2001年度予算・政府案の決定にあたって(談話)
--国民生活を苦しめ、行政サービスを切りすてる予算案に反対する
 政府は12月24日に、2001年度予算案を閣議決定した。一般会計規模で、総額82兆6542億円となる予算案は、国債発行による歳入が28兆3180億円(構成比・34.3%)にものぼる借金財政となっている。歳出面では、軍事費が4兆9553億円(0.4%増)、公共事業9兆4352億円(前年同額、他に予備費3000億円)など、深刻な状況をかえりみない放漫財政となっている。その一方で、景気回復のためにも求められている国民生活をささえる分野では、社会保障費全体は7470億円(4.5%)増とはなっているものの、高齢化の進展などにともなう必要経費増分をまかなっているにしかすぎず、2001年10月からの介護保険料引き上げを盛り込むなど、将来不安をかき立てる逆立ちの予算となっている。文教費でも、私学助成や教職員の定員改善計画初年度分・5380人の増を認めるなど、国民的な運動の反映がある一方で、国立大学入学料を2002年度から5000円引き上げるなどのあらたな負担増も盛り込まれている。総じていえば、「公共事業50兆円、社会保障20兆円」に象徴されるゆがんだ財政状況は何ら是正されず、将来不安をさらに高め、国民負担増や生活関連予算の抑制で景気回復にさえ逆行する予算案となっている。

 このような予算編成と同時にすすめられた2001年度の組織・定員の査定は、全体でマイナス・5998名(非現業・1893名減、現業・4095名減)と、昨年を1223名も上回る過去最高の定員減となっている。特に、「10年間・10%」のあらたな定員削減計画の初年度の削減数が、当初5年間の削減計画数の5分の1(8353名)に約2000名上乗せした10787名と、かつてない合理化削減が強制され、純減数を押し上げている。また、情報公開や政策評価対応など行革関連の新規増や、情報収集衛星、基本法制整備など軍事、企画・立案部門を重視する査定がおこなわれている。その結果、行政実施にかかわる窓口第一線の純減数を高めている。また、2001年4月1日に、57の独立行政法人を設立することを前提に総務省通信総合研究所などの廃止、17713名の「削減」を決定している。
 国公労連は、国民のくらしより、整備新幹線や空港建設、ダム建設などの大型プロジェクトや本四架橋への税金投入を優先し、景気も財政も悪化させる2001年度予算案、行革基本法をさらに具体化し、行政サービス切り捨てを前提にした定員削減や組織廃止をする2001年度の定員査定に、怒りもあらたに抗議の意思を表明する。

 1月6日の省庁再編を前に、各省の人的配置などが明らかにされ、「利権温存の省庁再編」とする批判が高まっている。しかし政府は、12月1日の「行革大綱」でも決定したように、政治との癒着関係が強い企画・立案部門の強化と政治に迎合する公務員づくりのための制度改革を押しすすめようとしている。そのような省庁再編や行政改革のしわ寄せが、行政第一線の執行部門での人べらし、労働強化、行政サービスの切りすてに集中することは許されない。
 国公労連は、21世紀の幕開けとなる2001年春闘で、行政第一線の行政と労働者の実態を広く訴え、政府が進める行政改革や2001年予算案の問題点を明らかにし、一致する要求での国民共同のたたかいを追求する。国民春闘の前進で、政府を追いつめ、国民いじめ、国公労働者いじめの予算案成立阻止の展望を切り開くため、総力を挙げる決意である。   
   2000年12月24日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長  小 田 川 義 和

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