独立行政法人化などで議論--8月12日、推進本部顧問会議

【国公労連「行革闘争ニュース」98年8月18日付より】


 中央省庁等改革推進本部第3回顧問会議が、12日開かれ、独立行政法人問題、減量化・効率化問題で議論を行いました。以下、議事の概要を掲載します。

<科学技術会議政策委員会中間取りまとめ>
  中央省庁等改革推進本部顧問会議第3回議事概要

1 日時 平成10年8月12日(水)9:00〜10:45

2 場所 内閣総理大臣官邸大客間

3 出席者
(顧問)
今井敬座長、石原信雄顧問、小池唯夫顧問、佐藤幸治顧問、高原須美子顧問、得本輝人顧問、西崎哲郎顧問、藤田宙靖顧問、山口信夫顧問

(推進本部)
太田誠一副本部長(行政改革担当大臣/総務庁長官)、古川貞二郎本部長補佐(内閣官房副長官)

(推進本部事務局)
河野昭事務局長他

4 議題
(1)中央省庁等改革に係る立案方針事務局原案について
(2)質疑等

5 会議経過
(1)事務局から、中央省庁等改革に係る立案方針事務局原案のうち「独立行政法人制度の創設等」及び「国の行政組織等の減量・効率化等の基本計画」の部分につき改めて説明が行われた。

(2)太田行政改革担当大臣(総務庁長官)から、「本日は主に独立行政法人とスリム化につき御議論いただくわけであるが、小渕総理の10年間で20%の定員削減との目標については、総理とも話したが、これは独立行政法人化による削減を大きく行わないと達成できる目標ではないとの認識である。したがって、独立行政法人化は待ったなしの状況である。いずれにせよ本日の主テーマは行革の中心部分であるので、よろしく御審議をお願いしたい。」との発言があった。

(3)独立行政法人に関し、概略以下の質疑、議論が行われた。

*独立行政法人化に抵抗する省庁、機関の言い分は、従来の研究・活動が予算その他の面で制約されるのではないか、純粋の国家公務員でなくなることにより権利の面で後退するのではないかという心配と、国立でなくなることにより「格落ち」するのではないかとの不安があるが、どういうものを独立行政法人にするのかの基準を明確にしておかないと個別の機関について各省庁との折衝が極めて困難になろうとの意見があった。これを受けて、行革会議最終報告の別表1記載の機関はもちろん、一旦行革会議で了解されながらとりあえずは別表外とされた機関や「検討する」とされている機関は原則として独立行政法人化するとの断固たる決意で臨むべし、また、独立行政法人を魅力あるものにすることが重要でありできるだけヒト、モノ、カネの自由度を与えることにより独立行政法人化のインセンティブを与えることが必要との意見があった。また、独立行政法人化の基準という場合、制度設計についての基準と独立行政法人化の対象についての基準の二通りがあり、既に基本法が一定の基準を定めているが、実際には多種多様な機関があるので一律に同じ基準をあてはめることがどこまで現実的か、基準については弾力性を持たせることも重要であるとの意見が合った。

*「格落ち」の不安との議論については、独立行政法人は民間に任せることのできない公のものであることを何らかの形で表明する等、工夫の仕方があろうとの意見があった。また、対象機関の職員の視点からのみならず一般国民の視点からも考える必要がある、例えば「国立○○博物館」が「独立行政法人○○博物館」となってはピンと来ないとの意見があり、これに対し、制度と名称は別の問題であり、工夫は十分可能との意見があった。

*独立行政法人が良好に機能するためには評価が重要であるが、評価機関に民間人を入れることとなるのかとの質問があり、行革会議最終報告においては総務省に置かれる評価委員会も各省に置かれる運営評価委員会も委員は「外部有識者から任命」とされているとの説明があった。

*独立行政法人化に係る制度設計、計画についての今後の作業スケジュールに関し質問があり、法律については明年4月を目途に通則法を国会に提出予定である、個別法自体はその後ということになろうが、明年4月頃の「独立行政法人化等計画」において、いつまでにどのような機関を独立行政法人化するといった点を詳細に書き込むことになるとの説明があった。この点に関し、通則法を国会に提出すれば必ずどのような機関を対象とするのかを問われることになるので、その時点で対象機関をはっきりさせておくことは不可欠との意見があった。

*独立行政法人化の検討対象とされているものについて実現するとの方針で臨むべし、また、保険業務などはいかなる理由で検討対象から外されたのか承知したいとの意見があり、これに対し、事務局としてもその方針ではあるが、例えば同じ試験研究機関といっても種々の異なる性格のものが混在しているといった反論、保険については保険金徴収の強制的側面は税の徴収と同じであるという議論をする省庁もある、また、職安についてはILOで「public」とされているがこれは必ずしも国営でなければならないわけではないのではないか、自賠責保険や輸出保険は民間でもやっているとの議論が行革会議ではあったとの説明があった。

*独立行政法人の評価に関連して会計監査と評価は別であり正確な監査に基づく結果について評価を下すのであって、監査は非常に重要であるとの意見があった。

(4)減量・効率化に関し、概略以下の質疑、議論が行われた。

*小渕総理の20%定員削減の目標には独立行政法人化による削減も含むとの太田大臣の説明と基本法にいう10%以上の定員削減との整合性につき質問があり、基本法にいう10%以上の定員削減はベースとして達成した上で、独立行政法人化による減とあわせて20%以上とするということであるとの説明があった。これに関連して、独立行政法人化の検討対象とされたものをすべて実現するとどれほどの定員削減になるのかとの質問があり、行革会議最終報告の別表に掲げられた機関は全体で約7万人となり、その中では病院関係、試験研究機関関係が大規模であるとの説明があった。

*現在の国家公務員約85万人から郵政30万人を引いた残りにつき、小渕総理は20%の削減と言い、橋本前総理は更に独立行政法人化による減を引いた残りの10%ということであったが、いずれにせよ毎年4〜5千人ずつ削減ということになり、採用数を大きく抑えねばならない、これは大問題である、そのような認識の下に答えを出すべき問題であるとの発言があった。

*まず仕事をいかに減らすかを考えるべきであり、その上での組織・人員削減でないと、巨大省、巨大局、巨大課が生まれかえって不透明になるばかりであろうとの意見があった。

*仕事減らしは中央よりもむしろ地方支分部局の問題である、人員の多い地方支分部局の方を特に削減する必要があるのではないかとの意見があった。

*省庁の中には地方分権や民営化を推進すべきところとそうでないところがあるのではないか、また、事後評価をしっかり行うようになるとかえって人員の拡充をしなければならないところもあるのではないか、要はメリハリをどうつけるかが重要であるとの意見があり、確かに一部の省については地方分権や規制緩和などほとんど進める余地のないところもある、スリム化という場合OA化等による業務簡素化の要素、機能再編成による減量の要素等さまざまな要素があり、いずれ合理的に整理したいとの説明があった。

(5)事務局原案のその他の部分につき、概略次の議論があった。

*パブリック・コメント制度と審議会の扱いにつき基本法及び事務局原案では別々に記述しているが、行革会議最終報告においては並べて記述していた、これは審議会の整理合理化を進める中で国民の声を反映させる機能を審議会が担っていることを考慮したものであるので、その趣旨は念頭に置いていただきたいとの発言があった。

*「パブリック・コメント」という言葉は一般の国民にとって耳慣れない言葉であるので、何とか工夫してほしいとの意見があった。

*行政審判制度については2001年以降の問題ということなのかとの質問があり、これに対し、行革会議では行政審判庁構想について結論を出すことはできなかったが2001年以降に先送りするとの位置づけが行われたわけではないとの発言があり、基本法においても第50条第3項で「その充実強化の方策及びこれを担う組織の在り方について、検討するものとする」とされており検討項目の一つとなっているとの説明があった。

*情報公開、司法制度改革を行うことが行政改革の大前提であり、行革会議でもそれを前提として議論した経緯があるので、これらにしっかり取り組んでほしいとの発言があった。

*省庁の設置法における権限規定については、これが行政の過剰介入、不透明な行政指導の根拠となってきたことは明らかでありメリットよりデメリットの方が大きい、権限は設置法では一切触れず個別行為法にゆずることとすべきではないかとの意見があり、この点についてはいずれにせよ事務局としての原案が出た段階で議論することとされた。

(6)次回の顧問会議については、事務局の作業状況等を踏まえ、9月上旬を目処に開催することとされた。

以上
(文責中央省庁等改革推進本部事務局)
−速報のため事後修正の可能性あり−


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