国公FAX速報 2005年10月18日《No.1675》

「総人件費削減」問題で国会議員と政党に要請行動を実施

 国公労連は、公務労組連絡会の「秋年闘争10.18第2次中央行動」の一環として衆参の総務委員会の所属議員と政党に対する要請行動にとりくみました。(要請書と要請事項説明書は別紙)

 政党への要請行動は、国公労連盛永副委員長を先頭に浅野・川村両中執、全建労三浦委員長、全厚生飯塚副委員長、全法務大磯副委員長、全労働大谷中執、全司法藤田中執の8人で実施。
 要請では、盛永副委員長が「国家公務員の『総人件費削減』にかかわる要請」にもとづいて、「効率ばかりに偏った行政組織や人員配置、公務員制度では、国民に奉仕する行政はできない」など、「純減目標」や民間開放、一方的な賃金引き下げの問題点を指摘。また、各単組からも行政の現状と定員削減の問題を訴えました。

 社会民主党は、組織・労働・自治体委員会事務局次長の兼古氏が対応。兼古氏は、「基本認識は全く共通」とし、「人員は先進国に比して恐ろしく少ない」との認識を示しました。そして、「赤字の原因が人件費とのごまかしが宣伝されているが、怖いのは改革を支持する国民の声だ」、「国民は自分たちの境遇の悪さから誘導されている」とし、公共サービスや公務労働について、地域での民間との交流が大事と発言しました。また、単組の訴えに対しても「労基署の労働相談は早く流すのがプロとの評価も。人が足りない。現地調査に行くと増員をしない国会議員の問題との指摘も受けている」と話しました。

 日本共産党は、国民運動局の米沢氏と政策委員会の岡田氏、吉井議員秘書の稲葉氏が対応。「今の公務員攻撃は動機が不純で、国のむだ遣いなど本当のことを隠すためのイデオロギー攻撃」と問題の本質を指摘し、「日本は賃金の地域間格差が大きく、公務員賃金は最低賃金のテコである。公務員賃金の引下げは、さらに賃下げのスパイラルとなり、民間もひどい目を見ることになる。イデオロギー攻撃に多くの国民が惑わされており、官も民もひどくなっていくことを宣伝していかなけけばならない。」などと話しました。

 民主党は、政策調査会の須川氏と仙波氏の両部長代理が対応。「公務員制度改革は、人件費の問題だけでなく、能力評価や人材確保の問題なども議論をすすめなければならない。人件費を切った者が『改革者』だと煽られている。一般認識として、このような状況の中で議論をすすめなければならないことは、ゆゆしき問題であり、不幸であると思う。」「民主党のマニフェストは、まだ詰めきれていない部分がある。公務員制度改革案にしても、通常国会に向けて成案を得るよう検討をすすめる。民主党として一人よがりで作らず、関係者と話をしながらすすめる。」「ひとつの柱として、労働基本権の付与の問題がある。自民党サイドから前向きな考え方が出ているが、これは生首を切るバータの視点から出ている。労働基本権の代償措置として人勧制度があり、この制度を是認はしているが、本来あるべき姿ではない。これを本来あるべき姿に戻すというのが考え方である。」「良質な公務運営のためには人材確保が必要。現実に財政赤字で大盤振る舞いできないなかでどのように人材を確保していくのかが課題。」「公務員の2割削減は、生首を2割削減するとは考えていない。国がどこまでやるか公務の範囲の区分けが不可避だと思う。」「公務労働に対する国民の目が厳しくなっている。国民の視点で考えていかないと大きな波に飲まれてしまう。」などと話しました。

(別紙)
                            2005年10月18日
     殿
                     日本国家公務員労働組合連合会
                     中央執行委員長 堀口士郎

      国家公務員の「総人件費削減」にかかわる要請

 晩秋の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、国の歳出削減に関わって、公務員の総人件費削減が一つの焦点とされています。9月27日の経済財政諮問会議では、民間有識議員から「国家公務員の人件費について、今後10年以内に名目GDP比で半減させる」ことを「基本指針」に明示することや、「今後5年間で国家公務員(郵政を除く68.7万人)の定員を5%以上純減する」こと、さらに「国の財政事情を考慮して公務員給与を適正化する仕組み」などが提起されています。
 定員の純減に関わっては、定員の6割を占める地方支分部局・地方事務所の重点的な削減、市場化テストの全面導入による官の事務事業の民間開放などが強調されています。また、公務員給与にかかわっては、官民賃金の比較方法「見直しによる水準ひき下げ」が議論の遡上にのぼっています。
 私たち日本国家公務員労働組合連合会(略称:国公労連)は、公務・公共サービスが国民の基本的人権の実現を目的に、安定・継続的に全国的均衡をもって公平に提供される必要があると考えます。効率性に偏重した行政組織や人員配置、給与も含めた公務員制度では、そのような公務の役割や責任が十分に果たせなくなることが、強く懸念されます。
 つきましては、以下の点についてご検討いただくとともに、国政への反映をはじめ、関係諸機関に対する働きかけを賜りますようお願いします。

                 記

1.国家公務員の「純減目標」の設定は、行政第1線の現状からして困難です。行政ニーズや国の行政責任を検証した定員、行政管理の議論を尽くしてください。

2.公共サービスの民間開放は、行政の一体的な運営を阻害し、国民のあらたな負担要因になり、ナショナル・ミニマムを形骸化しかねません。民間開放施策の拙速な検討はやめてください。

3.労働基本権の制約を維持したままで、人事院勧告制度さえ無視した公務員賃金の引き下げは、法治国家では許されません。公務員労働者に労働基本権を回復する論議を優先してください。

4.公務員の総人件費が、巨額な国の累積赤字の原因であるかのような、あるいは総人件費削減が歳出改革の「切り札」であるかのような議論には反対です。

                                 以上


別添・要請事項の説明

1.国家公務員の「純減目標」の設定は、行政第1線の現状からして困難です。行政ニーズや国の 行政責任を検証した定員、行政管理の議論を尽くしてください。

(1)国家公務員の定員管理は、総定員法を上限に、定員削減計画によって各省庁の定員を再配分する仕組みとされてきました。独立行政法人化や国立大学法人化、郵政事業の公社化などで総定員は漸次引き下げられ、現在は約33万人となっています。
(2)「純減目標」の設定などが、総定員法で管理される非現業国家公務員のみを対象としているか否かは、必ずしも明確ではありません。しかし、仮に、非現業国家公務員について、巷間いわれる「5年・5%純減」などの目標が設定されるとすれば、それはまさに「天文学的」な目標だと言わざるを得ません。
(3)ご案内のように、2005年度における非現業国家公務員の「純減数」は「662人」であり、「純減率」は△0.2%です。これとて、法務省の治安関係・978人、徴税部門・779人などが増員される一方で、民生部門の地方出先機関などでの数百人規模での純減が行われた結果です。
(4)現在公布されている法令の執行、実施や全国一律の行政サービス提供に、現段階でも苦慮しているのが実際です。そのような、行政第1線の実態を検証することなく、「国の役割重点化」や「企画立案部門重視」といった机上論で国家公務員の定員管理の議論を行うべきではないと考えます。
(5)「純減目標」の設定は、現に求められている行政サービスの切り捨てばかりでなく、治安部門も含め、あらたに必要とされている行政ニーズへの人的対応も困難にし、国の行政実施部門全体が機能不全に陥る危険性のある施策だと考えます。

2.公共サービスの民間開放は、行政の一体的な運営を阻害し、国民のあらたな負担要因になり、ナショナル・ミニマムを形骸化しかねません。民間開放施策の拙速な検討はやめてください。

(1)長年にわたる定員削減、行政改革のもとで、国の行政実施事務には請負、委託などが相当規模で行われています。国民の税金を使い、国の責任のもとに実施することも口実に、そのような請負、委託先が「天下り」の受け皿機関となり、行政の民主的・公正な運営をゆがめてきたことも事実です。
(2)いま、「官から民へ」のかけ声のもと、市場化テストなど、公共サービスの民間開放施策の議論を政府が行っています。近年では、PFIや指定管理者制度、独立行政法人制度など、行政の「切り売り」ともいえる民間開放策が相次いで実施されていますが、それらの施策が行政サービスに及ぼした影響は、未だ十分に検証されていません。設定されて目標を達成しやすい業務偏重の弊害はおきてはいないか、困難な業務が後回しになってはいないか、行政が掲げる目標達成のために国民の基本的人権実現が後回しになってはいないか、などなど。検証すべき課題は少なくありません。
(3)また、公共サービスの民間開放が、受益者負担の新たな増大をまねき、弱者や地方の切り捨てへの懸念が広がっています。その点の検証も十分ではないように思われます。国が実施費用を負担した上で、受益者負担名目での新たな負担が利用者に求められることになれば、それは「税の二重負担」や、経済的弱者が行政サービスから排除されるなどの問題も検討されなければなりません。
 そのような議論も国民的合意もないままに、目先の財政的効率のみを強調した公共サービスの民間開放は行うべきではなく、「市場化テスト法案」には慎重であるべきです。

3.労働基本権の制約を維持したままで、人事院勧告制度さえ無視した公務員賃金の引き下げは、法治国家では許されません。公務員労働者に労働基本権を回復する論議を優先してください。

(1)総人件費引き下げのために、国家公務員給与を決定する人事院勧告制度の「見直し」も論議されています。人事院勧告における官民賃金比較の方法や、勧告に当たっての考慮要素などを、公務員給与水準ひき下げを目的として行うことは、公務員労働者の労働基本権を明確に侵害する行為だと考えます。
(2)人事院勧告制度のルールなどを変更するのであれば、公務員労働者への労働基本権回復は避けがたい課題として議論されなければなりません。
 公務員労働者に労働基本権を保障し、労使自治を基本に労働条件を決定していくことは、国際的なルールにも合致するものとして、ILOからも再三勧告されています。そのことへの早急な対応こそ優先すべきです。

4.公務員の総人件費が、巨額な国の累積赤字の原因であるかのような、あるいは総人件費削減が歳出改革の「切り札」であるかのような議論には反対です。

 政府の閣議決定等でも、歳出構造改革の切り札が、公務員の総人件費削減にあるかの扱いがされています。しかし、小泉構造改革の4年余だけをみても、国家公務員は純減になっているにもかかわらず、毎年30兆円を超える新規国債が発行され続け、歴代内閣でもっとも借金が増大しています。
 また、国の予算にみる総人件費比率は、この4年間も減少し続けています。
 この一事をみても、財政赤字の原因を公務員の人件費に求める議論の誤りは明らかです。
以上

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