★98年春闘期の政府・人事院回答をうけて―「橋本改革」の強行をくい止め仲間の切実な要求を実現するために明日からのたたかいに全力をあげよう(国公労連中央闘争委員会声明)
   1998年3月24日 日本国家公務員労働組合連合会・第4回中央闘争委員会

@ 本日、政府および人事院は、98年度国公労連統一要求書に対する春闘期の回答をおこなった。 「31000円(8.5%)」の賃金水準引き上げ要求に対する政府の回答は、「人事院勧告制度の維持尊重が政府の基本姿勢」とし、98年度賃金改定では「国政全般との関係を考慮」するこれまでの回答に固執したものとなっている。財政構造改革の強行のために、97年勧告の取り扱いでは指定職の改定が見送られ勧告が不完全実施となったが、このように労使の問題に政治が介入する事態こそが「国政全般との関係を考慮」した結果によるものであることへの真摯な検討がおこなわれたものとはうけとめられない回答内容である。 また、人事院は「官民較差にもとづく適正な水準確保」とする回答を繰り返したばかりでなく、官民比較方法について、「公務をとりまく情勢の厳しさ」を口実に、見直しそのものに消極的な姿勢を示し、言及さえしない不当な回答となっている。A 98年春闘では、消費税引き上げや連続の医療改悪などで生計費が増大し、労働者の生活は極めて厳しく、また、行政改革による公務のリストラ「合理化」で、過密な労働にあえぐ労働者が増大している状況下にあった。政府・人事院の回答は、このような公務員労働者の生活と労働の実態に目をむけておらず、経済状況や官僚批判など公務をとりまく状況の厳しさのみを強調し、財界の賃金抑制攻撃にも迎合した不当なものといわざるをえない。とりわけ政府については、深刻な不況克服のためにも個人消費拡大策の検討が求められている時期に、破綻している財政構造改革法も前提において、公務員賃金抑制の立場にたって従来回答を繰り返したものであり、その姿勢は厳しく糾さなければならない。B 3月18日におこなわれた金属労協(IMF・JC)傘下の労働組合に対する回答は、平均2.7%程度と春闘史上最低のものであった。平均定期昇給率2%を差し引けば、実質賃金の改善は全く望めないものであり、個別企業の枠内で経営側の賃下げ攻撃に反撃しないままに実質賃金引き下げの回答を受け入れた連合ビッグユニオンの反労働者性は、厳しく批判されるべきである。 このような中で、98国民春闘共闘委員会、全労連に結集する労働組合に対する回答も極めて厳しく、3月20日時点(回答引き出し率22.6%)で「2.72%・9854円(加重平均)」の回答状況にとどまっており、3月19日のストライキを軸とした統一行動に引き続くたたかいを展開している。同時に、これらの労働組合は、不況克服や銀行の貸し渋りをただす国民要求でも先頭に立って奮闘しており、2月26日には100万人規模での行動が全国一斉に取り組まれ、3月8日の「中央大集会」には12万人が全国から結集し、政府・財界の労働者・国民いじめを許さないとする国民世論を一定程度形成してきている。C このような「総対話と共同」を追求して全国各地で展開された運動に寄せられる国民的な支持の広がりが、橋本内閣そのものの存立基盤を揺るがすまでに高まってきたことが、98年春闘の重要な特徴点である。そのことが、財政構造改革の軌道修正を現実の課題とし、中央省庁等改革基本法案や労働基準法改悪法案の審議入りを遅らせている要因となっている。 政府・人事院の不当な春闘期回答をはね返し、生活改善につながる賃金改善勧告とその完全実施を勝ち取るためにも、また、「能力・実績反映の賃金制度」への一方的な改変を許さず、行革攻撃と一体の公務員制度改悪を阻止するためにも、さらには深刻な要求である超勤規制など実効性ある労働時間短縮策を実現する上からも、政府が次々に具体化しようとしている橋本「改革」との真正面からのたたかいが大きなカギを握っていることは、今春闘のたたかいでも明らかになっている。D 本中央闘争委員会は、職場・地域から全力を挙げて98年春闘勝利のために奮闘された全国の仲間に心からの敬意を表する。 公務員労働者を取り巻く現状は、中央省庁等改革基本法案の成立阻止などでの国会闘争や、21世紀を前にした最大の選挙戦である参議院選挙の勝利をめざす国民的な課題と、賃金など労働条件改善や行政民主化の課題を固く結合して運動をすすめることが求められている。そのことから、本中央闘争委員会は、たたかいの手を緩めることなく展開する春闘後段以降の運動に、引き続き全国の仲間が結集することを呼びかける。 今春闘での取り組みの経験を一回りも二回りも大きく発展させ、地域・職場から「情勢を変える」たたかいにふみだそう。橋本「改革」の強行をくい止め、仲間の切実な要求を実現する確かな足がかりを築くために、明日からのたたかいに全力をあげよう。   

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