年金改悪阻止、介護保障の充実など、社会保障の改悪をやめさせ、拡充をめざす決議
(国公労連第45回定期大会決議)
 21世紀を目前にした今、社会福祉・社会保障は重大な岐路に直面している。政府・財界が社会保障構造改革と称して、社会保障の各分野の制度改悪を次々に強行しているからである。そのねらいは、公的責任で行う社会保障の範囲をごくわずかに限定させ、国と大企業の負担を大幅に削減する一方、規制緩和をすすめ、民間資本を積極的に参入させることにある。すなわち、憲法25条がうたう生存権の保障、いわゆる権利としての社会保障を解体し、儲けのための制度につくりかえるものである。社会保障は、競争原理による弱肉強食の世界、民活や規制緩和の路線とは相いれない。社会保障の理念を否定し、歴史の歯車を逆転させる攻撃を、絶対に許してはならない。

 当面の課題は、次の点にある。年金改悪とのたたかいは、秋の臨時国会にむけて正念場を迎える。小渕内閣は、歴代政府が強行した3次にわたる改悪の上に、今回65歳未満の年金をゼロにしたり、給付を大幅削減するために、自・自・公3党の数の支配で悪法製造マシンと化した通常国会に改悪法案を提出し、継続審議にしているからである。この間のたたかいを継続させ、改悪阻止の共同をさらに広げる必要がある。
 医療保険では、老人医療制度を改悪し、高齢者の負担をいっそう強めようとしている。医療保険本人負担を2割から3割にする改悪もねらわれている。「金の切れ目が命の切れ目」にさせない、命と健康を守る国民的なたたかいをさらに強めなければならない。
 緊急課題である介護保険は、スタートまであと7カ月に迫り、要介護認定の申請は10月から始まろうとしている。多くの国民が「公的介護保険」に期待を寄せたのは、深刻な介護の実態を改善したいという切実な思いからである。準備状況が明らかになるにつれ、「保険あって介護なし」になりかねない実態が浮き彫りになっている。待ったなしの状況を改善・打開するたたかいを地域から緊急に強めることが求められている。

 このたたかいを前進させる条件は、大いにある。国民に負担増と犠牲を徹底して押しつける攻撃は、労働者、国民の怒りや矛盾を広げざるをえない。すでに、年金、医療、介護・福祉などの拡充を求める声が、全国津々浦々で広がっている。社会保障改悪をやめさせ、拡充するための財源は、大企業優遇の不公平な税制を改めることや、公共事業に50兆円、社会保障に20兆円という偏った国の財政を見直せば、確保できる。庶民の暮らしを直撃する消費税率アップや目的税化などはもってのほかである。要は、社会保障に対する国の姿勢を憲法にそって根本的に転換させることである。この道は、深刻な不況を打開し、日本経済を立て直すことにも通じている。
 国公労連は、国民の願う年金、医療、介護・福祉の拡充を求め、職場、地域からの共同を本格的につくるために、国民本位の行財政を確立する事業とも結びつけて全力をあげる。
 99年秋闘を、21世紀に人間らしく生きるために、憲法の花咲く社会を実現させる新たな出発点にしてたたかうことを決議する。

1999年8月27日
日本国家公務員労働組合連合会


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