新ガイドライン法 政府・自民党、首相訪米前の衆議院通過を画策
--「修正」で戦争協力法の危険は消えない

(国公労連「行革闘争ニュース」99年4月14日付)


1 重要局面を迎える法案審議
 アメリカがはじめた戦争に自衛隊が自動参戦させ、また自治体や民間も戦争協力に動員する戦争法案、新ガイドライン法の衆議院審議が重要な局面を迎えています。  政府・自民党は、小渕首相の訪米(4月29日〜)前に同法案を衆議院通過させ、連休前にも参議院での趣旨説明をおこない、5月中旬には法案を成立させたい意向を露骨に示しています。このような審議日程を描く背景を、1)地方分権一括法案や省庁再編を今国会中に成立させないと2000年度概算要求に支障が生じる、2)連立を組んでいる自由党が衆議院議員定数削減を強く求めており、この関連法案の国会審議日程が必要となる、3)6月17日までの通常国会会期では他の重要法案を含めて成立目指すことが物理的に難しくなっている、4)会期延長は解散総選挙の可能性を高めることから困難な側面もある、などとマスコミは報道しています。


2 強まる修正論議
 このような事情から、自民党は4月13日に 、ガイドライン関連法の「修正の論点」を1)日米安保条約の「目的の枠内」、2)船舶検査における国連決議のあり方、3)国会承認のあり方の3点に絞って示し、これにもとづく「修正」協議を民主党、公明党などに呼びかけました。  これに対して民主党は、同日、「ガイドライン関連法案について法案修正を求める点」として、1)基本計画(周辺事態の認定+基本計画+自衛隊の出動のすべてを含む)の実施前の国会承認(緊急の場合は実施後直ちに)、2)60日をこえて実施する場合の国会承認、3)日米安保の枠内であることを法案に明記、4)周辺事態の定義を「わが国に対する武力攻撃に発展する恐れのある事態」とする、5)船舶検査には、国連安保理決議を要件とする、6)後方支援活動についても武器使用の規定を法案に明記、などを明らかにし、特別委員会理事会での協議を求めました。また、公明党も近日中に、「修正要求」を取りまとめるとしています。  国会審議の日程は、4月21日に中央公聴会を開催することが確認されました。本日(14日)は函館、福井、福岡で地方公聴会が開催されています。そして、15日、20日、22日、23日に特別委員会の審議がおこなわれることも確認されています。政府・自民党は、これらの審議をへた上で、26日の委員会採決、27日(定例日)本会議採決を狙っています。


3 憲法違反の法案であることが明白に
 本日の朝日新聞社説は、「自自連立や自公協力の思惑が先行し、安易な法案修正が舞台裏の協議で事実上決着してしまう恐れがある」と指摘しています。そして、「憲法は海外での武力行使も集団自衛権の行使も禁じている。この枠組みを超えてはならない」、「国の安全にかかわり、地方自治体や民間にも影響が及ぶ以上、法律の規定は明確かつ厳密であること」など5点の「原則」を示し、1)周辺事態の定義(周辺の範囲、対米協力の対象となる事態の範囲など)、2)周辺事態の認定にかかわる日米間の手続きの明確化、3)基本計画全体の決定、変更に国会の事前承認など国会関与の仕組み、3)自衛隊の武器使用んあどの点を法案の欠陥として指摘しています。  「コソボ紛争」へのNATOの介入にも見られるように、世界の警察官を「自認」する  アメリカは、自国の利益のために国連決議などを経ることもなく、戦争を引き起こす危険があります。国会審議でもあきらかなように、ガイドライン法が想定している「周辺有事」には、日本に直接的な危険のない地域紛争へのアメリカ軍の介入も含まれています。日本周辺の紛争、とりわけ朝鮮半島での地域紛争を想定しているのがガイドライン法であることは明白です。その場合に、日本の自衛隊が軍事的に参加し、日本国内の空港や港をアメリカ軍の軍事行動のために優先使用させ、そして物資の調達や輸送のために国民の「協力」を国が強制できるようにするのがガイドライン法です。国家公務員は、そのような軍事行動を補佐し、地方自治体・国民への「協力」を強制する役割を直接担わされることになります。国民の基本的人権を戦争のために制約する先兵としての役割が、国家公務員には求まられることになります。そのような法案であることすら、政府は国民はもとより公務員労働者にも一度も説明をしていません。防衛にかかわることは「内閣の専権事項」であり、国民に口出しさせないとするかのような姿勢であり、それだけにガイドライン法の危険性と違憲性が一層鮮明になってきています。


4 取り組みの一層の強化を
 国公労連は、現行の憲法にガイドライン法案は反する「違憲の法律」であるとの認識から、ガイドライン法の廃案を求める国民的な運動に結集した取り組みを強めています。政府・自民党が、アメリカとの関係などから、審議も尽くさないままに法案を強行成立させる動きを強めていることをふまえ、本日付けであらためて取り組みの強化を指示しています。


【ガイドライン法成立阻止の当面の取り組み】
1 国会行動
 4月15日・20日・21日・22日・23日(いずれも12時15分より、衆議院議員面会所)

2 集会・デモなど
 1)4・16国会大行動
  4月16日、13時〜13時30分 日比谷野外音楽堂で意思統一集会後国会請願デモ
 2)4・27緊急集会
  4月27日、12時10分日比谷野外音楽堂で意思統一集会後国会請願デモ
 3)5・3憲法記念日の集い

3 宣伝・署名行動
 取組中の「全国キャラバン」行動や「4・28全国一斉宣伝・署名行動」への結集の強化


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