総定員法成立にあたって(談話)
--行政「合理化」攻撃へのたたかいを一層強めよう--
 5月12日の参議院本会議で、総定員法(行政機関の職員の定員に関する法律)「改正」法が、日本共産党を除く政党・会派の賛成で成立した。衆議院段階で100分、参議院段階では90分という短時間の委員会審議で、国の行政を担う人員の範囲が決定されたことは極めて遺憾である。総定員法の撤廃も含めた制度改革をもとめて取り組んできた国公労連として、「改正」法の成立に抗議の意思を表明する。

 「小さな政府」=公務員削減とする行政改革が荒れ狂うもとで、総定員法「改正」はもとより、非現業国家公務員の「10年間・10%」削減計画策定や、公社化・独立行政法人化も含めて国家公務員を25%削減することが、内閣の至上命題とされている。
 その一方で、国立病院も含めて相次ぐ医療事故や、学級崩壊とまで言われる教育現場の困難さ増大の背景に人員不足が指摘され、また、雇用破壊が進むもとでの公的職業紹介窓口や、国際化が進むもとでの入国管理の職場など公的サービス実施部門での人員不足の深刻さも明らかになっている。さらには、本省庁職場や公共事業実施部門における慢性的な長時間労働の実態は、「過労死」が発生するほどに深刻な事態となっている。 このような職場や行政第一線の実態からすれば、いま求められているのは、国の責任領域を明確にし、そのために必要な人員を行政実施部門を中心に確保することである。それは、総定員法「改正」の如何にかかわらず、その実現を求めて、公務員労働者がねばり強く取り組むべき課題である。

 総定員法「改正」をうけて、定員管理をめぐる焦点は、行革基本法で実施が定められている「10年間・10%」の定員削減計画の策定に移ることになる。非現業国家公務員・約54万人を母数とするあらたな定員削減計画は、政治的目標でもある「国家公務員25%削減」と一体であり、これまで以上に純減を意識した計画策定となる危険性を持っている。また、独立行政法人化などで母数が変化することが想定されるという「新たな条件」も含んでおり、的確な対応が求められている。これまでの定員削減で、職場・行政の定員状況は極限まで抑制されており、これ以上の削減できる余地はない。法定化されてはいても、あらたな定員削減計画の策定は、到底受け入れられるものではない。ましてや職場・行政の実態を無視した暴挙としか言えない国家公務員の純減をせまる定員管理は、何としてもくい止めなければならない課題である。

 定員削減の強化は、能力・実績反映の公務員制度への改革や行政責任を投げ捨てる規制緩和、民間委託などの一層の加速を伴うことは明らかである。定員削減による労働強化と行政サービス・行政責任の切り捨てに反対し、3年間の行革闘争で積み上げてきた運動の到達点を発展させる取り組みは、この時期こそ重要である。
 3万団体を目標に取り組んでいる「25%削減反対」の国会請願署名を5月24日までに達成することや、行政実態を「告発」する取り組み、さらには国民的な宣伝を強化することを改めて確認し、公務員削減攻撃をゆるさないたたかいの継続・強化をよびかける。

   2000年5月15日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長  福 田 昭 生

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