運輸共闘(全運輸、全気象、全港建)が「国土開発省」構想に対して行革会議に申し入れ


 11月13日11時30分から、運輸共闘で行革会議事務局に申し入れをおこないました。
 運輸共闘からは、田中議長(全運輸)をはじめ全体7名、全気象から一色副議長、今滝事務局次長、宮崎が参加し、行革会議側は根本調査員が対応しました。
 全気象からは、「気象庁が依然エージェンシー化の対象となっている。私たちの職場は離島や僻地にも数多くあり、経済的、家庭的にも犠牲をともなっている。こうした中で私たちは、国公労働者としての使命感とあわせ、一定の経済的・身分的保障の裏打ちのもとで気象業務に従事している。こうした職場で働いている人の日頃の困難を、どう評価しているのかと怒りが噴出している。許せない」。また、業務の分割にあがっている気象研究所、気象大学校については、「研究部門と実施部門が一体となっている。また大学校は幹部職員の養成だけでなく、職員の研修にも使われている。直ちにエージェンシー化は撤回せよ」とエージェンシー化・組織の分割断固反対の構えで申し入れました。
 これに対し行革会議からは「言われたことは、行革会議の委員に伝えるし、申し入れ書については配布する」とのべ、現在の進行状況については、「エージェンシーについては17日からの行革会議集中討議で@気象庁のように現在外局であるところ、Aこれまで対象にあがったところについては結論を出す。これ以外にB12日に検討組織として出てきたところについてはその取扱いを決める」と回答しました。一問一答は別紙のとおり。
 このように、最終報告が迫り予断を許さない状況です。引き続きニセ行革、省庁再編、気象庁のエージェンシー化反対のとりくみをすすめましょう。


1997年11月13日
行政改革会議会長 橋本 龍大郎 殿

運輸省労働組合共闘会議議長 田中 茂冨
全気象労働組合中央執行委員長 一色 政広
全運輸省港湾建設労働組合中央執行委員長 後藤 英輝
全運輸省労働組合中央執行委員長 田中 茂冨

   

「国土開発省」構想に対する私たちの意見


 運輸省に働く職員で構成する運輸省労働組合共闘会議は、本年8月12日、貴会議に対して、行政改革・省庁再編に関して意見を申し述べたところですが、9月3日の貴会議の「中問報告」では、運輸省を建設省、国土庁、北海道・沖縄開発庁と統合再編し「国土開発省」とすることとされています。
 この構想について、改めて、次のとおり意見を申し述べます。

1.「国土開発省」構想について

1.「国土開発省」構想は、公共事業一元化の一環として考えられたものであり、賛成できません。
 
【理由】 
 
(1)公共事業は、一定の行政政策・目的を達成するための手段であり、それと一体不可分、密接に関わるものです。「中間報告」では公共事業官庁を「開発」と「保全」の二つに再編するとしていますが、これでは公共事業を自己目的化する公共事業官庁の再編・一元化であり、「利権官庁を二つ作るだけの数あわせ」「単純に一つでは大きすぎるという理念なき再編」との誹りをまぬがれません。
 行政政策・目的と遊離した公共事業官庁の再編・一元化は、「公共事業のための公共事業」となりかねず、また、事業費の一極集中による利権の拡大は、政・財・官の癒着や汚職の温床となることが懸念され、国民の賛同もえられないと考えます。
 
(2)今、求められているのは、公共事業を単に「開発」と「保全」に再編するのではなく、国土政策や運輸政策、農業政策など、それぞれの行政の政策・目的にそって、公共事業を効率的・効果的に実施するための行政システムをどう構築するかという問題です。
 したがって、公共事業の一元化の一環としての国土開発省構想には賛成できません。
 
2.運輸行政については、空港・港湾・道路・鉄道など交通インフラの整備を含め、いくつかの省庁に分散されている交通運輸に関する権限を統合し、総合的・一元的な交通運輸政策の推進を基軸とする、『交通省』的な組織と体制の確立が必要と考えます。
 
【理由】
 
(1)運輸行政の各分野における「行政の一元化」問題は、いま国民的な批判が集中している各省庁の権益維持や縄張り意識を排除し、「縦割り行政の弊害」を是正する方向で検討されなければなりません。
 現行の運輸行政に則していえば、いくつかの省庁に分散されている交通運輸に関する行政権限を一元化して、総合的に調整しうる機能・権限を有する交通運輸行政体制の確立が必要であると考えます。
 
(2)その場合に重要なことは、公共財である交通施設に対する投資政策を総合的・計画的に推進するために、陸・海・空の交通基盤整備(空港・港湾・道路.鉄道など)と交通管理行政を一元化し、交通政策と国土政策、都市・住宅政策、産業政策との連携、調整をはかることです。そうすることによって、陸・海・空の均衡ある交通運輸の展開、地域実情に応じた公共交通の形成、資源・エネルギ−との調和をはかるなどの「総合交通政策」の展開が可能となります。
 
(3)国土開発省構想は、道路を含めた交通基盤整備の一元化という点では、一つの考え方として理解できますが、交通運輸というよりも公共事業としての国土開発に基軸がおかれ、総合的な交通政策の展開という点では、適切とは考えられません。
 したがって、交通運輸行政の一元化や総合調整機能充実の立場から、「総合交通政策」推進を基軸にした『交通省』的な組織と体制の確立こそが必要と考えます。
 

2.地方分権、アウトソーシングについて

 貴会議の「中間報告」では、国土開発省の関係行政については、地方分権・アウトソーシングを徹底することとされています。
 運輸共闘は、さきに、「自動車、船舶、航空機、鉄道などの検査登録」「港湾、空港の建設と管理」「航空管制などの航空保安」「気象」などの業務は、国民の交通権(自由に移動する権利)の保障、安全確保と公害防止・防災など、きわめて公共性の高い分野であり、採算性、効率性が優先される独立行政法人化や民営化では、その行政目的が達成されないことから、反対の意見を申し述べたととろです。
 貴会議の論議では、こうした業務を一部分割してでも、独立行政法人や民営化の可能性はないのかと検討されていると聞いています。また、アウトソーシングの方針の一つとして、地方支分部局の整理が打ち出されています。これらの点について、以下、補足的に意見を申し述べます。
 
1・航空管制を軸とする航空保安業務を分割し、その一部を「独立行政法人化・民営化」することには反対です。
 
【理由】
 
 航空管制をはじめとする航空保安業務は、航空機の安全間隔を確保するための管制業務にとどまらず・航空機を安全に誘導するためのレーダーや無線標識などの管制施設の管理運用業務、気象や空港の運航状況等の的確な情報の収集・伝達のための運航情報業務などがあります。
 これらの業務は、個々バラバラのものではなく、それぞれの業務が航空保安業務全体のなかで相互補完的な構成部分となっており、一体的な運用が必要です。
 したがって、航空保安業務の一部を分離して、独立行政法人や民営に移行することは、一体的な航空保安業務の遂行に重大な支障をきたすこととなり、人命の安全に直接かかわる問題を惹起することとなります。
 
2.国民の防災や安全確保のために、観測、予報、研究、教育など、気象事業を分割し、その一部を「独立行政法人化・民営化」することには反対です。
 
【理由】
 
(1)現在気象庁は、地象、気象、水象を対象に観測、予報、会計、研究などの分野に分かれていますが、災害の予防や安全確保のためにはそれぞれが密接にかかわっており、気象庁の業務の分割は非効率化につながります。
 
(2)天気予報や注意報・警報などの予報業務は、地上気象観測、海上気象観測、高層気象観測の結果をもとに、ス一パーコンピューターで計算した予測資料にもとづいて出されています。各種観測資料は、気象庁の伝送システム、(L−ADESS)を通じて集配信されています。このように予報を発表するためには、各種観測業務と一体となることが必要です。
 
(3)全国の地方気象台や測候所では、24時間体制で観測・監視しています。普段は天気予報や注意報・警報の発表をしていますが、ひとたび災害につながるような地震が発生すれば、すくさま緊急情報の伝達・解説などに対応する体制となります。また、各地の震度情報も気象庁の伝送システム(L−ADESS)を通じて収集しています。このように地震業務も、地震職場と通信情報職場、地方機関が一体となって業務をおこなっており、一部を切り放して、新たに現業体制を確立することは非常に困難です。
 
(4)国民の移動手段となっている航空機に対する気象情報も、伝送システムに組み込まれて、各種観測データのやりとりをおこなっています。また、地上気象観測と航空気象観測や天気予報と航空気象予報などは技術面での共通点があると同時に、人事交流もおこなわれており、研修も一体的に運営されています。
 
(5)気象研究所で開発された技術や、研究成果は今日の天気予報に利用されているだけでなく、地震予知などの未解明な部分での研究をすすめています。研究成果やプログラム開発などが、予報精度を上げる事につながっており、地方での観測データの蓄積や調査・研究が全体の技術向上に役立っています。したがって、研究機関と行政実施部門との一体化は不可欠です。
 
(6)気象大学校は、教育内容そのものが気象庁の現場の業務と深く関係しており、教職員も気象庁各機関との人事交流が行われるなど、現場との密接な連携のもとに学生への教育が行われています。
 また、気象庁の幹部養成機関としてだけでなく、新規採用者の研修や予報・地震・レーダー観測などの技術研修、現場に就労したままでの通信教育など、職員の研修機関としての機能も果たしており、気象庁職員の技術の維持・向上、継承という点でも重要な役割を果たしています。
 以上のことから、気象大学校は、気象庁の業務と一体的に運営されることが必要です。
 
3.運輸省、気象庁の地方支分部局の整理・縮小には反対です。
 

【理由】
 
  交通運輸は、人や物の自由な移動を保障する、本質的に広域的なものであり、現にますます広域化しています。したがって、陸・海・空の輸送がその特性を活かして密接に連携・補完して、全国的・国際的に効率的な交通体系を構築することが、交通運輸行政に課せられた使命です。
 こうした特徴をもつ交通運輸行政は「地方分権」になじまないばかりか、むしろ「地方分権」によって効率的な行政を阻害するものになりかねません。また、地方出先機関は、国民・利用者の身近な窓口であり、その整理統合は行政サ一ビスの低下に直結します。
 同様に気象事業も、「大気に国境がない」ように広域的な事業であり、全国に展開する観測点における24時間の実況監視があってはじめて、注意報や警報などの防災情報を正確・迅速に住民に伝えることが可能です。
 こうした理由から、連輸省、気象庁の地方支分部局の整理・縮小には反対です。

以 上   



    

 行革会議への申入れ交渉概要


                             

運輸省労働組合共闘会議


1.日 時 1997年11月13日 (木)  11:25 〜 12:05
2.場 所 総理府1F会見室
3.参加者 運輸共闘  田中議長、一色副議長、後藤副議長、福田事務局長、今滝事務局次長、
             大河内事務局次長、全気象宮崎副委員長
       行革会議 根本調査員(事務局)

4.申入れ交渉概要
 運輸共闘は、11月13日、行政改革会議に対し、8月の申入れに続き2度目の申し入れ交渉を行いました。概要は次のとおりです。
田 中:前回8月12日に論点整理をふまえて、運輸共闘として意見を出させていただいた。 エージェンシー、民営化の論議も煮詰まってきて、昨日、事務局案がまとまったとの報道があったが、再度、私どもの意見を申し上げる。
 省庁の枠組みとして、国土開発省構想には反対である。運輸行政は公共事業だけを担当しているわけではなく、交通インフラ整備と全体の交通政策をセットにして国民サービスをしている。公共事業官庁として単純に一括りにするのは問題がある。
政府部内で調整をはかって国土整備省でくくる案も出てきており、1府12省にこだわらないのであれば、交通省だって、交通通信省だって一つの考え方ではないか。
 アウトソーシングの問題は、国民に地道にサービスをしてきている部門を、なぜ切り離さなければならないのかということだ。気象、車検、航空管制、統計、学校、港湾、空港と、なぜこんなに切り刻んでいかなければならないのか理解しかねる。政策部門と実施部門は一体にしなければならない。運輸行政を民間に売り飛ばすなんておかしい。たとえば、航空管制の場合、レーダーで「何機を管制した」などとと採算主義で遂行したら安全が守れない。車検だってそうだ。国の責任ある行革会議がこんなことを考えるべきではない。運輸行政は切り離せない。地方自治体でおこなうという考えもあるが、地方自治体でバラバラにやるのは非効率であり、国がやる方が効率的である。アウトソーシング、地方分権、規制緩和には反対である。
 
一 色:気象庁がエージェンシーの対象にされている状況が続いているのは許せない。職場で不安、不満、怒りの声が強い。南鳥島のような無人島、また南大東島などは沖縄から 300キロも離れた絶海の孤島だ。こうした離島・僻地にも単身も含めて赴任している。交替制勤務そのものにいろいろな困難がある。そうして気象業務を維持・発展させてきている。その後ろ盾が国家公務員としての誇り、経済的な保障、身分保障があるからである。エージェンシー問題はそこに真っ向から水をかけるようなものであり、非常に強い怒りがある。こうした職員の気持ちを理解して欲しい。
気象庁の業務はハイテクがメインになっているが、地震も津波も最終的に判断しているのは人間であり、しかも、私たちの業務に時間の空白は絶対に許されない。ナウキャストの対応が必要である。阪神大震災の時の機能がその例だ。仕事に対する行革会議の評価、職員の配慮が間違っている。エージェンシー化は間違いであり、防災に国は責任を持つべきだ。
 気象庁の施設等機関の研究所、大学校が、エージェンシー化の俎上に上がっている。私どもの仕事は少し特別な研究が必要であり、行政とダンゴになってすすめている。気象研では情報の出し方や、未解明な部分の解明など、行政と一体化ですすめている。大学校は、現場の気象技術の維持向上に役立っている。
 また、分割化については、24時間ワッチで、自然現象を監視し、非常時に対応できるものであり、これが分割されるということは非効率の典型だ。
 
後 藤:行革会議の議論には、憲法の立場から国のやるべき行政の責任と国民のみなさんの生活向上の観点が欠落している。進めようとしている省庁再編は、行政目的なしの短絡的数あわせそのものであり、国民から支持されるものではない。日本は島国であり、港湾や空港の役割は重要。港湾や空港の建設は、国民のみなさんの生活に寄与できるように国が責任をもってやるべき。公共事業の実施部門の独立行政法人化、民営化とはならない。阪神・淡路大震災では手抜き・不良工事が明らかになった。北海道の豊浜トンネルの崩落事故など、さまざまな重大事故が起きている事例からも、発注者が責任をもって、監督・検査や管理をすべきであることを示している。公共事業の実施部門は、国が責任をもってやるべきだ。地方支分部局の役割は大きい。
根 本:今の指摘は、次回17日からの審議にあたって、委員の方に伝え、資料も提出させていただく。
昨日、行革会議からの要請で、独立行政法人、外局の検討対象について、事務局から基準に合致するものを提出させてもらった。それらのすべてについて、結論をうることは困難だろう。
17〜20日集中審議をするが、20日で実質議論は終わる。最終報告書は、12月3日を待つことになる。
 
福 田:行革会議として昨日出したものは、最終と考えているのか。
 
根 本:独立行政法人の検討については、・これまで議論してきたものをどうするか、・現在の外局をどうするか、・これまでの議論にのっていないもの、の3つのカテゴリーがある。
 
田 中:これまで検討してきたものは完全にやるということか。
 
根 本:新しい1府12省庁にどういう機能をもたせるのか、関連する省庁の議論の俎上にのっているものもある。気象庁のように外局としておかれているものは、現にあるのだから決めきらないと新しい省ができない。昨日の資料では、130 以上の検討対象リストを出しており、 130機関全部を検討できない。行革会議としては、これまで議論してきたものと現にある外局について整理することになると思う。残された機関については、その取り扱いを包括的に決めることになるのでは。
 
福 田:各省の意見を聞くのか。各省に選択権は残るのか。
 
根 本:今後の議論であり、委員の判断だと思う。
 どういう機関を委ねた方が効率的で、サービスの向上になるのか検討が必要。エージェンシーの対象にのぼってしまったもの、現存するものは行革会議で決めなければならない。
 
一 色:気象庁は検討対象なのか。
 
根 本:議論の対象にのぼり、すでに外局でもあるので、集中審議でとりあつかわれ、整理をすることになる。
 
一 色:研究とか大学はどうするのか。
 
根 本:研究は、総理府の科学技術会議に委ねるべきとの意見が出ている。試験研究機関は数が多く、多種多様でどうするのか。国営か、民営化か、廃止するのか。個々の機関に集中審議できない。個々の研究機関をどうするかまではやれない。
 
福 田:開発省、保全省を整備省で一本化するという話もあるが、どうなのか。
 
根 本:中間報告のとおりであり、開発省が総合交通政策をやるという考え方は維持している。与党サイドで議論のあるところであり、次の集中審議での議論にかかっている。
 
田 中:業務運営は、各省庁がよく知っているので各行政から意見を聞く機会をもつべきだ。国のあり方の方向が決まる問題であり、イメージでくくるとか、単に民営化というのはやめていただきたい。
 いずれにしろ、我々を意見を委員に伝えてほしい。                               

   以 上    
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