中央省庁等改革推進本部顧問会議、法案・計画大綱案を確認。
下旬に正式決定へ --国民世論と共同したたたかいの強化を--

(国公労連「行革闘争ニュース」1999年1月13日付)


 本日(1/13)開催された中央省庁等改革推進本部(行革推進本部)顧問会議で、内閣法、行政組織法、新省庁設置法の法案大綱と、独立行政法人制度に関する大綱、行政減量化(民営化、独立行政法人化、地方支分部局など)大綱案を確認しました。この確認をふまえ、1月下旬までには推進本部大綱として決定する状況になっています。行革推進本部は、大綱決定をふまえて、関連法案準備と関係法の改正作業をすすめ、4月の国会提出をめざすとしています。なお、通常国会に提出する法案は大綱に盛り込まれる17法案に限定し、「改革をさらに具体化していくために必要」となる「作用法、独立行政法人個別法、総定員法」などは次回以降の国会に提出する予定を明らかにしています。
 明らかになった「行革大綱案」は、11月20日の「大綱原案」と比較して法案・制度関係では大きく変化したものは子細な点にとどまっています。一方、減量化計画では、食糧検査事務など5機関の民営化、統計センター、国立試験研究機関、国立病院療養所など84機関・事務の独立行政法人化(これ以外に、貿易保険、国立大学共同利用機関などについての「早期検討」に言及)、地方建設局と港湾建設局の統合など15機関の地方支分部局の統廃合、社会保障制度審議会、国家公務員共済組合審議会など119審議会の廃止(他に時限存置13審議会)、内閣府・新省庁の局編成などを具体化しています。

 その概要は、以下のようなものです。

【内閣法】
*内閣総理大臣の発議権の法制化
*内閣補佐官の増員(上限3名を5名に)
*内閣官房への任期付き任用制度の導入
*各省幹部職員の閣議決定による承認
【内閣府】
*内閣府設置法の新設
*経済財政諮問会議、総合科学技術会議など4合議機関、原子力委員会、消費者保護会議など5会議、北方対策本部など2本部の設置など
*局長級分掌職の配置
【国家行政組織法】
*内閣府を国家行政組織法の適用外に
*権限に関する規定を各省設置法に置かない
*官房及び局の最高限度は96に
*副大臣を含む省のトップマネージメントの措置の検討
*実施庁の長に対する権限の委任
【各省設置法】
*各省毎に、目的、任務規定、所掌事務規定などを列記
【独立行政法人制度】
*大綱原案と概ね同内容(職員の身分についてはなお不確定)
【減量化計画】
独立行政法人化は、84機関、約6万8000人を対象にする方針

貿易保険、通商産業研究所は、「独立行政法人化を図るべく早急に結論」

独立行政法人化対象−「種々の準備作業を行い、独立行政法人化を図る」事務および事業(人員は概数で日経新聞1月10日付による)

<総理府>国立公文書館(40人)
<総務庁>統計センター(統計研修所をのぞく・1200人)
<北海道開発庁>開発土木研究所(200人)
<科学技術庁>航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所、放射線医学総合研究所、防災科学研究所、無機材質研究所(計1500人)
<環境庁>国立環境研究所(300人)
<大蔵省>醸造研究所、印刷局病院(計240人)
<文部省>国立科学博物館、国立国語研究所、国立文化財研究所、国立公文書館、国立オリンピック記念青少年総合センター、国立婦人教育会館、国立博物館、国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、国立青年の家、国立少年自然の家、国立特殊教育総合研究所(計1490人)
<厚生省>国立健康・栄養研究所、国立病院・療養所(計4万6600人)<農林水産省>農業研究センター、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所、畜産試験場、草地試験場、果樹試験場、野菜・茶業試験場、農業工学研究所、農業試験場、蚕糸・昆虫農業技術研究所、家畜衛生試験場、食品総合研究所、国際農林水産業研究センター、森林総合研究所、水産研究所、養殖研究所、水産工学研究所、肥飼料検査所、農薬検査所、農林水産消費技術センター、農業者大学校、水産大学校、種苗管理センター、家畜改良センター、材木育種センター、さけ・ます資源管理センター(計8200人)
<通商産業省>産業技術融合領域研究所、計量研究所および計量教習所、機械技術研究所、物質工学工業技術研究所、大阪工業技術研究所、名古屋工業技術研究所、生命工学工業技術研究所、地質調査所、電子技術総合研究所、資源環境技術総合研究所、北海道工業技術研究所、九州工業技術研究所、四国工業技術研究所、東北工業技術研究所、中国工業技術研究所、工業所有権総合情報館、製品評価技術センター(計3605人)
<運輸省>船舶技術研究所、電子航法研究所、港湾技術研究所、交通安全公害研究所、自動車検査(検査場における検査)、海技大学校、航海訓練所、海員学校、航空大学校(計2600人)
<郵政省>通信総合研究所(400人)
<労働省>産業安全研究所、産業医学麹戟A究所(100人)
<建設省>土木研究所、建築研究所(600人)
<自治省>消防研究所(50人)

注1 貿易保険、通商産業研究所(計240人)については、「内部部局及び政策研究機関であるという特殊性等に十分配慮することを前提に、独立行政法人化を図るべく早急に結論を得る」としている。

注2 国立大学については、「大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成15年までに結論を得る」とし、大学共同利用機関等の独立行政法人化については、「他の独立行政法人化機関との整合性の観点も踏まえて検討し、早急に結論を得る」としている。

   食糧事務については、「食糧検査の民営化の状況を見つつ、引き続き検討を進める」としている。

   動物医薬品検査所については、「薬事法体系の中でのあり方等を考慮しつつ、引き続き検討を進める」としている。

   船舶検査、航空機検査及び無線等検査については、「民間能力の活用の状況を見つつ、引き続き検討を進める」としている。

    それ以外の事務および事業についても、「引き続き検討を進める」としている。

注3 逓信病院については、「独立行政法人化を基本とする。この場合、郵政事業の公社化との関連において、その関係を考慮すること」とされた。

   造幣事業および印刷事業については、「自由民主党行政改革推進本部決定『国の事務・事業の廃止民営化等について』(注:独立行政法人化が方針)を踏まえ、基本法35条に基づき現在進められている経営形態のあり方の検討を経て、今年度注に結論を得、国の行政組織等の減量、効率化等の基本計画に盛り込む」とされた。

民営化・廃止は、5事務・事業

<通商産業省>アルコール専売(99人)、工業技術院標準実施部門(195人)

<農林水産省>食糧庁の食料検査(4435人)は民営化、真珠検査所(10人)は廃止

<北海道開発庁>建設機械工作所は廃止

地方支分部局−

地建と港湾建設局の統合など

<ブロック機関>1)地方建設局と港湾建設局の統合、2)地方医務局と麻薬取締官事務所の統合、3)営林局・営林支局の再編
<府県単位機関>1)社会保険関係業務を府県単位機関に移行、2)労働基準局、女性少年室および職業安定・雇用保険主管課の統合、3)公安調査事務所の大幅整理
<その他>1)営林署の再編、2)防衛施設事務所の統廃合、3)法務局および地方法務局の支局・出張所の整理統合、4)地方入管局出張所の再編、5)税関支署の再配置、6)都道府県社会保険業務の行政事務のブロック機関への引き上げ、7)海上保安庁航路標識事務所の統廃合、8)鉱山保安監督署の一部事務所の廃止、9)通商事務所の再配置
*今後さらに府省の再編にあわせたブロック機関の総合化など地方支分部局の整理合理化を推進することとし、今後引き続き検討。また、民営化、独立行政法人化等事務および事業の減量、効率化を行う機関にあっては、その合理化に対応した整理を実施。

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