国民や地方自治体などへ「大きな負担」を強制する政府予算に反対する
(談話)−−06年度予算の財務省原案の内示にあたって−−


 本日、財務省は2006年度予算の財務省原案を各府省に内示した。一般会計規模で、79兆6860億円と、8年ぶりに80兆円を割った原案は、高齢者の窓口負担増や診療報酬減額などの医療制度改悪で3290億円を国民に負担転嫁して社会保障費を切り下げ、義務教育費国庫負担金を2分の1から3分の1に切り下げることで文教費を8.5%も減額している。また、歳入にかかわって、定率減税の廃止などでの1兆6000億円規模の庶民増税を盛り込んでいる。公共事業費やODA予算は連年の切り下げでバブル経済崩壊前の水準に引き下げられているものの、ミサイル防衛関連で1399億円を計上した防衛費は、わずかな減額にとどめている。また原案は、史上空前の収益を上げ続ける一部大企業や、マネーゲームに明け暮れる高額所得者に税負担を求めようとしていない。
 国公労連は、国民の生活をいっそう苦しくすることが確実な予算には反対であり、財務省原案の撤回を強く求める。

 原案は、新規国債の発行を30兆円未満とすることを最大の目的にしている。景気回復による税収増が4兆円程度見込まれ、さらに2兆円規模の増税が予定され、三位一体改革にともなう補助金削減での歳出の「付け替え」があり、特別会計の剰余金繰り入れも1兆8000億円規模で見込まれるなど、単年度の収支バランスを好転させる条件は少なくない。にもかかわらず、国債依存度は37.6%と前年より4.2ポイントしか改善させていない。過去に発行した国債の借り換えなどに迫られているためである。06年度末に541兆円に累増すると試算されている国債が、国民生活の重くのしかかっていることは、原案からも明らかである。
 それだけに、国の借金累増の原因を分析し、それをふまえた歳出の抜本的な見直しは不可欠である。その点を曖昧にする限り、高齢化など社会構造の変化にともなう予算増が不可避な分野や、公務員の総人件費削減などの「公務リストラ」という小手先のごまかしによる歳出削減に終始せざるを得なくなることは自明である。
 累積した債務を解消する道筋も明らかにすることもなく、数字あわせに終始している原案は、その点からも撤回されるべきものである。

 国公労連は、国の財政が国民生活重視に転換されることを求める。その中心の課題は、社会構造の変化に対応した社会保障や深刻な雇用状況に着目した雇用対策、教育を受ける権利が保障される文教費の充実などにある。そのためにも軍事費などは大幅に削減される必要がある。一方で、歳入については、大企業優遇となっている税の特例措置を廃止し、法人税率の引き上げや所得の総合課税と累進税率の引き上げ、社会保険料の企業負担引き上げなどが課題だと考える。
 国公労連は、財務省原案をもとに、24日にも決定されるであろう06年度予算政府案の問題点を世論に訴え、修正を求めるとりくみを、「小さな政府」反対の運動と結んで強める決意である。

2005年12月20日
                     日本国家公務員労働組合連合会
                     書記長 小田川義和

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