行革法案、分権一括法案  
本日から衆議院特別委員会で本格審議

 --25日、26日の両日は総括質疑〈NHKでも放映〉--
(国公労連「行革闘争ニュース」99年5月25日付)

【25日午前の特別委員会質疑・その1】
伊吹文明(自民) 地方分権も、省庁再編も改革の一つの形だが、これまでの国家社会主義的なものを自由主義への戻し方が、少し強すぎる。規制緩和や競争重視は戦後社会主義的欠点を補うことでは必要だが、競争万能主義では問題がある。小渕総理の見解は。
 地方行政を動かすには金と人材が必要だ。地方公共団体間の基本的な公共サービスは同じであるべきだ。財務省・総務省の観点と、補助金担当の官庁の観点での調整をどうするか。地方自治を担う人材を確保できるかという問題もあるのではないか。そういう点で市町村合併を推進してもらいたい。
 地方事務官制度の問題は、労働組合の利害でなく、住民の立場での議論が必要。全国どこでも同じ扱いが必要だし、年金、医療、雇用、失業対策などを国家公務員としてやるのは当たり前だ。分権なら何でも地方がやるということでいいわけではない。
 この分権法案で、法定受託事務について国が強権発動をするのではないかとの主張もあるが、国家と相容れない地方自治はきちんと区別しなければならない。権限の乱用は我々政治家が政府を監視すればいい。
 内閣機能の強化ということで、内閣官房副長官補などが置かれるが、どういう仕事をするのか。
 財政と金融の分離は、元の形におさまったようだがこれでいいのか。
 金融政策には、日銀が独立して何をやってもいいというのではない。大蔵大臣が政府の立場で責任を持つ必要があると思うがどうか。
などと質問した。

これに対し、小渕首相、野田自治相、大田総務庁長官、宮下厚生相、甘利労相、柳沢金融監督庁長官などが次のように答えました。 
 *我が国は歴史の転換期にあり、経済構造などを変えていくことは重要だが、競争が歪められたり、予想を超えた厳しさがあってはならない。我が国なりの方法論があるべきで、富国有徳と申し上げてきている。経済繁栄の追求は当然だが、心の問題でバランスをとることも重要と認識している。
 *自民党の政治は、アメリカと違い、各界各層の声に答えることでやってきた。弱者救済は大事だが、行き過ぎも困る。このことは分権と行政のあるべき姿を考える際にも考慮したい。自主財源の確保、税源の偏在をどう解決するかに腐心している。地方自治を充実するための受け皿の問題もある。職員の共同採用や研修を重ねること、合併も考える必要がある。
 *社会保険事務は国家公務員試験の合格者により一元的にやられている。地方事務官制度はわかりにくいが、身分は国家公務員。厚生年金や政管健保は国が責任を持ってやるべきこと。
 国民の勤労権は憲法で定めるところ。国民サービスの基本的なところは国が一元的にやるべき。
 *国と地方公共団体の関係は対立ととらえるべきでなく、協力、共同と考えるべき。今回の法案の役割分担も、身近な行政サービスはできるだけ地方に委ねる。国による一定の関与は有益だ。法定受託事務と、自治事務の関与の仕方には差がある。
 *従来の内政審議室長、外政審議室長などより、弾力的組織にするために、官房副長官補を作った。
 金融と財政の分離は、監督と検査が一緒なのが問題という人もいれば、企画立案と執行を分離すべきという人もいた。今回の省庁再編では、金融行政は一元的であるべきとし、並立的な関係においておくということでまとめられた。
 金融行政に関することは金融庁、財政は財政省となった。金融政策は、財務大臣は金融政策委員会に出て意見を述べるし、経済政策諮問会議には財務大臣もメンバーとして出ると思う。関係大臣の間で、総理のもとで緊密な連携のもとに行っていくことになる。
 
60名で議面行動
行革関連法案をくい止めるため最後までのたたかう意思を確認

 12時15分からは、衆議院議員面会所での要請行動を60名の国公労働者が結集する中で実施しました。
 主催者あいさつをおこなった安部副委員長は、「本日から衆議院行革特別委員会での本格審議がはじまった。情勢は楽観できないが、これまでの取り組みで衆参あわせて51名の議員が署名の紹介議員になり、5月21日の決起集会には民主、社民から5名の議員のメッセージが寄せられている。国会内の世論を変えるたたかいの強化をはじめとして、正念場のたたかいに全力を」と訴えました。
 国会報告を日本共産党・児玉健児衆議院議員がおこない、「昨日成立した新ガイドライン法を発動させないたたかいとあわせ、戦争をする国に作り替える省庁再編法案、地方分権法案の徹底審議、成立阻止に全力をあげる。独立行政法人では地域医療は守れないし、首相権限強化は戦争体制づくり。また、地方分権とは名ばかりの地方統制法を成立させないため、院外の共闘を強めよう。」と述べました。
 激励の挨拶には、全労連・元野幹事、公務共闘・吉田事務局長がおとづれ、それぞれ行革関連法案、地方分権法案の問題点にふれつつ、国公労連と共同してたたかう決意を述べました。
 決意表明は全労働・柏原中央執行委員、全厚生・杉下委員長がおこない、「勤労権の保障は国の責任。それを投げ捨てる行革反対のたたかいに全力をあげる」(全労働)、「社会保障は憲法第25条の生存権の具体化であり、国が責任を持つべき。一部の特定利益集団の思惑で、国の責任を曖昧にする地方事務官を地方公務員とする動きをくい止めるためにも、産別に結集し、当該組合としてのたたかいにも全力をあげる」(全厚生)と力強く決意表明しました。
 最後に、福田書記長が行動報告をおこない、「委員会傍聴行動、委員会開催日の議面行動、国会議員要請行動、6/1からの座り込み行動、6/8の中央行動など、できる限りの取り組みで、行革推進勢力を追いつめよう。当面、今週は連日の国会行動を提起しており、昼休みの議面行動には職場からの参加も追求して、大規模に取り組もう」と提案し、全体の拍手で確認して行動を終えました。

以  上

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