99年人事院勧告の取り扱い決定にあ たって
(声明)

 本日、政府は、第2回給与関係閣僚会議とその後の閣議で、99年人事院勧告の完全実施を決定した。9月中に勧告の取り扱いを決定したこと自体は、近年の早期決着姿勢を引き継ぐものといえる。しかし、年収ベースで賃金水準がマイナスとなる一時金切り下げの決定は納得できるものではない。
 さる8月11日におこなわれた99年人事院勧告は、一時金の0.3月切り下げ、「平均0.28%、1,054円」の僅かな較差のもとでの高齢者(高位号俸者)賃金の抑制、本省庁課長級以上とはいえ勧告によるベア凍結と較差の一部(20円)不使用など極めて不満な内容であると同時に、勧告制度の根幹にもかかわる問題をふくんでいた。

 自らが主張する労働基本権の「代償機能」さえ踏み外しかねない勧告内容を無批判に受け入れた政府の「取り扱い決定」は、次のような点で重要な問題を持っている。
 一つは、年収ベースでの賃金水準のマイナスという労働者にとっては受け入れがたい事態を、当該労働組合とのまともな論議もなしに政治的に決着したことである。
 国公労連は、勧告当日、一時金の切り下げに反対し勧告の改善部分の早期実施を求める要求書を政府に提出した。悪化を続ける組合員と家族の生活からしても、勧告の社会的影響力からしても当然の要求であった。しかし、本日の決定は、我々のそのような要求を全く顧みていない。総務庁人事局長は閣議決定直前の交渉で、「代償措置にマイナスがありうるのかという議論は、人勧制度全般を維持するのかどうかという議論にも発展しかねない」とする趣旨を述べたが、本年勧告の取り扱いでは、労働条件決定システムにかかわるその点での論議こそ求められていた。しかし、勧告制度に固執する政府は、そのような検討すらおこなっていない。
 二つには、行革・定員削減とセットのベア勧告であるとする人事院の見解を受け入れたばかりではなく、「行政の合理化、能率化を積極的に推進」、「国家公務員数の一層の純減」を決定している。加えて、公庫・公団等の特殊法人や地方公共団体の賃金決定への介入姿勢を示しており、政府が賃金抑制を先導する姿勢をあらためて示していることである。

 小渕内閣と自自公3党は、10月中旬からと想定される臨時国会にむけて、衆議院比例定数の削減、財政危機を顧みない大型公共事業中心の第2次補正予算、民間企業でのリストラを「支援」する商法などの「改正」、独立行政法人個別法案を準備し、さらには有事法制の策動も強めている。国民主権をないがしろにした軍事大国化と、大企業の「儲けの自由」を最大の「国益」とする「この国のかたち」改革と一体で、理不尽な雇用・賃金破壊が強行されている。また、地方公共団体でも、東京都での賃金・一時金カットにも見られるように、財政難を口実とする職員への犠牲転嫁が相次いでいる。
 こうした状況のもと、国公労連は、組合員と家族の生活を擁護し改善をめざすために、公務労組連絡会や全労連への結集を強め、政府と大企業の労働者に対する責任を追及する取り組みを強める。当面、一時金の引き下げ反対、賃金改善部分の早期実施、定員削減・行政減量化反対などの諸要求を掲げて国会闘争を強化する。同時に、冬期一時金闘争から来春闘にむけた官民共同の取り組みや悪法阻止・憲法擁護の課題での国民的なたたかいに積極的に結集し、労働者・国民いじめの「流れ」をかえるために奮闘する決意である。

1999年9月21日
日本国家公務員労働組合連合会中央闘争委員会


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