育児休業の基準日条項廃止に関する
(声明)

 人事院は、8月11日の99人事院勧告において私たちが制度発足時から改善を求めてきた、期末・勤勉手当の「基準日」に育児休業中の人に支給しないことを定めた項目から育児休業者を削除し、勤務実績に応じて支給する措置を講じることを明らかにしました。
 育児休業制度は、1986年に雇用機会均等法が成立して以来、女性労働者が働き続ける権利として、官・民一体になって要求し、運動をしてきた中で1992年4月1日から実施されてきました。発足と同時に労働組合として職場に「育休プロジェクト」を組織して定着運動をとりくんできました。発足から6年間に全日休のべ24、560人(うち男性113人)部分休1、142人(うち男性30人)が制度を利用し、とりわけ女性が働き続けるためにこの制度が果たした役割は大きいものでした。1995年には、短期共済からの育児休業手当金の給付がはじまり、問題はあるものの所得保障の一定の改善はされました。
 発足当初から休業中の所得保障がないため、生活上の理由で取得をためらう人がかなりにのぼり、所得保障の要求は切実でした。私たちは、毎年の人事院交渉で改善を要求し、とりわけ「基準日」の廃止は緊急の課題になっていました。1994年4月、芦屋市長から不合理な制度運営に対する改善を求め日本弁護士連合会宛に要請書が提出されことを受け、6月に同会は「育児休業中の公務員に対する期末手当等の支払いに対する意見書」を出すなど、内外に関心が高まってきていました。
 国公労連は、毎回の人事院交渉で追及し、1994年女性協独自に「ひとことハガキ」行動をとりくみ、公務労組連絡会は1996年に改善署名、1998年には大型寄せ書きハガキをとりくみ、署名23万余筆を集約し、さらに中央・地方で人事院交渉を強化して早期改善を求めてきました。
 このような私たちの長年のねばり強いたたかいの結果、今回の人事院勧告でようやく成果を手にすることができ、所得保障の要求が一歩前進したことを全国の仲間とともに喜びたいと思います。これによりようやく不合理な制度により生じていた職場の混乱が解消されることになりました。
 今後も制度の改善とあわせ、ILO156号条約・165号勧告を活かし、育児や介護は社会的な責任とする考え方を定着させ、安心して子どもを生み、家族と社会が協力して育てながら働き続けていくことができる社会制度にするためにも、労働時間の短縮とともに育児・介護負担を社会的に軽減する制度や措置の一層の充実がのぞまれます。女性協は、その実現のために今後も力を尽くす決意です。
1999年8月11日
日本国家公務員労働組合連合会女性協議会

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