国民いじめの「財政構造改革」は断じて認められない

1997年6月4日 国公労連・西田祥文書記長談話

 昨日(6月3日)、「財政構造改革会議」は、歳出削減目標を盛り込んだ最終報告を確認し、政府はこの内容にそって98年度予算案と「財政再建法」(案)策定の作業を進めることを同日閣議決定した。「一切の聖域なし」をかけ声のもとに医療や年金、教育など国民の暮らしに直接影響する歳出や、公務員賃金などの人件費削減には大ナタをふるおうとする一方で、公共投資や軍事費などには本格的には切り込まない姿勢を露骨に示す最終報告の内容は、長期にわたって国民いじめを続ける「計画」を明らかにしたものである。
 「財政構造改革会議」は、その存在根拠が法的に確認されたものではなく、主権者国民の意思を反映するものではない。「審議」に加わったメンバーは、かつて政権を担当し、または財政運営に携わった者が中核を占めているにもかかわらず、巨額な国債発行残高を累積した原因の解明と反省さえおこなわれていない。国民生活を無視する密室協議で、これまでの財政運営失敗の原因と責任を曖昧にして決定されたものを「政府方針」とすること自体、民主主義をふみにじるものである。
 国公労連は、国民生活重視の立場にたった「ムダ遣いの是正」が急務だと考える。しかし、最終報告では、1兆円をこえるといわれるSACO(沖縄米軍基地に関する日米特別行動委員会)関連事業などは事実上「聖域化」している。公共事業についても大型プロジェクト・産業基盤整備中心の「浪費」を続けることとし、「公共投資基本計画期間の3年程度の延長」を構造改革としているにすぎない。一方で、社会保障分野では、「総額抑制」の姿勢を明確に打ち出し、年金の再々改悪や医療費「抑制」強化を具体的に示し、国立病院の廃止・民営化をはじめとした「医療からの国の撤退」すら求めている。
 国民へのサービス提供を否定し、「ムダ遣い」を放置したまま、「国の役割」を限定して、大企業本位、アメリカいいなりで税金を使おうとすることは、「やらずぶったくり」の国民収奪である。国公労連は、このような最終報告を断じて認めることはできない。
 この最終報告に基づく「財政構造改革」が、「橋本行革」を先導するものであることは明白である。公務員労働者の労働条件にかかわっても、「人件費抑制」を前提にしつつ、人事院勧告の扱いを「先送りの課題」としている。平行して検討がすすめられている中央省庁再編を先取りする内容も含まれており、国公労働者の労働条件にも重大な影響を及ぼす攻撃が加速する状況となっており、これを押し戻す運動の早急な展開が求められている。
 国公労連は、現在取り組んでいる国公「大運動」をさらに強化し、国民との共闘を職場・地域から追求する。同時に、賃金抑制など不当な公務員攻撃を許さないたたかいの態勢を早期に確立し、国民いじめ、公務員いじめの「財政再建」を許さないため、総力を挙げる決意である。
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