国公FAX速報 2006年4月20日《No.1722》
「行政改革推進法案」など関連5法案強行採決

 昨日(19日)、衆議院行政改革特別委員会において、国家公務員の「5%純減」や「事務事業の見直し」「給与制度の見直し」などが盛り込まれている「行政改革推進法案」や「市場化テスト法案」など、行革関連5法案の採決が強行され、「行政改革推進法案」は自民・公明の賛成多数で、「市場化テスト法案」は、若干の修正後、自民・民主・公明の賛成多数で可決されました。
 法案は、本日20日の衆議院本会議に上程され、賛成多数で可決し、今後は参議院に移ります。
 国公労連は、効率化のみを優先し、公務・公共サービスの公益性・必要性を軽視し、「削減ありき」「民間開放ありき」の法案に反対し、全労連「もうひとつの日本」闘争本部に結集して全国各地で世論形成のとりくみを行うとともに、中央行動での国会議員要請や傍聴行動など、法案の廃案に向けてとりくんできました。
 十分な審議が尽くされないまま、強行採決されたことに怒りを持ち、参議院での審議に対して、悪法成立阻止に向けとりくみの強化が求められます。

 なお、法案採決にあたり採択された「法案に対する付帯決議」および「修正案」と全労連「もうひとつの日本」闘争本部事務局長の談話は、以下のとおり。


競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案に対する付帯決議(案)

 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺漏なきを期すること。

一 官民競争入札等の結果、民間事業者が落札した場合の公務員の処遇について、公務員の雇用の確保に配慮し、政府部内での配置転換と新規採用の抑制により対応することを基本とすること。また、官民競争入札等のとして政府部内での配置転換が必要となる場合については、公務員の不安やこれに伴う士気の低下をきたさないよう、各大臣等任命権者が責任を持って円滑な配置転換に取り組むとともに、総人件費改革の一環として国の行政機関において官民競争入札等が実施され、その結果として右取組が必要となる場合、今後設置が予定されている国家公務員雇用調整本部において政府全体として的確に対応すること。また、落札事業者の希望と本人の同意を前提に公務員を退職し落札事業者の下で業務に従事することとなった者が、公務への復帰を希望する場合には、各大臣等任命権者は、その者の退職前の公務員としての勤務経験と落札事業者における勤務経験とを勘案し、公務への復帰希望について十分配慮すること。

一 利用者・受益者である国民の視点に立って、国民のため、限られた財源の中で質の高い公共サービスに実施する観点から、公共サービスに関する情報開示に努めるとともに、広く国民の声を聞きつつ、各公共サービスの具体的な内容や特性に十分配慮し、官民競争入札等の対象業務を適切に選定すること。また、各公共サービスの内容を踏まえ、公共サービスの質の低下や中断をきたすことのないよう、適切な実施要綱の作成や定期的かつ継続的なモニタリングの実施などを行い、公共サービスを安定的かつ確実に実施していくこと。

一 国立大学法人、文化芸術や科学技術については、独立行政法人とは別途の国立大学法人制度を創設した趣旨、長期的かつ継続的な観点に立った対応の重要性などを踏まえ、それぞれの業務の特性に配慮し、本法に規定する手続に従い、慎重かつ適切に対応すること。

一 官民競争入札等管理委員会は、公共サービスについての国民の意見を反映できる幅広い関係者によって構成することとし、委員の人選に当たっては、学識経験者など、委員会の公平性、中立性を確保でき得るよう十分配慮すること。

一 本法第三十四条に規定する地方公共団体の窓口業務を民間事業者が行うに当たっては、当該業務が住民の個人情報を取扱う業務であることに十分留意し、個人情報の保護等に万全を期すること。また、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置について、事業開始後も、指導・監督を行うこと。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する付帯決議(案)

 行政改革を進める上で、「民間が担う公益」の重要性がますます増大し、その担い手である非営利法人の役割が今後の我が国の社会を活力あるものとするには不可欠であることにかんがみ、政府は、公益法人制度改革関連三法の施行に当たっては、次の諸点について十分配慮し適切な措置を講ずること。

一 本法の立法趣旨や各条項の解釈について、現在、社会の各所で公益活動に従事している公益法人等の関係者を中心に十分周知徹底すること。

一 公益性の認定を行う公益認定等委員会の運営に関しては、その重要性にかんがみ、中立性・独立性に配慮するとともに、専門的知見に基づく判断を可能とするよう、その構成等に万全を期すること。また、事務局については、委員会を適切に補佐し、認定の審査及び事後の監督に遺漏なきよう、その体制の整備に努めること。ただし、主務官庁による許可主義を廃止した今回の改正に趣旨にかんがみ、公益性の認定に際してはその影響力の排除に留意すること。
 なお、現行の公益法人が新制度下で公益法人に移行するに際して、これまでの活動実績を積極的に評価するなどの配慮を行うこと。

一 一般社団法人及び一般財団法人に対する法人所得課税のあり方に関して、当該制度に包含される法人の性格の多様性に配慮した適切な税制の導入を検討するとともに、公益社団法人および公益財団法人に対する法人所得課税及び寄附金にかかる税制に関して、適正な規律の下に、民間の担う公益活動の促進及び寄附文化醸成を図る観点から、新たな制度における第三者機関による統一的な公益認定を受けた法人について、適切な税制上の措置を講ずること。

一 この法律の状況に変化が生じたときは、広く国民の意見を聴き、直ちに見直しを行うこと。


簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の
推進に関する法律案に対する付帯決議
06年4月19日 衆議院行政改革特別委員会

 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺漏なきを期すこと。

一 政府は、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革において事務・事業を仕分けし、その見直しを行うに当たっては、一律ではなく政府又は地方公共団体が実施する必要性を十分精査した上で、適切な対応を行うこと。特に、国民生活の安全・安心については、政府が果たすべき重要な役割の一つであることに鑑み、その必要性の精査に当たっては、政府としての役割が遺漏なく全うされるよう配慮すること。
一 総人件費改革の一環としての国の行政機関の定員の純減に当たっては、政府全体としての配置転換、採用抑制等の取組により、職員の雇用を確保するよう努めること。
一 1.新政策金融機関の組織設計・運営に当たっては、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金需要に質量ともに的確に応えるとともに、専門能力を有する職員の窓口配置など、利用者の利便性を維持・向上すること。
一 商工組合中央金庫について、政府出資のかなりの部分の準備金化等強固な財務基盤や当分の間金融債の発行を継続するなど円滑な資金調達基盤を利確立するとともに、完全民営化後も中小企業向け金融機関であることを確保するよう制度的に措置すること。
一 日本政策投資銀行について、完全民営化後も、地域経済活性化への貢献を含め、出融資一体で中長期資金を供給できるよう、また、その信頼性等を活かし、財務基盤や移行期の制度的措置等の円滑かつ多様な資金調達基盤を確立するよう措置すること。
一 新政策金融機関において、国際協力銀行が果たしてきた資源・エネルギー確保や国際競争力確保等の機能を、引き続き適切に果たすため、目的遂行のために信用の維持と業務の積極的展開が可能となるよう体制を整備すること。
一 危機対応体制については、新政策金融機関における機動的な対応及び完全民営化機関の機能やノウハウの積極的な活用により、迅速かつ弾力的な発動ができるように構築すること。


競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案に対する修正案 提案理由説明

 ただいま議題となりました「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案に対する修正案」につきまして、提出者を代表いたしましてその趣旨及び内容をご説明申し上げます。
 今般提出された政府原案におきまして、競争の導入による公共サービスの改革は、国の行政機関等又は地方公共団体が公共サービスの全般について普段の見直しを行い、その実施について、透明かつ公正な競争の下で民間事業者の創意と工夫を適切に反映させることにより、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現することを旨として、行うものと規定されております。
 改めて申し上げるまでもなく、この競争の導入による公共サービスの改革は、何よりもまず、公共サービスの利益を享受する国民の立場に立って行うものでなければなりません。
 そこで、私どもは、これまでの委員会の審議を踏まえ、その旨を条文上より明確にするための修正を行うことが必要であると考えました。
 以下、その内容を御説明いたします。
 第三条の基本理念に、競争の導入による公共サービスの改革は、公共サービスによる利益を享受する国民の立場に立って行う旨明記することとしております。
 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案に対する修正案

競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案の一部を次のように修正する。

第三条第一項中「改革は」の下に「、公共サービスによる利益を享受する国民の立場に立って」を加える。



「行政改革推進法案」など行革関連5法案の拙速採決に抗議する(談話)
−衆院行政改革特別委員会での採決にあたって−
2006年4月19日
全労連「もうひとつの日本」闘争本部
事務局長 坂内 三夫


 本日、衆院行政改革特別委員会において政府・与党は、「行政改革推進法案」「市場化テスト法案」など関連5法案の採決を強行した。全労連「もうひとつの日本」闘争本部は、関連5法案が国民のくらしと安全、国と地方行政の根本にかかわる重大な問題であるにもかかわらず、公聴会も開かず、おざなりの審議で採決したことに強く抗議するものである。
 行政改革特別委員会での議論は、「民にできるものは民へ」と国の責任を放棄する問題、国民の安全やくらしを支える公務・公共サービスの切り捨てと公務員の純減問題、特別会計合理化による労働者・国民生活への影響、政策金融の統廃合による中小企業などへの金融支援問題などについて、行政の受け手である国民の立場からの問題点解明について、充分な審議を尽くしたとはとても言えるものではない。同時に、公益法人への天下りや官製談合問題など、本来求められている改革は手つかずの状況である。
 「行革推進法案」による公務員の純減は、国民に何をもたらすのか。身近な国の出先機関である職安や労働基準監督署などは統廃合を余儀なくされる。地方では、いまでも国が定める配置基準の75.5%しか配置されていない消防士をさらに削減するとしている。また児童福祉司の配置基準を満たす自治体は4割にもかかわらず、職員を削減する。児童及び生徒の減少に伴い少人数学級実現の好機にもかかわらず、教職員の純減によって30人学級実現を困難にするなど国民の切実な願いにも背をむけている。
 全労連が行った全国キャラバン行動でも、自治体首長などから「国は仕事のみを押しつけ、金は削る」「地方交付税の削減で末端自治体は瀕死の状態だ」「財政がない中で、住民の安全、福祉をどうしたらいいのか」「国は何を考えているのか」などの怒りの声が寄せられている。
 国民の立場に立った「行政改革」は政府の「大きさ」ではなく、格差拡大を是正し、社会保障の充実などで、国民が安心して安全な生活ができる社会を実現することである。いまこの国の政治に求められていることは、大企業・高所得者への優遇税制や減税をやめ、税の累進性を強化して、所得再分配機能を高めることである。雇用と労働の分野では、規制緩和路線でなく、解雇規制法の制定や労働時間の短縮、同一労働同一賃金、全国最低賃金制度の確立、女性やパート労働者の差別待遇の解消と均等待遇の実現である。
 全労連「もうひとつの日本」闘争本部は、行政改革推進関連5法案の参議院での徹底審議を求めるとともに、国民にとって百害あって一利なしの同法案の廃案めざし、職場と地域を基礎に、民間と公務の労働者をはじめ、自治体を含む広範な国民各層との共同を広げ、全力をあげて奮闘するものである。

 以上

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