年金改悪をストップさせ、基礎年金の国庫負担増額の世論と運動を広げよう

(国公労連アピール)


 1.年金審議会(厚相の諮問機関、会長・京極純一東大名誉教授)は10月9日、年金給付額の削減や保険料引き上げを盛り込んだ意見書を宮下厚相に提出しました。政府・厚生省は、この意見書を受け、来年の通常国会にむけて年金「改定」法案の策定に入っています。
  意見書の内容は、1999年の制度改定に向けて「年金受給世代と現役世代が対立するのではなく、痛みを分かち合いつつ高齢期の生活保障を実現していくことが制度の基礎である」とし、(1)厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢を、現行の60歳から65歳まで段階的に遅らせ60歳代前半の年金をなくす、(2)年金給付の賃金スライド制をやめる、(3)在職老齢年金制度の仕組みを現行の60歳代前半から60歳代後半まで拡大する、(4)厚生年金保険料の引き上げについて「適切な段階的引き上げをおこなうべき」とし、将来的な保険料率を月収の30%以内、26%程度、20%以内という3論を併記、(5)ボーナスからの保険料徴収の算定基礎に「総報酬制」の導入を提言する、など労働者・国民にとって過酷な改悪を迫る方向を示しています。

 2.その一方、1994年の年金「改正」の時、全与野党議員が一致して行った国会での付帯決議「基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に増額する」の速やかな実現については、「現在の財政や我が国経済の状況の下では、極めて困難である」と指摘し、将来の課題に先送りしています。これらは、私たちが年金審議会に対して強く要望してきた切実な願いを踏みにじり、深刻な不況の下での生活不安をいっそう強めるものであり、景気対策としても社会保障の拡充が心底求められているだけに到底容認できるものではありません。
 また、意見書の「基本的改革のあり方」や「個別検討項目」の記述では両論、3論、4論併記が繰り返され、矛盾と混迷にみちたものとなっています。こうした中味は、全国で労働組合、民主団体が展開してきた年金、社会保障拡充の運動前進の一定の反映であるとともに、政府・厚生省が進める年金改悪の問題点をも浮き彫りにするものです。

 3.国公労連は、憲法25条を真に生かし、誰もが安心して暮らせる年金制度の確立をめざし、第1に、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に増額し、全額国庫負担を目指すこと。第2に、年金財政の巨額積立金を計画的に活用し、保険料・掛け金の引き上げ、支給額の切り下げを行わず、賃金スライド制を廃止しないこと。第3に、年金支給開始年齢は、当面65歳への繰り延べをやめて、すべての年金について原則60 歳支給とすること。--の3つの要求の実現のために全国の仲間が職場での学習を力に、地域での宣伝を強め、署名の取り組みを積極的に広げて奮闘することを呼びかけます。国民・労働者との対話と共同を前進させ、国民本位の行政改革をめざすたたかいと結びつけ、世論と運動を大きく広げ、年金改悪をストップさせましょう。

 1998年10月20日
日本国家公務員労働組合連合会中央執行委員

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