測候所廃止(無人化)の拡大についての声明

1999年12月8日 全気象労働組合中央執行委員会


 気象庁当局は12月7日、96年度からの3年間で、13か所の測候所廃止(無人化)を強行したことに引き続き、来年3月に廃止しようとする5か所(福岡管区内の平戸・人吉・阿久根・延岡・都城)の測候所を明らかにした。 気象庁当局は、「機能アップした機器等による観測の継続」や、「各種気象情報の提供は最寄りの地方気象台等が実施」することによって、「サービス等に支障はない」と主張している。  これに対し、私たちは、気象観測の自動化はすべての現象を観測できないなどの限界を持つものであることや、大地震や台風などの異常時の防災対応には人間の果たす役割が決定的に重要であることを指摘してきた。 この3年間の実態は、人の目による天気変化の推移などの把握が困難となり、霧・積雪などの観測実況値の照会に答えられない場合もあること、さらには地元においてきめ細かな気象解説ができないなどの問題が生じ、結果的に地元自治体との連携が薄れ、かつ、住民へのサービス低下につながっていることは明らかである。 測候所は、その地域の気象と自然環境を監視・観測する最前線であると同時に、地域住民の生命と財産を自然災害から守るという重要な任務を担ってきている。また、農業・漁業・交通・観光などの経済活動や、暮らしに必要な気象・自然現象に関する情報を提供してきている。 しかも近年、自然災害が頻発しているわが国において、国の直接の責任で防災体制を強化し、きめ細かな情報を提供することが求められているなかで、測候所の果たすべき役割の重要性と地域住民の期待はますます高まっている。  こうしたなかで、地域住民も測候所廃止反対の意思を明確に示しており、6県109市町村から「測候所廃止反対、機能の整備・拡充」の決議や意見書が採択され、気象庁をはじめとする関係機関に提出されている。国民に奉仕すべき行政機関として、行政の主人公である住民の意思をまったく無視した廃止の強行は問題であり、社会活動や住民生活の要望に応えて発展してきたこれまでの気象事業のあゆみからも相容れないものである。  気象庁当局が、このような私たちの指摘や、当該地域の住民や地方自治体の「存続・強化を求める」声を無視し、さらなる測候所の廃止を拡大しようとしていることに対し、断固抗議する。  私たちは、地域住民の期待に応え、きめ細かで的確な防災情報・気象情報の提供をはかるために、地域に密着した測候所の機能の強化をめざしている。このため私たちは、現在全国で展開している「気象事業整備拡充運動」をいっそう前進させ、地域住民や気象情報の利用者団体とともに、測候所の機能拡充を引き続き求めていくものである。

トップページへ  全気象のページへ