国公FAX速報 2005年12月6日《No.1691》

《規制改革・民間開放推進室と交渉》
年末答申にむけた「官業の民間開放」「市場化テスト」
対象事業については国民世論の変化も踏まえて
各省との慎重な協議を行え


 国公労連は12月6日、規制改革・民間開放推進室との交渉を行い、「官業の民間開放」と「市場化テスト」に係る作業状況を質しました。交渉は、規制改革・民間開放推進室からは岩佐企画官、市場化テスト推進室の磯貝氏と宮崎氏、山田氏、内藤氏の各参事官補佐が対応し、国公労連は川村・山崎両中執と、4単組の代表で行いました。

 冒頭、「官業の民間開放の推進」について岩佐企画官が検討状況を説明。「昨年度は検討対象812項目から36項目を抽出したが、今年度も同じ考えであり、国・独立法人・代行法人が実施している業務について検討している」、「公益法人や地方公共団体も検討している」と話しました。また、分野としては、給付・徴収業務、施設等管理業務、検査・検定業務、研修・研究業務について、昨年度と同様にまとめていくとしつつも、「すべて了解されたわけではないが、今すぐ民間へというものではなく、将来的な検討対象であり、各省庁の了承は得ている」と述べました。
 「市場化テスト」関連については、磯貝参事官補佐が説明。答申に向け、「(市場化テストの)制度をどうするか、どういった事業を本格導入の対象にするのかを検討している」、「制度については、9月27日の骨子から踏み込んだものにはならないのではないか」と述べました。また、年末答申には、市場化テストの対象として、モデル事業(ハローワーク関連、社会保険庁関連、行刑施設関連)と若干のもの(独法、地方公共団体窓口業務)について、答申に盛り込めるか協議中」、「各省との議論は白熱している部分もある。具体的な話はできない」と話しました。

 以上の説明を受けてのやりとりの概要は以下のとおり。(は国公、は推進室)

 マンション耐震強度偽造問題で、国民の間には「官から民へ」に対する問題意識もでているが、「会議」はどうこの問題をとらえているのか。
 担当が調べているが、この件は、一級建築士が国交省の認定ソフトを使ってやったもので、一級建築士の資質の問題。公的機関でも見逃しがあったが、全体として不正を防ぐしくみが必要なのであり、民間だからという問題ではない。
 個人の問題ではない。このような土壌つくってきたのは規制緩和の流れであり、しくみを変えてきた。手抜きは構造計算だけではなく、施工段階でも起こりうる問題であり、こういった点を踏まえた検討が必要である。
 (民間開放推進会議の)議員は、公務員がチェックする場合と民間がチェックする場合でどう違うか、どう実証されるのか。検証が必要と言っている。
 マスコミ報道によると、補償に公的資金を導入する話も出ており、税金が使われる。民間開放の可否をもっと考えるべきではないか。
 民が悪と決めつけるのはおかしい。
 トップダウンで決められてしまうのは納得できない。建築強度偽造問題でも、結局は当該官庁が責任を負わされる。だからこそ、主務官庁の意見を十分に聞くことが大事。車両業務については、車両検査、登録、地方税などトータルでしくみをつくってきたが、検査だけを民間へということは問題が生じる。
 各省の了解が得られないと答申できない。車両検査については、指定整備率の拡大で合意している。この部分で進める。
 法務の関係で、3カ年計画で登記が検討対象とされているが、平成17年度以降のスケジュールはどうなっているか
 昨年度検討したが、登記は今のところ要望の手が上がっていない。具体的に手が上がった事業を優先して対応している。
 民間の要望はすべて取り上げるのか。
 要望事項の該当省庁が判らないものは、確認し調整しているが、基本的にはすべて取り上げている。
 守秘義務の扱いは、どうなるのか。現在でも辞めた者から職場を誹謗中傷されており、どうあるべきかの整理が必要である
 検討課題だ。公務員は、やめても義務がある。現在でも民間にも守秘義務を課していることもある。どうするのかは、検討していく。
 来年度にむけてモデル事業の拡大はあるのか。社会保険庁関係では5カ所から114カ所にモデル事業が増えるようだが、半年も経っていないのに評価の分析できるのか。
 モデル事業は、平成17年度実施されているものを指してのもの。法案成立後は市場化テストの対象である。官民競争入札の対象事業は広げる方向で各省庁と協議している。形態は市場化テストではなく、民間委託方式もある。評価は各省が行ったうえで会議が判断する。モデル事業は3分野8事業だが、民間委託のものを実施方針プロセスの勉強としてモデル事業とした例もある。第3者機関や実施方針の材料についてはある意味情報は得た。
 収納業務は企業の倒産・失業につながるなど、様々な事情を勘案した対応が必要だ。
 議員の認識は正反対。払えない人は減免措置がある。個別事情で強制しないのは問題。
 本格実施を前提とした市場化テストのスケジュールはどうなるのか
 あじさい月間やもみじ月間での民間の提案を受けてから進めていく。第3者機関の設置(民間開放の息も官の息もかからない組織)で入札段階に関与する。答申には平成18年度の市場化テストの対象事業を提示するよう各省に確認中。

 国公労連は、最後に「公務は、国民の権利を代表している。なんでも官から民へというのは問題。民間開放は慎重でなければならない。コスト縮減に安全・安心をどれだけ入れていくのか、自己規制だけでは対応できない。これらを踏まえて、各省協議においても慎重な検討をお願いしたい」とし、議員にも今日の意見を伝えるよう申し入れ交渉を終わりました。

以上


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