのではないか。また、内閣機能強化について、法案はあいまいで抽象的な表現となっており、何をやるのかさっぱり分からない。本質的問題を論じず、先送りしている。

橋本首相:閣議での事前決定方式を前提として、全会一致(方式)で問題ない。これは憲法で規定されている根本問題だ。

東祥三(自由):行革基本法で、タテ割り行政といわれる弊害を克服できるのか。

橋本首相:克服するために、このシステムはつくられたと考えている。(弊害は)除去される。

東祥三(自由):高度な情報は、あいかわらず官僚が握っている。少々の情報であれば国会まで伝わらない。さらに、各省の権益などに触れるようなことは協力もままならない。危機管理監は(省庁から)強制的に情報を出させる権限は持つのか。

村岡官房長官:総理から各省庁に対して情報を知らせるよう指示できる。各省庁からも優秀な人を集めており、情報のつまりや漏れ等がないようにしている。

東祥三(自由):北朝鮮の核保有疑惑の際には、閣議決定がなく動けなかった。これからも閣議決定がないから動けないと言うことにならないか。

橋本首相:それは決定の仕方だと思う。

東祥三(自由):突発的な事態に備えるためにも、内閣法6条との関連で首相の権限をさらに強化する必要がある。

橋本首相:指揮監督権のあり方については、幅広い検討にゆだねられている。あらかじめの閣議決定や内閣法6条の弾力化などの措置は講じるが、自ずから一定の則(のり)があってしかるべきだと思う。

東祥三(自由):いずれにしろ、行革基本法は改革の名に値しない法案だ。本質的な問題を避けている。憲法を含めて改正し、ベストの体制を作るべき。

木島議員(共産):行革基本法のなかでも、内閣機能の強化は、国権の最高機関であるとした憲法の主旨からも、国会を低めるものとして大問題であり、憲法違反とも言えるものだ。

橋本首相:内閣機能強化は、国会と内閣の関係に影響を与えるものではないと思う。

木島議員(共産):新ガイドラインに伴う、周辺事態法案が閣議決定された。日本が直接攻撃を受けなくとも、アメリカが起こした戦争に自衛隊を参加させる、大変危険なもので許せるものではない。後方地域支援を決定する際、国会の関わりはどうなっているのか。

久間防衛庁長官:周辺事態について国民の生命・財産を守るため、後方支援を行うことが必要。政府は責任もって、迅速な決定を行う必要がある。

木島議員(共産):後方地域支援を閣議決定する場合に、遅滞なく国会に報告する、とのことだが、この「遅滞なく」とは法律用語からも「直ちに」よりも弱いニュアンスの場合に用いることとなっていて、正当で合理的な理由があるときには「遅滞」もあり得ると解釈できるのではないか。これでは首相が自衛隊に出動を指示する前に国会に報告されるのかどうか。

久間防衛庁長官:一般に、事情のゆるす限り早く(報告する)という意味で、いつまでにとは言わないが文字通り「遅滞なく」行う。「直ちに」のケースもあろうが場合によるだろう。

木島議員(共産):そもそも、これほどまでに重要な事項を国会へ「報告」で済ますとはなんたることか。「承認」を必要としていない理由はなにか。

久間防衛庁長官:防衛出動ではなく、国民の権益に直接関わることではないので、「承認」事項になじまない。武力の行使を伴うものでもなく、戦争等に巻き込まれるおそれもないと捉えている。

木島議員(共産):86年のニカラグア判決では、「後方支援」や「武器の援普vは「武力の行使」だと認めている。あきらかな「武力行使」ではないか。大変な問題だ。国民を代表する国権の最高機関である国会の承認も得ず、内閣の一存だけで(自衛隊を出動させること)は断じてゆるされない。首相、そうではないのか。

橋本首相:許されると思っているからやっている。

木島議員(共産):こんな危険なことはない。憲法の平和原則をも無視したゆるしがたい法案だ。行革基本法案で内閣機能強化をしようとする狙いは、21世紀にむけてこうした危険な方向で「この国のかたち」をつくろうとするものだ。ゆるせない。

□4/28行革特別委員会審議(午後)
「郵政事業はなぜ国営でなければいけないのか」松沢議員(民主)

「3000以上の団体から民営化反対の声」小里総務庁長官

古川元久(民主):省庁設置法づくりは推進本部できちんとやるべき。各省庁を入れてやったらうまくいかない。そのために必要なら、推進本部に100人と言わず、必要な予算を付けてやるべきだ。

小里総務庁長官:ここぞというときは政治がきちんと対処しなければいけない。推進本部にいろいろな情報や知識を集めて、1府12省庁のスリム化したものを作り上げる。

古川:推進本部の事務局長は内閣審議官をあてるとなっているが、民間から起用するのか。

内閣審議官:まだ未定。具体的には任命権者が判断する。

古川:省庁再編準備室の事務局で作業してきた人は、この間の経過や流れを知っている。推進本部ができたらそのまま使っていくべきではないか。準備室が解散したら各省を振り向かず、内閣官房に入るような仕組みも考える必要がある。

総務庁長官:大変有力な意見。参考にしたい。

松沢成文(民主):なぜ総務省に郵政事業庁を入れるのか。行政監察をする役所に現業官庁を置くのはいかがなものか。経済産業省に置く議論はあったのではないか。

内閣審議官:郵政事業庁を民間産業と同列に扱うものではないということになった。

松沢:郵貯、簡保は公的金融機関だ。金融監督庁に置く議論はなかったのか。監督者が金融監督庁と、総務省の2つに分かれる。これでは同じ土俵で競争はできない。おまけに、郵政は規制をしながら事業もする。これでは行司が力士もかねているようなもので、公正な競争にはならないのではないか。

自見郵政大臣:ユニバーサルサービスの問題があるので国営でいく。民間事業者と同列に扱うべきではない。

松沢:小泉厚生大臣と、郵政大臣の意見が違うようだが、新型公社は民営化するのかしないのか。

郵政大臣:民営化しないと法律に明記している。私の言っていることが正しい。

松沢:なぜ国営でなければいけないのか。

総務庁長官:3000を超える団体から、民営化ではいかん。120年間、全国津々浦々で果たしてきた役割を大事にせよという声があった。政治家からも、民営化という声はほとんどなかった。

郵政大臣:年金は3分の1近くが郵便局の窓口を利用している。全国に欠かせない組織である。簡素効率化をするのは国民のためである。6〜7割が国営化を望んでいた。


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