年金改悪を許さず、廃案めざし運動を強化しよう
(談話)

 政府は7月19日、年金「改正」法案を閣議決定した。
 法案の内容は、@厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢を2013年から2025年にかけて、現行60歳を65歳まで段階的に繰り延べる、A年金額の算定に用いる給付乗率を引き下げ、報酬比例部分の給付水準を現行よりも5%削減する、B5年に一度、現役世代の賃上げにあわせて年金額を改善する賃金スライド制を廃止して、物価上昇による改定だけにする、C働き続けると給付が減額される在職老齢年金の年齢を、現行64歳から69歳まで延長する、などの給付の大幅な削減を迫るもので、断じて容認できない。さらに、この改悪法案を、延長国会の会期末までわずか1カ月足らずの時期に国会提出することは、二重に許し難い暴挙であり、強く抗議する。

 政府が既に決めた、99年度からの保険料の引き上げ「凍結」は、深刻な不況のもとで当然の措置である。しかし「凍結」は、基礎年金の国庫負担の見直しと同時に解除するとし、その時期に、凍結期間中の保険料分を上乗せした引き上げがねらわれている。さらに、将来の保険料は、現行の5割アップにする大幅な引き上げ計画を変えていない。
 一方、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げる要求に対しては、法案の附則に明記したものの、財源問題は、「2004年までの間に安定した財源を確保する」と先送りしている。その上で年金の改善が必要なら、消費税の税率アップや目的税化が前提といわんばかりの議論も出されている。社会保障に20兆、公共事業に50兆円という偏った国の財政を見直し、巨額な年金積立金を活用すれば年金の改善は可能である。この方向こそ、国民年金の保険料が払えず低年金、無年金者が増え続けている深刻な事態や、1200に及ぶ地方議会の意見書や決議にある年金改善の声にこたえる道である。

 私たちは、これまで年金改悪をストップさせ、誰もが安心して暮らせる年金制度の確立をめざし、国公大運動を推進してきた。年金署名は、行革大規模署名とともに「両輪の署名」と位置づけ、32万筆を超えて集約し、中央社保協、全労連規模での社会保障闘争の一翼を担い奮闘してきた。
 いま、政府が社会保障構造改革と称して進める一連の改悪攻撃は、財界の意向に全面的に沿ったものであり、社会保障制度を権利ではなく儲けのための制度に変質・解体させるねらいをもっている。この労働者・国民に対する徹底した負担増と犠牲の押しつけという事態のもとで、年金、医療、介護・福祉などの拡充を求める声が、全国津々浦々で広がっている。
 国公労連は、法案の閣議決定という重大な局面にあたり、国民的な対話と共同をさらに広げ、国民本位の行財政の確立をめざすたたかいと合わせ、年金改悪法案を廃案にするために引き続き全力をあげてたたかう。
1999年7月21日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 福田 昭生

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