格差拡大、公共サービス切り捨ての「構造改革」の強行に反対する
 −−「骨太の方針2006」の閣議決定にあたっての談話−−

 本日、政府は「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)2006」を閣議決定した。「1.25ショック」といわれる少子化の急激な進行や、そのことともかかわる経済的格差の拡大、規制緩和で脅かされる安全・安心や地域社会の疲弊など、90年代以降の「改革」による歪みが日本社会で生じていることは認めつつ、それらの元凶に外ならない「構造改革路線」の堅持を強調する閣議決定に厳しく抗議し、閣議決定の撤回を強く求める。

 「骨太の方針2006」では、この間の小泉「構造改革」の成果としてデフレ経済の克服などを強調する。
 しかし、高齢者世帯を中心に、生活保護世帯が100万世帯を越えた事実や、社会保障費削減、地方自治体への国の財政責任を転嫁するための「三位一体改革」のもとで、その生活保護の認定が厳しく抑制され、不幸な餓死事件まで起きている事実は無視されている。
 パート、アルバイト、派遣労働などの非典型労働者が小泉「構造改革」のもとで急増し、働く意欲をなくす青年(ニート)が増加する中、凶悪犯罪の多発や、国民年金保険料未納者の急増にも見られるような社会の安定帯を壊しながら、「企業部門の三つの過剰問題(雇用、整備、債務)」が解消されてきていることには触れようともしていない。
 「骨太の方針2006」は、一面的な社会状況の分析と政府にとって都合の良い「評価」を前提に作成されている。

 「骨太の方針2006」では、経済財政運営の中心課題を「成長力・競争力を強化するとり組み」におくとしている。言うまでもなく、その内容は、大企業のもうけの場の提供とその自由を国が最大限保障するものに外ならない。先の国会で成立した「市場化テスト法(公共サービス改革法)」の活用は、「50兆円規模のパブリックビジネス」に群がる企業の要望に応えたものであり、「カネ・金融の革新」などは村上ファンドにも代表されるハゲタカファンドに、国民の財産を投げ与える内容に外ならない。
 引き続く規制改革の強行にも触れており、その焦点が教育や医療、福祉などの国民生活関連分野の「商品化」に向けられていることからしても、「国民生活より企業の儲けの自由」というのが競争力強化施策の具体的内容となっている。

 「骨太の方針2006」の中心課題が、2011年度の「プライマリー・バランスの均衡」を掲げた歳出改革にあるのは、策定過程からも明らかである。
 削減、抑制の対象とされているのは、社会保障費(失業給付の国庫負担、生活保護基準引き下げ、連続の医療改悪などで1.6兆円)、人件費(公務員純減と賃金水準引き下げなどで2.6兆円)、公共投資(「5年・15%の削減」などで3.9兆円以上)、その他(ODA削減などで3.3兆円以上)などである。また、地方交付税交付金の抜本的見直しにも言及している。
 これらは、いずれも、2004年度以降、連続して削減・抑制された歳出費目であり、その結果が、格差拡大、地域切り捨て、安心・安全破壊の現状を招いている。この点だけを見ても、不当性は明らかである。
 バブル経済崩壊で発生した不良債権処理という企業救済などのために、多額の国債を発行し続け、小泉内閣の5年間だけでも200兆円超も累増させた責任や、その借金の使い道の検証も行わず、「歳出削減=国民の痛みは当然」とする財政運営を繰り返す内容には、怒りを感じる。

 国公労連は、以上のような内容を持つ「骨太の方針2006」を認めることはできない。この方針をもとに、2007年度予算編成が進められ、社会保障制度や労働法制、教育関連書制度の改悪が検討されることには反対の意思を強く表明する。
 「骨太の方針2006」の撤回を求め、その具体化に反対し、全労連「もうひとつの日本」闘争本部に結集して、国民的共同を広げるために奮闘する決意である。
                          
                         2006年7月7日
 日本国家公務員労働組合連合会
                       書記長 小田川義和

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