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本日の参議院本会議で、自民、自由、公明3党の賛成で、戦争協力法=新ガイドライン法の成立が強行された。5月21日に東京・明治公園に5万人が結集して同法案の廃案を強く求めたように、国民的な反対運動は日に日に高まっていた。そのようななかで、まともな審議をおこなうこともなく、国会内の数を頼りに、国民生活にとって危険きわまりのない法律を成立させたことは、到底認めることはできない暴挙である。国公労連は、この法案の成立に厳しく抗議するとともに、この間のたたかいを継続し、戦争への参加、協力にあくまで反対し、法の廃止を求める取り組みを発展させる決意を表明する。
新ガイドライン法が、憲法の平和原則や「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とした憲法第9条に違反をする疑いは、この間の国会審議でより強まった。
また、周辺事態の規定についても、法案の適用範囲が地理的には無限定であり、アジア太平洋地域はもちろんのこと、中東地域にまで及ぶことが鮮明になっている。衆議院段階の修正で「日米安保条約の効果的な運用に寄与する」との一文が盛り込まれたが、それが周辺事態を限定することにならないことは明らかである。しかも、このような無限定な周辺事態の認定を、アメリカの要請にもとづき内閣が独断でできることととしている。
民間、自治体への協力要請についても、アメリカ軍の要請に応じて際限なく広がる可能性が明らかになっている。法案審議の過程で、空港・港湾の軍事利用など11項目の協力要請内容を政府は明らかにしているが、「具体的になるといろいろでてくる」とも政府は答弁している。「協力」の名で、事実上の強制が民間企業、地方自治体に及び、かつ強制をされた企業等が「業務命令」を発することで労働者にも戦争参加・協力を強制することが容易に想定される。 国公労働者にとっては、ことはさらに深刻であり、新ガイドライン法が発動されれば、航空管制や病院医療、気象情報の提供、入国管理など、本来業務を通じて戦争に直接協力させられるだけではない。民間企業や地方自治体への「協力」を強制する事務を押しつけられ、戦争に加担・協力をすることが国家公務員の使命とされる危険性を持っている。
戦争行為が、基本的人権を著しく制限することは、歴史が証明している。それだけに、憲法との関係での国民的論議や、法の運用にあたっての厳密な規制措置が不可欠であったにもかかわらず、そのような論議は尽くされていない。このような経緯に照らしても、今後、新ガイドライン法を発動・運用させない取り組みは極めて重要となる。
1999年5月24日
日本国家公務員労働組合連合会 書記長 福 田 昭 生 |