介護保障の充実、30人学級の実現、地域産業と雇用を守るため
-税金の使い方を国民本位にかえる共同の運動を呼びかけます(三単産アピール)
 新しい世紀、21世紀を希望をもって迎えられるのか−いま国民の大きな関心の一つです。
 高齢化と少子化が同時に進み、2007年をピークに日本の人口が減少するといわれています。今、長引く不況のもとで、完全失業者が300万人をこえ、雇用不安が深刻になっています。その大きな原因に、労働者の首切りや地域経済の支えである中小零細企業を切り捨てながら、国際競争での勝ち残りをめざす多国籍大企業の身勝手さがあります。
 登校拒否・不登校、「学級崩壊」、「いじめ」、相次ぐ少年事件など子どもと教育をめぐる状況も深刻です。人間より、大企業の活動を中心においた政治・経済・社会のしくみが、子どもの健全な発達を妨げていることも、その一因です。
1990年に策定された「公共投資基本計画」によって「年間50兆円の公共事業費」が固定化され、景気対策の名ですすめられる大型公共事業や、投機に踊って多額の不良債権を抱える銀行への税金投入などで、2000年度末には国と地方自治体の借金は645兆円にまで膨らんでいます。巨額の税金を公共事業に投入しても景気は回復せず、むしろ地域経済のゆがみを深刻にしています。加えて、財政の破綻や、大増税への懸念といったマイナスの側面が顕著になり、環境破壊への批判も強まっています。20世紀末のこの国の状況は国民のくらしか、大企業の儲けの自由化か、どちらかを大切にする政治なのかが争点になっています。

 ところが自公保政権は、21世紀にも、大企業本位の税財政、行政運営を引き続きすすめる仕組みづくりを強めています。年金、医療、福祉など社会保障を次々改悪し、国民に負担を強制しています。「30人学級」など教育の充実をもとめる声には背を向け、教育基本法の「改正」をねらい、国立大学の「独立行政法人」化で独立採算を迫るなど、国の責任をねじ曲げています。規制緩和を口実に、首切り・リストラを後押しする施策を相次いで成立させながら、失業給付の改悪を強行しました。公共事業費は「聖域化」したままで、国民・住民の暮らしに直結する行政サービスを切り捨て、公務員の削減が財政再建につながるとする施策も強めています。
 また、今年7月の政府税制調査会の「中期答申」が打ち出したように、消費税増税、課税最低限の引き下げという国民負担と、法人事業税の一律「外形標準化」という中小企業いじめの増税を準備しています。その一方で、大企業の税金を軽減する「優遇制度」には手もつけていません。
 地方自治体も国の言いなりになって、「箱もの行政」や大規模開発の見直しを後回しにして、保育所や学校給食、清掃事業の民営化、「市町村合併」の推進などをすすめようとしています。住民の暮らしの守り手としての自治体の役割が変えられようとしているのです。

21世紀を希望をもって迎えるためには、国と地方自治体に、「くらし、雇用、教育」の保障を最優先することを求める取り組みを強める必要があります。地域経済の衰退に歯止めをかけるためにも地場産業の育成を重視するよう迫っていくことも大切です。
 そのためにも、税金の使い方を国民本位に変えることが重要です。子どもと教育をめぐる困難を克服する課題の一つとして、全国の自治体の約半分で意見書が採択されている「30人学級」を6ヵ年計画で実現することは年間2000億円で可能です。
 本当に必要なサービスを受けることができない、10月からの介護保険料が払えないといった切実な声が出されている「介護保険制度」では、全国各地で利用料や保険料の減免を行う自治体が増えていますが、国庫負担を9500億円増やし、四分の一から二分の一に引き上げるだけで、高齢者の76%をしめる住民税非課税者の保険料・利用料を基本的に免除できることになります。
 国土を守り、地域経済を活性化するためにも大型公共事業偏重でなく、生活関連の事業を重視するとともに、地域の基盤的産業である農林漁業や地場産業の振興を目的にした「価格保障制度」や後継者育成対策への歳出転換が必要です。

私たち公務員労働者は、税金の使い方を国民本位にきりかえ、「介護保障など社会保障の充実」「30人学級の実現・私学助成の拡充など教育条件の整備」「農林漁業と中小商工業など地域産業と雇用を守る」という立場で運動を国民みなさんとともに大きく進める決意です。
そのことから私たちは、当面、次の運動を強めます。
(1)公共事業偏重の財政運営を介護保障の充実、30人学級の実現・私学助成の拡充、雇用の拡大など人間を大切にするものへの転換を求める共同の運動を地域からすすめます。
(2)地域での運動を背景に地方自治体に対して、@地方財政危機の打開と自治体財政の保障、A税金の使い方を国民本位に変えることを求める「意見書」を政府に提出するよう求める運動をすすめます。 (3)「税金の使い方を国民本位に」「公共事業は1987年以前の水準に引き下げよ」「軍事費を削れ」「介護保障の充実」「30人学級実現」「子育て事業の充実」などの実現を政府に迫る世論と運動を全国で広げる取り組みをすすめます。
   2000年11月15日
全日本教職員組合
日本国家公務員労働組合連合会
日本自治体労働組合総連合

トップページへ  前のページへ