全労連が99年度予算案の衆議院通過にあたって談話を発表
<談話> 99年度予算案の衆議院通過にあたって
1999年2月19日
全国労働組合総連合 事務局長 坂内 三夫

(1)1999年度予算案と減税関連法案が、19日午前、衆院予算委員会、午後衆院本会議で自民、自由、公明の賛成多数で原案どおり可決、参院に送付された。
 日債銀、防衛庁疑惑解明のための証人喚問を拒否し、消費税減税などの国民的要求への十分な審議もおこなわず、予算案の衆院通過時期としては史上もっとも早い異例のスピード成立である。戦争への自動参戦を認める新ガイドライン法案を5月訪米前に成立させるために予算案の衆院通過を急ぎごり押ししたことは、議会運営のあり方そのものが問われる問題として強く抗議するものである。
 さらに問われなければならないのは、ごり押しした予算案の内容である。莫大な借金で大企業と大銀行に大盤振る舞いする一方で、戦後最悪の不況のもとで国民多数が求める消費税減税や失業・雇用問題の解消など国民の切実な願いを踏みにじり、庶民に増税を押しつけるなど、深刻な不況の下で塗炭の苦しみを強いられている労働者・国民への救済は皆無といっても等しいものであり、断じて容認できない。
 (2)99年度予算案は、「財政構造改革法」停止のもとでも国民生活関連予算の抑制は相変わらず引き継いでいる。4兆円規模の個人減税も、最高税率の引き下げによる高額所得者向けの減税が中心であり、7〜8割のサラリーマンにとっては今年とくらべ増税である。
 また社会保障費では、70歳以上の高齢者の窓口負担増と入院費増、難病治療費の縮小、児童扶養手当の給付制限などの改悪がふくまれており、労働関係でも、雇用調整助成金の要件緩和など一定の助成措置はあるものの、完全失業率4.4%という戦後最悪の雇用情勢を打開する策がみられない。雇用保険の給付金の引き上げと給付期間の延長ならびに解雇規制法の制定などの雇用・失業対策が急がれるところである。
 さらに、中小企業が「八方ふさがりの構造的な不況にあえいでいる」にもかかわらず、中小企業予算はほとんど伸びず、さらには国立大学授業料値上げ、教職員の実質削減など文教予算が抑制されている。農業予算は、「新農業基本法案」の内容を先どりし、日本農業を根底から突き崩そうとするものである。
 こうして政府予算案は、国民の切実な要求に背を向ける一方で、軍事費は実質拡大となり、世界第2位の軍事費を維持している。TMD(戦域防衛ミサイル)の日米共同技術研究は、日本を新たな軍拡の道にみちびくものである。10%超の大盤振る舞いとなった公共事業では、公営住宅の建設を抑制する一方で、高速有料道路建設に偏重した道路整備など、国民生活に密着した分野の削減とムダが温存されたままとなっている。国庫補助をテコに押しつけられる公共事業の増大は地方負担を増やすものである。さらに、大銀行救済のために60兆円もの税金を投入し、法人課税を5.5%も引き下げようとしている。
 (3)消費税増税で消費が一段と冷え込み、「もうがまんの限界だ」との怒りの声がいま全国でまきおこっている。いま政府に求められるのは、消費税の3%への引き下げと庶民減税などによって個人消費の拡大をはかること、「貸し渋り」対策を強化し不況を国民本位に打開すること、そのなかで戦後最悪の雇用・失業問題を解決する方向に重点的に予算措置をとることである。同時に、軍事費やゼネコン本位の公共事業を思い切って削減することなど財政再建をはかることである。
 全労連は、こうした労働者・国民の切実な声と要求を結集し、消費税の3%への引き下げなど労働者・国民の切実な要求実現のために、参議院段階でのたたかいをさらに強化すると同時に、新ガイドライン法案阻止、年金、行革、労働法制などの課題と大幅賃上げで不況打開、雇用を守れなどの春闘課題を結合し、全力をあげてたたかいぬく決意である。
以上

トップページへ  前のページへ