行革特別委員会、24日から28日で省庁別の集中審議

【 国公労連「行革闘争ニュース」98年4月22日付より】

 断続的に開かれていた行革特別委員会理事懇談会で、22日午後次の省庁割り振りでの集中審議をおこなうことが確認されました。

4月23日(木)
○厚生省、労働省(9:00〜12:00、3時間)
○大蔵省、通産省(13:00〜17:00、4時間)
4月24日(金)
○法務省、外務省、環境庁、文部省、科学技術庁、農林水産省(9:00〜の予定、3時間)
○建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁(13:00〜の予定、3時間)
(4月27日は、新民主党の結成大会で休会)
4月28日(火)
○沖縄開発庁、総理府、内閣官房、防衛庁、経済企画庁(日程未定、4時間)
○自治省、国家公安委員会、郵政省、総務庁(日程未定、3時間)
【確認事項】
・総理出席は28日のみ(ただし13時まで)
・総務庁長官は常時出席
・出席大臣は、枠毎に決められた大臣が出席する
 なお、30日以降の日程については、なお調整中と言われています。30日に本会議が開催されなければ、特別委員会の開催もない予定です。
 集中審議後に、参考人質疑を2日間おこなうこと、その後一般質疑をおこなうことが、ほぼ合意されてきており、連休明けにも衆議院での採決がおこなわれる可能性が高まっています。

○250人の参加で緊急の昼休み請願デモ

 23日、昼休みに、国公労連と東京国公の共催による緊急の昼休み請願デモが行われ、250人が参加、衆参両院の共産党国会議員団に請願署名を提出するとともに、国会周辺で「行革基本法反対」のシュプレヒコールを響かせました。

○民主党、行革基本法案の対案をとりまとめ

「政府案に反対」を明確化
 新聞報道によれば、民主党は、行革基本法案の対案骨子をとりまとめて公表しました。その内容は、行革基本法案が不十分かつテンポが遅いとし、また組織いじりの前に中央政府の役割をスリム化する地方分権、規制緩和を先行させるべきとする民主党・菅代表の総括質疑の線にそったものとなっています。内容の点はともかく、政府案に反対する姿勢を野党第1党が明確にしたことは、今後の法案審議への影響は少なくありません。

【毎日新聞ニュース速報・4/22抜粋】

 民主党は21日、政府の中央省庁等改革基本法案の対案骨子をまとめた。「官僚主権国家」から「国民主権国家」への転換を目標とし、(1)中央政府の役割を限定して法案に列記する(2)税制を抜本改革し、国と地方の税財源割合を現行の「2対1」から「1対2」に変更する――などを柱にした。同党は政府案には反対する方針で、自民党からの「行革つぶし」の批判に対抗する狙いもある。
 骨子では、新たに国会議員と有識者による「行政改革調査会」(仮称)を国会に設置し、行革関係法案や新省庁の設置法案を2年以内に政府に報告、速やかに国会に提出することとし、「民間主導」の行革に改めて練り直すべきだと主張している。このほか、内閣機能強化のため、▽各省に複数の副大臣を設置する▽事務次官会議を副大臣会議に変更する▽内閣官房の組織・定員などは首相の裁量とする――を掲げた。

○135人の参加で議面行動--試験研究機関関係組織は全衆議院議員へ要請行動

 国公労連は、22日も衆院議面行動を展開しました。この日の行動は、労働法制改悪阻止中央連絡会と共催したもので、この日は、試験研究機関関係組織の全衆議院議員への要請行動も行われたため、学研労協の仲間も含め、国公全体で135人が参加しました。

衆議院・行革特別委員会 4月22日(水)午前

「この時期に省庁再編行うことに支障はないのか」古賀議員(民主)
【古賀一成(民主)】日本経済を立て直さなければならない時期だが、この時期に省庁再編行うことに支障はないのか。
【橋本総理】景気後退時期にはあるが、これをうみだしたもの縦割り行政など行政批判ある。今のままで行政の仕組みでいいと思っていない。
【古賀】地方分権の推進計画はいつ出されるのか。中央省庁再編とのリンクは。
【上杉自治大臣】今国会中に地方分権推進計画を報告する。それに基づき、各省はすみやかに所管部分の改正をする。
【古賀】自治省なくなるが、なぜだと思うか。
【自治大臣】総務省で十分に地方自治の精神をいかせる。
【総務庁長官】地方自治の本質的役割は前進こそすれ後退しない。総務省の中でも、地方自治政策立案部門のこり、郵政事業は二年後公社化されることになっている。

【枝野幸男(民主)】金融監督庁のトップ人事は、大蔵官僚が座ることがあるのか。
【村岡官房長官】なりうると思うし、適材適所で決まる。
【総理】どういう人であれ、一番いい人が初代長官になる。
【枝野】予算編成段階で各省とのやりとりを公開するつもりはあるか。
【松永大蔵大臣】毎年9月以降に各省と来年度予算を議論するが、これは政府内部の論議なので全面公開はいかがか。あらぬ誤解を招く。
【枝野】国民の前にオープンにして何が問題か。議員が役所に行って議論したことも含め、予算編成過程は全部公開したらいい。
 第4条に「一の省ができる限り総合性及び包括制をもった行政機能を担うこと」とあるがどういうことか。
【総務庁長官】縦割り行政の弊害をかかえているなかで、本来国が担う任務を総合的に担うことが必要。
【枝野】総務省の中になぜ放送行政と地方行政はいっしょなのか説明を。省庁の数字が先にあってそうしたのか。
【総務庁長官】各省の任務を精査して、大括りにした。
【枝野】46条に公共事業は「全国的な見地から必要とされる」ものに「限定」とあり、3項に国の事業を地方支分部局に一体的に処理させるとあるが、何をやるのか。
【総務庁長官】公共事業を合理化し、効率性を高めるため、 地方支分部局に権限を与えていく。各ブロック・県の事業を新しい支局で情報を集め整理する。
【枝野】地方支分部局の長への監督責任は国土交通省の大臣が負う訳だから、実質的な権限はない。この条文は意味がない。6条の内閣総理大臣の発議権も現在でもできること、これもあえて条文に書く必要はない。

【平野博文(民主)】日銀の体質改善を求める。大阪日銀支店長社宅は敷地が広すぎ贅沢だ。行革委員は幅広い層からの代表といえるのか。
【総理】委員に官僚は入っていないので、官僚の意見は入っていない。
【平野】高齢化社会を想定してお年寄りの意見を反映できる者を。

衆議院・行革特別委員会 4月22日(水)午後

「国がリストラの先頭を」「省庁は小分けにすべき」=岩國議員(民主)
「労働福祉省で労働行政の本質が変質し、福祉行政が後退」=児玉議員(共産)


【岩國哲人(民連)】小さな市でも3割定員削減して7割の職員で10割分の仕事をやっている。国の1割削減は甘くないか。国がリストラの先頭を切るべきだ。
【小里総務庁長官】純減の意気込みでやっていく。ただ、行政としてどうしても増やさなければならないものが出てくる可能性はある。
【橋本総理大臣】これからは公務員制度も変わる。従来、一人が次官になると同期生はやめた。それが、今後はピラミッド型から、台形ないし円筒形になっていくかもしれないし、国の組織から独立行政法人にどれだけ行くのか、民間への如何などにより国家行政組織法の総定員も根元から大きく変わる。
【岩國】私は省庁の行政目的ごとに小さな袋に小分けした方が、目が届きやすいと考えている。大きな権限は大きく腐敗するというのは大蔵省を見れば明らかだ。2001年までに定員が半分になって大括り再編すればいいが、定員が2倍近い官庁がぞろぞろできては目が行き届かないのではないか。職員を減らすためのどういうシミュレーションがあるのか。
【小里】この法律が通れば、もう1回各省庁設置法で決めてもらうことになる。

【西川知雄(平和)】20条8号に金融破産処理制度が盛り込まれているが、財政と金融の分離は、どういう理屈でこのような方法にしたのか。
【小里】与党3党合意を汲んだ結果だ。財政出動がないとは言えないので当面財務省に残すのが妥当と考えた。
【西川】経済財政審議会は、これまでの審議会とどう違うのか。
【小里】内閣総理大臣の機能強化として、支援を直接の任務とする内閣府の中に置かれる。

【若松謙維(平和)】日本の各省設置法は通達も含めれば、100%カバーする形で作られている。イギリス、アメリカなどは、行政権限でカバーしていない部分が多い。これからの設置法はこうすべきではないか。
【橋本総理大臣】私も白地の部分ができるのはいいと思うが、日本とイギリスは成文法と慣習法の違いもある。経済分野で言えば、規制は撤廃に近く持っていきたいが、そのためには、ルールを明確にし、届け出制にするなど、事前監視から事後チェックへと言っているところだ。
【若松】公正取引委員会を総務省に置くことになっているが、他省庁にまたがることをチェックすることになる。その機能を公取に持たせ、総務省より格上の内閣府に置くべきではないのか。
【橋本総理大臣】行革会議の中では出た議論だが、公取の機能強化は異論がない。組織の性格から内閣府に置くと強さが逆に出てしまわないかと考える。

【佐々木議員(自由党)】法案は、法律としてはいかがなものか、法律というよりは大綱(ガイドライン)のようなもの。国民が望んでいるのは、徹底した規制緩和、地方分権であり、その上で最後に中央省庁の見直し。攻め方としてしても、まず外堀(地方分権・規制緩和)を埋めて、それから中央省庁の再編にかかるべき。
【小里総務庁長官】そういう考え方、手続きで進めているつもり、考え方に変わりはないと考える。現に、規制緩和、地方分権もそのとおりやってきている。
【橋本首相】この法律によって新しい手法として、1)郵政事業を公社化、2)資金運用の預託廃止(財政投融資の見直し)、3)独立行政法人、新たな展開を見せるものがこの中にはいっている。
【佐々木議員】独立行政法人については、激しい抵抗にあったことから中途半端な内容となっている。職員の身分関係については、国家公務員とそうでない職員が一緒に働くことになる。
【小里総務庁長官】独立行政法人は、国の行っている行政の一部を国の外に出し法人を作る。独立行政法人の対象も様々あり、国家公務員ありたいとする団体の意見、民間の形でもいいのではないかという意見もあり、両者の意見を踏まえ準備をしている。
【橋本首相】イギリスのエージェンシーの職員は、民間労働者と労働法上差異がなく日本と大きく違っている。労働三権を持たない日本の国家公務員に、労働三権を付与し国家公務員の身分からはずした方が効率的な業務、国家公務員のままでやるべき業務がある。具体的なあてはめは法律の成立後に検討する。

【児玉議員(共産党)】労働福祉省の編成方針、「社会保障制度の構造改革を推進すること」と財政構造改革法でいうところの「社会保障費用の抑制」は緊密に結びついている。社会保障の先行き不安が、経済動向にも悪影響を与えている。少子高齢化がいわれているが、高齢化は喜ばしいことであり、少子化は克服しなければならない課題となっている。行革は、憲法25条の精神に反しているのではないか。社会保障の充実については、財源についても提起をさせていただいている。
【橋本首相】年少世代に対する教育という負担、高齢者(医療・年金)に対する勤労者の負担は、給付と負担のバランスをとることは重要であり、現在、その困難な方程式の答えを出そうとしている。意見を否定するつもりはないが、お金をどうするかということ、税金、掛金、給付、この組み合わせしかない。適正な負担、給付について検討を進めている。
【児玉議員】非自発的辞職(リストラによる)が69万人も出ている深刻な雇用状況のもとで、労働行政の一体的、一元的な遂行が求められている。おおくくりの省庁再編によって、労働行政が巨大な労働福祉省のなかに埋没しないよう努力を求めたい。
【伊吹労働大臣】額に汗して働く人の期待にこたえるえるようにしたい。
【児玉議員】法案の25条の4に「その調整に関わる機能を縮小する」とあるが、非自発的な退職がこれだけある状況で労働福祉省への統合は到底納得できない。昭和26年に厚生省から労働省が分離した経緯もある。統合によって10万1千人を超える労働福祉省ができることによって、労働行政の本質が変質し、福祉行政の後退につながるのではないか。
【伊吹労働大臣】国が効率的に行を遂行し、税金を効果的につかうなかで、陰の部分を最小限にするようやっていく。
【児玉議員】別表2,3について、何故そうなったのかわからない。それを示す議事録と資料を要求する。=理事会で検討すると委員長から回答=
 運輸省の航海訓練所、国立病院・療養所などは重要な役割を担っており、理由もなく行革会議最終報告の別表に示されることは問題ではないか。
【橋本首相】今後、法案成立後に、国の行政のあり方を検討し、結論を出したい。
【児玉議員】法案が成立してからの議論は問題ではないか。審議過程にこそ議論が必要だ。徹底的な議論を要請する。

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