内閣機能強化は代償機能、行政の中立性侵す
−−11月10日に、中央人事行政機関の機能分担問題で公務員制度調査会へ緊急申し入れ


 公務員制度調査会では行政改革会議の中間報告をうけて中央人事行政機関の機能分担問題など3課題の審議が最終段階を迎えていますが、内閣機能の強化をめざす中央人事行政機関の機能見直しなどが進められようとしています。
 そこで、国公労連は11月10日午後、公務員制度調査会に対してこの問題に限っての緊急申し入れを実施しました。
 目下の検討課題に即して、国公労連の立場を改めて表明し、人事行政の中立・公平性確保や労働基本権代償機能との関連から、内閣機能を一方的に強化する検討には反対せざるをえないという内容の申入書を提出しました。
 申し入れには国公労連側は小田川書記次長ほか1名が、公務員制度調査会側は事務局として総務庁人事局の吉牟田課長補佐ほか1名が対応しました。
 冒頭、国公労連の小田川書記次長は「明日の最終審議に至るまできわめて短時間で拙速な検討が進められ、内容も公表されていない。関係者の意見反映のあり方でも問題だ。結論は出すべきでないが、出すとしても可能な限り公正な検討を求めざるをえない」とのべ、別記申し入れ事項の趣旨を説明し、委員会への反映を求めました。
 事務局側は「国公法上研修は内閣総理大臣にはできないようになっているが、能率向上の観点からの必要はあるのではないか」「人事行政機関どおしの正式の意志疎通の仕組みは必要ではないか」などと発言しました。

【別記】公務員制度検討かかわる緊急申し入れ(要旨)

 @指定職の範囲・号俸決定の権限を「政府において定める」ことが提案されていることについて
 指定職を含めた各職務についての各省共通の格付け・分類基準が定められるべきであり、それが成績主義による公平な任用の前提となる。指定職に限るとはいえ、政府に適用範囲や基準号俸の決定権限を移すことは、政府の都合による指定職ポストの乱造や優遇などの恣意的任用の危険につながりかねない。そうなれば、指定職以下の職務評価や昇進基準、昇進管理にも影響を及ぼすことは必至である。また、政治の行政への介入をさらに強めることになり、公務員の中立・公正性を担う可能性が高く、反対である。
 A級別定数の決定権限を政府側に移すことについて
 級別定数は昇格や職務評価とからむ重大な労働条件であり、重要な交渉事項である。組織・定員管理と一体のものとして管理されるものではない。管理運営事項であるとする論議は不当であり、労働基本権との厳密な関係整理が必要である。政府において級別定数決定を行うことは断じて認められない。
 管理職以上に限定するとしても、一般職員から昇進する現実からいっても一貫性がなくなること、級別定数に関して人事院と政府の二重行政を認めることにもなり、行政効率の観点からも、当局の人事管理からみても不合理であり、人事行政全般からみても有害である。
 B研修の総合調整権を政府側に付与することについて
 現在人事院が研修の中心に位置しているのは、時々の政権や政治勢力に左右されずに国民に中立・公正な立場で安定的な公務サービスを提供する公務員を要請するためである。政府側が調整権をもつことになれば、時の権力の影響を受けやすく、政治的中立の観点がないがしろにされかねない。この問題は公務員研修の基本理念が問われる問題であり、所管の問題というよりは内容の是非が優先的に検討されるべきである。
 C 本省庁の課長等の任用に関する人事院承認、行(一)9級以上への昇格個別承認の規制緩和について
 このねらいは各省任命権者側の抜擢人事など幹部職員の弾力的な任用を可能とすることにあると思われる。国民的にも理解される幹部の昇進基準が定められていない現状ではそれが真の成績主義による任用原則を逸脱して恣意的・情実人事に陥るおそれがある。第三者中立機関が国民が納得する公平で客観的な昇格基準をもうけることを前提に論議すべきである。幹部職員に対する情実任用や政治の介入をチェックする最低限の仕組みとして、中立人事行政機関の一定の関与は存続すべきである。
 D 人事院と内閣総理大臣の協議の仕組みを作ることについて
 人事院の独立性を侵し、中立・専門的機関としての立場や、職員の利益保護の立場からの勧告に政治的圧力を加えることにもなりかねず、労働基本権の代償制からだけみても、重大な問題をはらんでいるといわざるをえない。  最後に、調査会への国公労連の意見反映の場をあらためて設けることを求めるとともに、最低でも委員会の運営は民主的に行い、委員の意見が分かれるものについては、多数決制にするなどにより一方的にまとめないことを強く求めるものである。

以上


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