国民のくらしささえる行政めざすハートキャラバン98街頭演説例

 ●税金の使い方

 政府はいま、国民の税金を何十兆円という規模で大銀行の救済に使う仕組みをつくろうとしています。バブルの時代には勝手放題に大儲けした大銀行が不良債権をかかえたからといって、その後始末に国民の血税をつぎ込むことなどとんでもありません。一方で、長引く不況で、国民の生活悪化が深刻なのに消費税の増税、医療や年金制度の改悪で、国民の負担ばかり増やしています。国の行政は何のためにあるのか、誠治は一体どこを向いているのか、その根本が問われています。

 暮らしの改善のために必要なことは、国民・労働者のフトコロを直接あたためることです。その特効薬は、消費税をただちに3%に戻すことで、圧倒的多数の国民の願いです。消費購買力を高め、医療や年金の改悪をやめさせ、国民生活を改善することこそ、不況打開の近道です。
 長引く不況、銀行の貸し渋りなど、中小企業の営業は深刻さを増しています。政府が中小企業に対して手厚い緊急貸付などの対策を強めるよう、求めていきましょう。

 政府は口を開けば、医療や年金制度の財政がパンクすると宣伝しています。こうした宣伝のもとで行ってきたことは、医療、年金などの社会保障の相次ぐ制度改悪です。そのねらいは、社会保障予算の大幅な削減です。国民・労働者に押し付けています。さらに、来年の通常国会にむけて、医療、年金の改悪がたくらまれています。国の予算は、国民生活の向上のためにこそ、使うべきではないでしょうか。

しかし、国の予算の使われ方の実際はどうでしょうか。毎年、国と地方で50兆円もの巨額な費用がつぎ込まれています。これに引きかえ社会保障費は、公共事業費の半分以下で約20兆円です。公共事業費が社会保障費より多いという、逆立ちした使い方をあらためさせ、ゼネコン奉仕の公共事業のムダを削ることが必要です。暮らしを改善させるための財源は、こうすれば確保できるのです。

 ●規制緩和と政府の役割

 規制緩和はよいことばかり、という宣伝がされています。本当でしょうか?航空業界の規制緩和で、新しい航空会社が加わりました。たしかに安い運賃です。しかし、航空業は何よりも、安全が大事です。この航空会社は、どうでしょうか?整備は他の大手会社に委託、パイロットはアメリカから派遣で、自前なのはほとんどない状態です。これで安全は大丈夫なのでしょうか?アメリカでも規制緩和の結果、弱小航空会社が乱立し、事故が多発したことから、航空業の規制緩和は失敗であるという声が大きくなっています。安全が守れないような規制緩和はおこなうべきではありません。
 また、いま、全国各地で、産業廃棄物や一般のゴミ消却で発生する猛毒のダイオキシンが問題になっています。また、東芝や松下電器という日本を代表する大企業の工場から猛毒の化学物質が地下水に流れ込んでいたことが明らかになっています。生活環境の安全を脅かす、こうした問題を防止するためには、規制の強化が必要です。また、二酸化炭素による地球温暖化の防止のための規制なども必要です。  みなさん、何でもかんでも規制を緩和すればよいというのではなく、規制を緩和してはならないところ、また規制を強化すべきところも多いのです。私たちは、安全や環境を守るためには、国が積極的に規制をすべきだと考えます。

 いま、不況の中で、失業が大変増えています。憲法では、すべての国民に働く権利を保障しています。保障するのは国の義務です。働きたくても働けない人に雇用を保証するよう政府に迫ることが必要です。また、中小企業や農業も大変な経営難です。中小企業や農業は日本の宝です。公共事業に偏った農業支援などのような効果の上がらない方法ではなく、国はもっと積極的に、直接に中小企業や農家を支援する政策をおこなうべきです。

 いまの日本では、環境、安全、雇用、経営など国民の生活と権利を守るためにもっと国が積極的役割を果たすことが必要です。私たちは、政府の責任を放棄し、大企業の横暴を野放しにするようないまの政府の進める行政改革に反対しています。ご一緒に生活の安心を支える行政の確立をめざしていきましょう。

 ●公務員削減と行政サービス問題

 小渕首相は所信表明演説で、今後10年間で国家公務員の2割、約10万人を削減するという目標を掲げました。公務員を減らして、国民にとってプラスになるのでしょうか。小さな政府になれば、税金のムダ使いがなくなると思っていませんか。実際は、国民が安心して生活する上で必要な行政サービス部門の削減が強行されています。政府が進めている定員削減は、国が国民に対して責任を追うべき重要な仕事の放棄につながっています。

 小渕首相の演説のように、日本の公務員が多すぎるかのような議論がされています。本当でしょうか。実は、国際比較でみても先進国の中で一番少ないことが統計でも明らかになっています。そのことは、実は、政府自身も認めている事実なのです。公務員が減らされることは、国民にとって、決して特になるものではありません。これまで、一環して公務員の定員削減が行われてきました。一律に公務員が削減されてきた結果、国民の命や財産・生活と権利にかかわるサービスが充分できなくなっているのです。

 さらに政府は、行政改革の名のもとに国の出先機関が行っている業務を切り離し、独立行政法人という国とは違う別の「法人」をつくろうとしています。そこには、なんと、国立試験研究機関や国立病院・療養所、登記や職業紹介業務など、97機関・約25万人が対象になっています。国民の命と健康、雇用確保などをはじめ、国が直接、責任をおうべき仕事ばかりです。独立行政法人化は、国民サービスの切り捨てそのものです。

 今、求められているのは、国民本位の行政サービスを確立するために、福祉や教育をはじめ、国民生活に必要な予算や人員を充実することです。国民生活を重視する行政や財政をめざし、世論と運動を大きく広げましょう。

 ●1府12省庁と内閣機能の強化はここが問題

 今、政府がすすめている省庁再編は、国民の皆さんの生活に役に立つ改革なでしょうか。
 労働者の雇用や働く権利を守る労働省と医療や年金、福祉の分野で大切な役割をはたしている厚生省を一緒にして効率化をはかろうとしています。
 また、文部省と科学技術省を一緒にして、一部の大企業が求める先端技術者育成など、スーパーエリート育成の教育に変えようとしています。
 その一方で、大規模開発中心の公共事業の7割をしめる国土交通省や30万人をこえる巨大な省として発足する総務省など、権限が偏って集中する省編成になっています。
 このようないびつな省庁編成になったのは、国民の最低限の生活をささえるために必要な雇用や年金、医療、教育などを直接国が提供し続ける必要がなく、個人の自己責任でそれらの分野のサービスは民間から受ければ良いとする考えにもとづいているからです。そして、これからの国は、防衛や治安のほか銀行支援や公共事業のバラまきなど、大企業の生き残りのための政策作りと財政運営に力を集中し、行政サービスの直接提供はもうやらないとする考え方に基づいています。
 このような省庁再編では、国民の生活は守れないばかりか、巨大な権限を持つ省庁になることで、大蔵省や防衛庁にまで及んだ「政・財・官」の癒着が、一層深刻になることは明らかです。
 戦後最悪の不況と言われるいま、失業対策や雇用の創出、社会保障や教育の充実こそ国の責任です。総務省や国土交通省のような巨大な利権が集中する省庁改革をやめさ、雇用や社会保障、教育など国民生活に直接影響する行政を充実する目的で、改めて省庁再編を見直しさせることが必要です。


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