99年度予算の政府原案決定にあたって(談話)

 本日、政府は、総額81兆8601億円の99年度一般会計予算案を決定した。98年度当初予算を5.3%上回り、はじめて80兆円をこえた予算案は、借金地獄のもとでも公共事業費増や2年連続の法人税減税などをおこなう一方で、教育や福祉に大なたをふるい、低所得者には増税と負担増を迫る内容となっています。景気回復策や、消費税引き下げをもとめる国民世論に背を向けた戦後最悪の予算と言っても過言ではありません。そして、このような予算編成とあわせて、行政サービス提供部門に焦点を絞った定員削減が強行され、非現業国家公務員では98年度査定をこえる1171名(前年度1035名)の純減が強行されたことも重大問題です。2001年からの行政改革を先取りする定員削減強化も含め、政府が強行しようとする「構造改革」が、誰のための「改革」であるのかを、これほど明確にした予算案はありません。

 予算案の目玉とされる「9兆円規模の減税」は、年収794万(4人家族)以下の世帯では、98年度に比べて実質増税となるもので、一握りの高額所得者のための金持ち減税と、2年連続の法人税減税がその中心です。
 また、98年度当初比で10.5%増の9.9兆円もの予算案となった公共事業費も、整備新幹線や中部新空港などの大型プロジェクト偏重の内容であるだけではなく、「公共事業予備費」5000億円のつかみ金まで組み込んでいます。また、その多くが公共投資に回される財政投融資も、5.7%増の約52兆円を見込んでおり、破たんが明らかな「土建国家」温存の予算案となっています。
 さらに、防衛庁汚職事件で問題となった軍事費も、前年規模の5兆円を「確保」し、装備費単価を4%上積みするなど、事件への反省すら感じられないものとなっています。

 その一方で、社会保障費は8.4%増とはなっていますが、大部分は年金受給者などの増加に対応する当然増の内容です。深刻な経営難にある中小企業対策費や、30人学級の実現などが緊急の課題となっている教育費などは、1%台の増加にとどまっています。この結果、例えば国立大学の入学金が2年連続して引き上げられるなど、国民への負担転嫁が露骨におこなわれています。
 そして、何よりもの問題は、98年度の倍増となる31兆円もの国債を発行し、単年度歳入での国債依存度を約38%にまで引き上げ、99年度末の国債発行残高を予算4年分に匹敵する330兆円にまで膨らませていることです。首相の諮問機関である経済戦略会議は、12月23日に、法人税や所得税最高税率のさらなる引き下げ、将来の消費税率引き上げ、厚生年金の「民営化」など、企業のコスト削減を目的とする「戦略」課題を明らかにしました。このことを見るまでもなく、多額の国の借金をいずれは国民に押しつけることを前提に、景気対策を口実に財政破綻をより深刻にする予算案であることは明らかです。

 国ばかりではなく、地方自治体の借金も急増しており、99年度末で総額560兆超と1年間の国内総生産額上回ることが確実な情況です。加えて、銀行への60兆円投入の枠組みも動き始め、国民負担にいくらつけ回されるのかすらわからない事態も存在しています。ムダと浪費の付け回しを国民におこなう悪政を象徴し、悪政の突破口である「公務員減らし」を極限まで強いる99年度予算は到底認められるものではありません。
 税金の取り方、使い方は民主主義のバロメーターです。国公労連は、国民本位の行財政改革を実現するための重要課題として、99年度予算案の問題点を明らかにする取り組みを強化します。取り組んでいる「2大署名」の成功のためにも、国民いじめの99年度予算に怒りを募らせている多くの国民と連帯・共同し、1月段階からの取り組みに全力を挙げる決意です。
1998年12月25日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 福 田昭






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