2001年3月7日

 内閣総理大臣 森  喜朗  殿
 総務大臣   片山 虎之助 殿

日本国家公務員労働組合連合会
                      中央執行委員長 堀 口 士 郎

国民の安全に関わる要員の確保についての申し入れ
 累次の国家公務員定員の削減と増員の抑制により、公務職場実態は、厳しさを増しており、職員の献身的な努力なしには、公務サービスの水準を維持できなくなりつつある。とりわけ、国民の安全を直接守る医療や航空管制の職場の実態は、危機的とも言える状況となり、医療事故が相次ぎ、重大なニアミスが発生している。しかし問題なのは、こうした事態を生じさせた責任がすべて職員個人に帰せられるかのような報道や当局の対応があることである。この主張は、要員問題をはじめとする行政体制の問題点を見ない全く不当なものである。我々国公労連は、こうした姿勢にたったままでは、決して問題は解決しないと考える。
 医療の問題についていえば、日本の看護婦数は、アメリカの4分の1以下、ドイツの半数以下であることに見られるように、先進諸国の中では際だって少ない上、国立病院・療養所の100床当たりの看護婦数は、国立病院・療養所以外の公的病院の60%程度でしかない。そのため、夜勤体制も他の公的病院では、3人体制が60%前後と主流となのに対し、国立病院・療養所では20%を切っている。夜勤日数も3〜4割の職員が月平均9日を超えている。このような体制によって、看護職員に過重な負担がかかっている。このことの解決なしには、医療事故の抜本的対策にはならない。
 航空管制の問題について言えば、複雑高度な技術により運航されている航空機の事故は、様々な要因が複雑に絡んでおり、日本においては、軍事空域の存在や、規制緩和による交通量の問題が航空交通管制の困難さを一層増大させている。要員についても、国内旅客輸送が1970年度から1995年度までの間に500%伸びたのに対し、航空交通管制要員は200%の伸びにとどまっている。日航機のニアミス事故については、当事者の責任追及に偏重するのでなく、真の原因究明と、それに基づく再発防止策こそが必要である。再発防止策の一つとして新たな航空管制システムの構築や訓練体制の強化が検討されているが、そのためには、要員の確保が必要となっている。
 以上のことから、問題の根本的解決には、要員問題をはじめとした行政体制の充実が行われなければならないと考える。そうしたことから、貴職に対し、下記の諸点を申し入れるものである。

1 医療や航空管制など、国民の安全、生命を直接守る分野については、定員削減の対象外とし、必要な要員の確保を行うこと。あわせて当面、総定員の上限を引き上げること。
2 独立行政法人化や民間委託の拡大などにより、安全を守る体制を弱めないこと。

(以 上)


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