国民生活破壊の規制改革、民間開放に断固反対する(談話)
 −−規制改革・民間開放推進に関する第2次答申にあたって−−


 規制改革・民間開放推進会議は12月21日、「『小さくて効率的な政府』の実現に向けて−−官民を通じた競争と消費者・利用者による選択−−」と題した「規制改革・民間開放推進に関する第2次答申」(以下、答申という)を小泉首相に提出した。答申は、「官による配給サービス」から「民による自由な競争・選択」へと制度の転換を図るとして、「市場化テストの速やかな本格的導入」などを打ち出している。あわせて、国の事務・事業や独立行政法人、特殊法人や公益法人、地方公共団体の事務・事業を対象に、「民間にできることは民間に」と民営化を含む民間開放にむけた検討を強く求めている。
 答申は、「利用者・消費者による選択」と公務による公共サービスの提供を対立的に描き出している。公共サービスを「民による自由な競争」に委ねれば、所得の多寡や都市・地方間によって、提供されるサービスの質と量に格差が生じることは明白である。折しも建築確認業務が民間開放されたもとでの耐震強度の偽装事件が日本列島を震撼させているなか、答申にはその点での反省のかけらも見受けられない。
 答申では、「公共サービス効率化法(市場化テスト法)案」(仮称)を06年通常国会に早期提出すべきとし、成立後の本格的導入の対象業務として「国民年金保険料収納事業」、「『人材銀行』事業」、「『キャリア交流プラザ』事業」、「『求人開拓』事業」を明記している。また、市場化テストにむけた統計調査関連業務の試験的調査や、地方公共団体での窓口交付業務を可能とする関係法律に関する特例措置、独立行政法人関連業務での検討なども提起している。この間実施してきたモデル事業における検証もまともに行わないまま、博物館など国民生活や個人情報に深く関わる事業を市場化テストの対象とすることは公共サービスの切り捨て以外の何ものでもない。
 市場化テストが、数字合わせに終始している公務員の「総人件費削減」のために検討されていることも問題である。
 答申は、「少子化への対応等」において、「仕事と育児の両立を可能にする多様な働き方」として、労働時間規制の適用除外制度の導入や労働者派遣期間制限の撤廃など働くルール破壊も打ち出している。また、高圧ガス保安法や労働安全衛生法など保安四法での自主検査の導入・拡充なども提言している。労働者の安心や安全はないがしろにし、働くルールの後退を規制改革と言いかえる内容は、財界の要望のみに添ったものである。
 答申は、「財界の財界による財界のため」の規制改革、民間開放であることを隠そうとしていない。国公労連は、格差を拡大し、安心・安全を切り捨て、国民生活に甚大な悪影響をもたらす答申の閣議決定に断固反対する。そのことから、国民のための公共サービスの重要性を広く訴え、「公共サービスの商品化」に反対する世論、安心・安全な社会を求める広範な国民とともに職場・地域からのたたかいを展開するものである。
2005年12月21日
                     日本国家公務員労働組合連合会
                          書記長 小田川義和

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