99年春闘における政府・人事院の最終回答をうけて
--第3回中央闘争委員会声明--

 本日、政府・人事院は、国公労連に99年春闘時の最終回答をおこなってきた。その内容は、「人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立ち、(勧告がおこなわれたら)国政全般にも考慮して完全実施に努力」(政府)、「官民賃金の把握の上に、適切に対処」(人事院)とするものであった。この回答は、従前を繰り返しただけでなく、巨額の内部留保ため込み、政府の手厚い保護策をうけながら、「賃金抑制も人員整理も」とする横暴を強めている大企業の賃金、雇用、人事施策改悪に「準拠」した公務員制度・賃金制度「見直し」の姿勢を強く示したものと言わざるをえない。
 このような政府・人事院の最終回答は、公務員労働者の生活と労働実態にねざした「30000円・8.1%」の賃金改善要求に答えないばかりか、民間企業で吹きあれるリストラに迎合した総人件費抑制の考えを強く示したものであり、受け入れがたい内容である。
 99年春闘は、国民・労働者の立場にたった不況打開の方向に転換させるのか、それとも弱肉強食の競争社会をテコにして、財界・大企業本位の悪政推進で不況の深刻化をゆるすのかが争点であった。
 しかし、3月17日の金属大手(電機、自動車、造船重機)への一斉回答は、定期昇給込みで平均2.2%前後、「500円玉1枚のベア」に押さえ込まれた。それだけではなく、春闘期に大企業が相次いでリストラ計画を明らかにし、政府が銀行への公的資金投入の条件に2万人の「首切り」を迫るなど、雇用破壊の攻撃が激化した。また、同日、史上最速で成立した99年度予算も、ゼネコン救済の浪費と大企業負担軽減の「減税」のために財政破綻の道をひた走り、労働者、国民の生活より大企業の生き残り支援に重点を置くものであった。
 情勢の「流れを変える」状況を作り出すまでには至っていないものの、消費不況をいっそう深刻にする大企業の横暴と、これを助長し将来不安を高める政府の悪政に対する批判と怒りは高まっている。政府・財界の労働者・国民いじめが、さらに強まることは確実な状況であり、これをはねかえす共同の拡大は、引き続く重要課題である。
 国公労働者にとっても、99年春闘は重要な意味をもっていた。国公労連は、総人件費抑制の立場にたった定員削減や能力・実績反映の賃金体系への「見なおし」や調整手当「見なおし」改悪の中止、撤回を迫り、深刻化する長時間過密労働の是正などを求めて、公務労組連絡会に結集して取り組みを展開した。行革闘争とも一体ですすめたたたかいでは、「2.7国民集会」への結集や、「2.25全国総行動」、「3.18総行動」など国民世論に訴える取り組みは、全国各地で展開され昨年以上に前進した。また、春闘山場の「3.23早朝時間外職場集会」の取り組みなどで、職場段階から政府・人事院を追及してきた。しかし、「行革」攻撃をも背景にした賃金をはじめとする公務員制度「見なおし」の動きを押し返す状況を、国会の場や、使用者・政府との関係でつくりだすまでにはいたらなかった。
 そのような中で、調整手当の「見なおし」改悪強行や一時金切り下げの危険に人事院が言及している。また、昨年の秋以来、地方自治体で相次いでいる賃金切り下げの影響が、本年の勧告取り扱いにも影響することを政府・総務庁は否定していない。加えて、能力・実績主義強化の賃金、人事運用を柱とした公務員制度調査会の基本答申が、最終回答直前の3月16日におこなわれている。これらの課題は、勧告期にむけての重点課題である。「行革」関連法案に対する国会段階のたたかいやとも一体で、労働基本権さえないがしろにしかねない理不尽な公務員攻撃をはねかえすためにも、力の結集と運動の強化が極めて重要になっている。
 本日の政府・人事院の春闘期回答は、要求に照らして不十分であるだけでなく、状況に照らせば賃下げや労働強化を国公労働者に強いることを含んだものといわざるを得ない。
 春闘後段のたたかいで、限りなくベアゼロに近い「春闘相場」を打ち破るため、全労連・国民春闘共闘傘下の労働組合の粘り強く奮闘している。また、日本をアメリカの戦争に自動参戦させる「新ガイドライン法案」や「行革」をはじめとする 構造改革の諸法案成立阻止の運動が日ごとに拡大し、政府をおいつめようとしている。そして、このような中で、たたかわれる統一地方選挙が、「流れを変える」政治戦であることへの認識が高まり、その重要な意義も明らかになっている。
 国公労連は、全労連・国民春闘共闘に結集する労働者や、平和と民主主義の危機のもとで立ち上がっている広範な国民、大企業の横暴に怒っている中小・零細企業経営者、農民などとかたく連帯し、春闘後段から勧告期、概算要求期にむけたたたかいを強化する。
 当面、「新ガイドライン法案」成立阻止、「行革」関連法案反対のたたかいを軸に、「両輪の署名」を武器にした国会闘争を強化する。また、「国家公務員25%削減」具体化のための「新たな定員削減計画」反対、調整手当「見なおし」改悪反対などの要求課題を重点に、政府、当局の使用者責任と人事院追及を粘り強く展開する。
 本中央闘争委員会は、この春闘期に、さまざまな困難を乗りこえて地域、職場で奮闘された全国の組合員に心からの敬意を表明するとともに、国公労働者にとって正念場ともいえる引き続くたたかいへの総結集を強く呼びかけるものである。
1999年3月23日
日本国家公務員労働組合連合会
第3回中央闘争委員会

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