国公労連が経団連に行革問題で要請
(国公労連「行革闘争ニュース」1998年12月16日付)

 国公労連は、12月16日午前11時から経済団体連合会に対し、行財政改革に関する要請を行いました。要請は安部副委員長、小田川書記次長、杉浦中執、津田中執が出席。経団連は産業本部の中村行革グループ長らが応対しました。

 ●国公労働者や国民の声を踏まえ、「行革」の再検討に尽力を

 冒頭、安部副委員長が別紙の要請書を手渡し、以下の要旨を述べて要請しました。
 (1)行政の役割と機能、組織の在り方について今のままで良いとかたくなに考えているわけではない。憲法が定めている国民主権、基本的人権の基本原則にのっとり国民生活の現状、行政に対する期待、行政需要などをふまえて検討するべきである。
 (2)しかし行革議論の実際は、国家公務員の20%削減でのスリム化・減量化が先にありきで国民の期待に応えるものになっていない。
 (3)所掌事務や権限についてオープンな場での検討が必要だ。内閣機能の強化では権限 の集中を規制する体制づくり、議会制民主主義の観点にたった検討、独立行政法人化では切り離す議 論ばかりだが、国の責任でやるべきことの議論が大切だ。

 ●経団連「基本法成立後の具体化作業は大枠支持したい」

 これに対し経団連の中村行革グループ長は、「率直なところを聞かせてもらってよかったと思う」と述べた上で、相互の意見交換の中で以下の要旨で見解を述べました。
 (1)最終報告を受け6月に基本法が成立し、その具体化の作業が進められているが、大枠については全面的に支持したい。
 (2)内閣機能の強化については、今日の危機的な状況は、過剰な規制があったり、国としての総合戦略が欠けていたのではないか。それに対して、基本法の中で総理の指導性強化、優秀な人材を集めることに賛同する。
 (3)独立行政法人化や民営化についても、行政が過剰に肥大化した面があるのではないか。厳しい情勢の中での見直しは当然。基本法にも明記している雇用の面は配慮されるべきで、この点では、まったく異論はない。当然、役割を終えたもの、効率を追及するものがある。その手段としての廃止や民営化、独立行政法人化については率直に評価したい。
 (4)イギリスでは、実際にエージェンシーに移行し、魅力が理解されたために、今では進んで民営化を 希望していると伺ってきた。日本の独立行政法人化でも改革の趣旨を理解していただく必要があるのではないか。
 (5)世界も日本も厳しい競争にさらされ、企業がつぶれたり、合併がある。行政にいる人も意識の変換をしてほしい。国土交通省など巨大な官庁をつくるだけに終わらせないためには、権限を地方に移譲することが必要だ。
 (6)手法としては、民間の活力を行政に取り入れるべきであり、基本法の大きな方向を認めた上でやっていくべきではと思っている。

 ●国公労連「生活の基盤を支えるための行政を本来議論すべき」

 これらに対し国公労連は、激しい経済競争の中にあることはわかるが、だからこそ生活の基盤を誰が本来支えるのかが議論されないといけない。(職安の例などを挙げ)行政に対する需要があることや、国民の教育権や医療を受ける権利の中で議論することが必要だ。改革ありきではなく、現在の国民生活の現状もふまえた慎重な検討が今、求められているのではないかと主張し、経団連の対応を重ねて求めて要請を終えました。


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